首が苦しそうなのに引っ張るのはなぜ?
犬にとって引っ張ることで首に掛かる負荷を苦しいと感じていますが、それよりも外の世界は匂いや刺激であふれていて、犬はそれを確かめたくてたまらない気持ちが勝るのです。
いくら人がやめてほしくても犬が「お散歩は人の横について歩く」というルールを教えられていなければ、自分の好きな方向へ突っ走ってしまうのは当然のこと。
では、どうすれば犬に「引っ張らずに歩く」ことを身につけてもらえるのでしょうか?
まずは「人に意識を向ける、集中する」練習をすること。引張らないで歩くということは、犬が人の位置を意識して歩かなければできません。
その為には、犬の意識を「前へ」ではなく「人の方へ」向け直すことが大切です。
人の方に動かす練習
この練習は、犬が前に出る前に飼い主が軽くリードを引き、自分の方へ誘導していきます。
ここで大切なのは「力いっぱい引っ張らない」こと。綱引き状態になると犬はますます前に進もうとしてしまいます。
コツは素早く引いて、こちらに歩きだしたらすぐに緩めること。そして、犬が“人の方へ歩いた”という感覚を持ちやすいように10歩くらいは誘導してあげます。
人の方に動いたら大げさなくらい褒めてあげましょう。繰り返すうちに「飼い主の方へ戻ると楽しいことがある」と学習し、自然と意識が向くようになります。
ある程度こちらを見ながら歩けてきたら、次は【回転】の練習に入ります。
人は歩くときまっすぐだけではありませんよね?右に曲がったり左に曲がったり、いろんな動きをします。その動きに合わせて、犬も同じようについてこられるようにする為に練習しましょう。
右回転・左回転の練習
右回転
犬が外側を大回りする動き。
人の動きに気づいて先回りしないと遅れてしまうため、犬は自然と人の動きに注意を向けるようになります。
左回転
犬が人より小回りになるため、犬が人の意識を意識できない間は人と犬の動きが交差しやすく、ぶつかることがあります。
左回転を教えておくと、急な方向転換や速度調整がしやすくなるだけでなく、人の動きにより集中できるようになるため引っ張り防止に効果的です。
右回転・左回転の練習方法
最初はおやつを手に持ちながら誘導すると、慣れない回転の動きをスムーズに経験できます。
リードは常に緩めた状態で行い、「飼い主の横を歩くと褒められる」経験を積ませることを目標にしましょう。
動きがいい子は左回転から、誘導などお散歩でちゃんと歩かせることに抵抗がある子の場合は右回転の練習から入ることをお勧めします。
練習のコツと注意点
一度や二度の練習で急に改善することはありません。少しずつ、根気強く続けてください。最初はお散歩中ずっと人に集中して歩くことは難しいので、ここまでは集中して歩く、ここからは自由に歩かせてあげるといった線引きを行うようにしましょう。
集中時間と自由時間の切り替えは、おすわりなど動きが止まる姿勢を3秒ほど挟みます。その後、「よし」という切り替えの合図で練習を終わるようにしてください。
まとめ
犬の引っ張りは「本能+経験不足」から生まれる行動です。人に意識を向けさせ、正しい歩き方を楽しく練習すれば、必ず改善していきます。
散歩は犬にとっても飼い主にとっても楽しい時間。今日から少しずつトレーニングを取り入れて、互いに心地よい散歩を目指してみてくださいね。