愛犬に高度な医療が必要になったらどうする?『二次診療施設』について現役獣医が解説

愛犬に高度な医療が必要になったらどうする?『二次診療施設』について現役獣医が解説

多くの子が近さや雰囲気、若齢の頃から診てもらっているなどの理由からかかりつけの動物病院を探し、一生の中でずっとその先生に診療してもらうケースが多いです。しかし、どんな子でも難治性の疾患や高度医療の治療を必要とする疾患になる可能性があります。そんな時にどうしたら良いのか、どうするつもりでいるのか考えていますか?

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記事の提供

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

二次診療施設ってどんなところ?

医者

二次診療施設といわれてもあまりピンとこない飼い主さんも多いのではないでしょうか。

一生を通じて、高度医療が必要のないまま生涯を終えるわんちゃんも中にはいます。二次診療施設とはどのようなところなのでしょうか。

診療科が分かれており専門性の高い獣医師が集まっている

二次診療施設とは、大学病院や高度医療センターのような病院を示します。それぞれの診療科に分かれていて、専門性の高い獣医師の先生たちが集まっています。

そのため、各科において一時診療施設では治療が難しいような症例も多く集まるため、治療経験も豊富で難治性疾患に対しても知識を持つ先生が多い傾向があります。

設備がそろっている動物病院が多い

施設が大きく、働いている獣医師の先生も多い二次診療施設が多く、一時診療施設にはないような機器がそろっていることも多いです。

より高度な機器はCTやMRIをはじめとして、精度の高い超音波検査機器や、放射線治療の機器、充実した手術時のモニタリング機器などが挙げられます。

基本的には予約制及び紹介制

かかりつけの一時診療施設の動物病院は、予約なしや直前の予約などでも受診可能なケースが一般的ですが、二次診療施設は一時診療施設の動物病院からの紹介および事前予約性となることが一般的です。

そのため、現在の治療状況などをかかりつけの先生に診断書や紹介書という形式で記入してもらい、予約を取ってもらうという流れになることがほとんどでしょう。

人気の二次診療施設や診療科は予約が取りづらくなるということもあります。

どんな時に高度医療が必要?

診察を受ける犬

かかりつけの先生でも充分に治療が行えることも多く、普段からも信頼関係が築けている先生に診療してもらえたらと思う飼い主さんが多いのではないでしょうか。

では、どのようなときに高度医療が必要なのでしょうか

一次診療施設にない機器を用いた治療や検査が必要

飼い主さんが異常に気付いて受診をし、訴える変化や症状から検査を行い、体内の中で起こっている変化を究明し、治療方針を決めるという流れが一般的です。

症状によって、より高度なCTやMRI、脳波の検査など一次診療施設では持っていないような機器による検査が必要なことも起こります。

また、治療方法の選択肢を広げるにあたり、放射線治療などの特殊な機器が必要となることも起こり得ます。

おうちのわんちゃんの寿命を延ばし、少しでも負担を軽減するために、二次診療施設での受診及び検査を検討しても良いでしょう。

専門性のある獣医師による診察が必要

難治性の疾患や症例数の少ない疾患であることがわかった場合、二次診療施設であれば同様に難易度の高い症例や非常に珍しい症例も数多く集まることがあるため、専門知識を持った獣医師の意見を聞き検査及び治療をしてもらう場合もあります。

治療の選択肢なども経験の豊富さから広く提案してもらえる可能性も高く、一時診療施設で長期にわたり治療をするも改善が見られない場合や、原因が解明できない場合などに二次診療施設への紹介という選択肢が挙げられることが多いです。

どの専門家の先生に診てもらいたいかという意見をかかりつけの先生に飼い主さんから伝えても良いでしょう。

持病などにより手術等の処置がハイリスク

わんちゃんへの負担の軽減や寿命を延ばすために手術が不可欠であることがわかった際に、すでに持病があって進行している場合、麻酔をかけることが体に大きな負担をかける場合は二次診療施設の外科の専門の先生を紹介して手術をお願いするケースもあります。

一次診療施設と比較して、麻酔機器や麻酔管理のためのモニタリング装置などがより充実している可能性が高いことや、術中に何か問題が起こった時にも対応が可能なスタッフが多く存在することなどから二次診療施設での手術が選択肢として挙げられることも考えられます。

二次診療施設のデメリット

お金と電卓

二次診療施設での受診は、おうちのわんちゃんの今後を考慮した際に、非常に有意義な選択肢であるということがわかりました。一方で以下のようなデメリットもあります。

地域によって存在に偏りがある場合がある

首都圏や大きな都市には二次診療施設が集中して存在する傾向がありますが、地域によってはまったく存在しないため、遠方まで行く必要がある可能性があります。

全身状態が問題のないわんちゃんであれば、長距離の移動も大きな問題になりにくいですが、全身状態があまりよくないわんちゃんであれば、移動だけでも大きな体への負担となってしまう危険性があるでしょう。

費用が高額になってしまう傾向がある

一次診療施設にはないような医療機器を使用した検査や治療の選択肢が増えますが、その分費用が高額になる傾向もあります。

もし治療や検査に対して予算が大まかにある場合は、紹介前にかかりつけの先生に相談してみても良いでしょう。

病院によってはどの程度の診療費で検討しているかということを伝えることができる場合も。実際にどの程度かかるかということは疾患や行う治療方針が決まってからでないとわからないこともあります。

心配であればどのくらいの費用であれば支払うことが可能かということをかかりつけの先生と紹介してもらう前に相談しておくと安心です。

予約が取りにくい傾向がある

紹介制であり予約制であるため、有名な先生や人気のある診療科は予約が取りにくい傾向があります。
しかし、全身状態が悪い場合や緊急性のある場合はかかりつけの先生から紹介時に伝えてもらえるケースもあるでしょう。

二次診療施設がいくつか選択肢として挙げられる場合、予約の取りやすい施設を選択するという方法も有意義です。

まとめ

飼い主と犬と獣医

おうちのわんちゃんが、少しでも健康的に長生きしてもらうために、信頼しているかかりつけの先生に生涯診察してもらうことが理想的ですが、状況によっては二次診療施設で適切な検査及び治療を受けることが飼い主さんの後悔を減らすことにもつながります。

しかし、突然の事態に悩むこともあるでしょう。そんなときにかかりつけの先生に不安なことや今後の方針、希望などをしっかり相談できる関係性が築けているととても安心です。

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