犬が引っ張るのは「しつけができていない」からではない

散歩中にリードをぐいぐい引っ張ってしまう犬を見ると、「しつけができていないんだ」と誤解されることがあります。
しかし、「引っ張り=しつけ不足」というのは、実は誤解なのだというのを知ってほしいのです。
犬が引っ張るのには必ず理由があり、次のような理由が多いケースとしてあげられます。
- 早く匂いを嗅ぎたい
- 興味のあるものに近づきたい
- 首にかかる刺激から逃げたい
といった自然な探索欲や期待感、そして盲点として「首にかかる刺激」が引き金となり、行動を引き起こしている場合があるのです。
つまり、引っ張り行動は「悪い行動」ではなく、犬の気持ちがそのまま現れているだけ。
決して犬は、飼い主を困らせようとしているわけでもなければ、しつけの問題ではないのです。
犬の引っ張りが強化されてしまう理由

犬の行動は「結果によって強化される」という行動の原理があります。
引っ張る → 前に進める → 匂いに近づける → 楽しい
この流れが何度も積み重なると、「引っ張れば前に行ける!」と犬が学習してしまいます。
これを 「強化の連鎖」 と呼び、意図せず引っ張り行動を強めているケースが非常に多いのです。
また、次のようなケースもよくあります。
- 飼い主が早歩き
- 止まると怒られる、急かされる
- 匂い嗅ぎを制限される
このような状況が続くと、犬は“落ち着いて歩く余裕”を失い、結果として引っ張りが増えることも少なくありません。
つまり、引っ張りには 犬の感情・環境の影響が深く関わっているということを、念頭に置いておきましょう。
優しい対処法:犬の気持ちに寄り添うことが第一歩

引っ張りを改善したいときは、 「引っ張らないと前に進める」を学んでもらうことが大切です。
ただし、強く叱る必要はありません。むしろ逆効果です。
今日からできる対処法を紹介します。
1.犬が引っ張ったら一度立ち止まる
「引っ張る=進めない」と学ぶ。
2.リードが緩んだら進む
「緩める=前に進める」と学ぶ。
3.匂い嗅ぎの時間をしっかり作る
ある程度自由を与えると、犬は精神的に落ち着きやすくなります。
4.歩くペースを犬に合わせる
常に飼い主のペースだとストレスが溜まり、引っ張りが悪化する場合も。
5.ハーネスに変更する
喉の負担が減り、安全にトレーニングできるだけでなく、首への刺激からの逃避による引っ張りにも効果的。
これらはどれも犬の気持ちを尊重しながら行える方法です。
犬に「ゆっくり歩いてもいいんだ」と伝わることで、引っ張りは自然と減っていくので、犬を矯正しようとするのではなく、寄り添うことをまずは考えてみましょう。
まとめ

犬がリードを引っ張るのは、
- 外が楽しくて仕方ない
- 気になるものを見つけた
- 匂いを早く嗅ぎたい
- 首への不快な刺激から逃げたい
など、 犬の気持ちの表れです。
そして、引っ張れば前に進めるという「結果の学習」が積み重なることで、行動が強化されているだけなのです。
飼い主は安全のために寄り添うガイド役です。
今日から少し歩き方を変えるだけで、散歩はもっと穏やかで、お互いに気持ちの良い時間になるはずですよ。



