発情の仕組みについて

人間とは異なる生き物であるわんちゃんは、体の仕組みも当然人間とは異なります。
病気の予防としても、望まぬ交配が行われないためにも避妊手術や去勢手術を行うことが推奨されていることは、多くの飼い主さんが知っていることでしょう。
手術を行うかどうかやタイミングを考慮するにあたり、発情について正しい知識を持つことはとても大切です。
人間の月経としくみは同じ?
女の子のわんちゃんに起こる発情ですが、人間の月経と混同されがちです。
しかし、わんちゃんの出血は月経とは異なり、発情出血と呼ばれる発情期の前半に起こる出血になります。
発情前期に1週間から数週間、長い場合は1か月くらいにも及ぶ出血が起こり、個体差はありますが半年から7~8か月くらいに一度起こることが一般的です。
人間の月経と異なり、子宮が充血することによる出血になります。
いつか自然と起こらなくなる?
人間は加齢とともに閉経と言って月経が起こらなくなります。
わんちゃんにも閉経ある?という質問をよくいただきますが、わんちゃんの発情は生涯続くため、起こらなくなることはありません。
加齢とともにホルモンバランスも崩れ、周期が乱れることはありますが、高齢になっても生涯発情は続きます。
男の子にも発情期はあるの?
女の子にも発情期があるのと同様、男の子にも発情期が来るのでは?という誤解も、されがちです。
男の子だけで発情が起こることはありません。
女の子が発情期になり、発されるフェロモンに男の子は反応し、交配欲を高めます。
反応するフェロモンは、触れられる範囲の女の子が発するものだけでなく、約1キロ範囲程度の距離にいるの発情期の女の子が発するフェロモンにも反応することがわかっています。
女の子の発情期、どんなことを気を付ける?

女の子のわんちゃんと生活する飼い主さんとして、避妊手術をまだ行っていないのであれば、おうちのわんちゃんの発情周期や発情について把握し、注意する必要があります。
発情期の把握は、健康管理や周りの男の子のわんちゃんとのトラブル対策のために欠かせません。
体の変化に注意
成長とともに、発情期を繰り返すことでわんちゃんの発情期が起こる間隔が把握できるようになる場合もありますが、わかりづらい場合は体の変化への注意が必要です。
発情期になると以下のような体の変化が見られます。
- 陰部の腫大
- 乳腺や乳頭の発達
大きな変化として見られることもあれば、普段より若干変化しているかどうかという程度の場合もあります。
比較できるよう、おうちのわんちゃんの体の普段の状態を把握しておきましょう。
出血の有無など発情中の変化の観察
女の子のわんちゃんは発情期になると出血が見られます。
排尿の際に点状に付着することや、わんちゃんが普段生活しているクッションやハウスなどに付着していて飼い主さんが気付くケースが多いです。
しかし、中には出血が気になり、都度舐めとってしまうわんちゃんや、出血量が少ないわんちゃんもいます。
また、発情中の行動も様々です。
甘えん坊になるわんちゃんや、倦怠感などから普段よりも活発で亡くなるわんちゃんなど、個体差があります。
おうちの子の発情期のパターンを把握しておきましょう。
普段のパターンとの小さな変化はホルモンバランスの不調などが原因の生殖器系のトラブルを発見するきっかけになるかもしれません。
周囲のわんちゃんへの影響に気を付ける
発情期の女の子のわんちゃんへの男の子のわんちゃんの反応は本能的であるため、飼い主さんでも制御することが難しく、トラブルにつながることもあります。
わんちゃんなどが集まる散歩のタイミングやコースをずらしたり、必ずマナーパンツをはかせるなどの配慮をしましょう。
発情期にドッグランなどのたくさんのわんちゃんが集まる場所への参加は厳禁です。
おうちのわんちゃんだけでなく、周囲のわんちゃんたちがトラブルを起こすきっかけを作らないよう、充分な配慮をしてマナーを守りましょう。
発情に関連する体のトラブル

発情は生殖器のホルモンが関連しており、交配をする体の準備をするためのものであるため、免疫力や体力などの変化も現れます。
発情期と関連して注意すべきトラブルもあります。
乳腺腫瘍
発情後、わんちゃんたちには生理的偽妊娠と呼ばれる、体が妊娠していると錯覚している現象が起こります。
これは病気でなく、生理的な減少であり、どんな子でも起こります。
程度は個体差があり、ぬいぐるみを子供のように抱えてお世話をする子や母性本能が強くなって攻撃的になる子、乳汁分泌まで起こる子など様々です。
時間の経過とともに落ち着くため、自然に様子を見ていれば大丈夫です。
この際に、乳頭や乳腺が炎症を起こし、乳腺炎のようになることもあります。
発情直後であれば、おそらく生理的偽妊娠が影響しているせいである可能性が高いですが、発情が終えてしばらくして、乳腺にしこりがあったり、色のついた乳汁や、血の混じった乳汁が分泌されるなどの場合、乳腺腫瘍である可能性が考えられます。
一度受診をした方が良いでしょう。
乳腺腫瘍は、避妊手術をしていない中高齢の女の子に高確率で起こる病気です。
悪性の場合、肺への転移などが起こり、死に至る危険性もあるため、変化に気づいたら早期に受診しましょう。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は、子宮に膿がたまる病気です。
避妊手術をしていない中高齢の女の子に起こりやすい病気です。
発情後、ホルモンの変化により、免疫力の低下や子宮の状態の変化が起こり、感染が起こりやすくなることで子宮内に膿を蓄積してしまい、子宮がパンパンになり、進行すると死に至る危険性もある怖い病気です。
再発を防ぐためには外科手術で子宮や膿を除去する治療が一般的ですが、最近では内服薬でも症状を緩和できるお薬も開発されています。
発情後に起こることが多いため、発情後の食欲不振や飲水量の変化、乳汁分泌の有無の変化などの体の状態をしっかり観察することが大切です。
予後を悪くさせないために早期発見、早期治療が必要です。
発情期後の免疫力の不調によるトラブル
発情期後はホルモンの変化により、免疫力の低下や不調が起こり、免疫が関係するトラブルが起こりやすくなります。
膀胱炎や皮膚トラブルなどが挙げられるでしょう。
アトピー性皮膚炎なども感染との関連は低いですが、不調が起こりやすくなります。
発情の都度、トラブルが起こりやすくなるようであれば、わんちゃんへの負担も大きくなってしまうため、対策として避妊手術を行うことが有意義になる場合もあります。
発情期の間も、いつもと体の状態が異なることで元気がなくなったり、食欲がなくなることもありますが、発情期が終わった後も体調変化に気をつけましょう。
まとめ

わんちゃんの発情期は人間の月経期間と異なります。
自分たちとは違う体のしくみをもつわんちゃんたちのことを正しく理解し、おうちの子の状態を正確に把握することが、早期発見につながります。
生殖器が関連する病気は死につながる危険性のある病気もあります。
飼い主さんが管理すべきことを理解したうえで、自分には可能かどうか、できなかったときにおうちのわんちゃんにかかってしまう負担なども考えて、避妊手術を行うかどうかやタイミングを決めることはとても大切です。



