飼い主側の期待値と犬の理解とのギャップはなぜ生まれるのか?
皆様、愛犬に何かを教えている時『こんなに教えたのに何でできないんだろう?』『前はできてたのにできなくなった、なんで?』といったことはありませんか?
これは飼い主さんが『これだけ教えたからわかるはずだ』という愛犬への期待と教えられたわんちゃん側の理解度に乖離があるため起こります。
例えば「おすわり」を教えるとき、多くの飼い主さんは「これくらいは簡単に覚えられるはず」と考えがちです。
実はおすわりの動作ひとつ取っても犬が本当におすわりを理解するには大きく分けて2つのことが必要です。
おすわりを理解するために必要なことその1おすわりの姿勢を正しく教える
おすわりは「お尻を床につける」というシンプルな動作です。
その為、犬が座る際にお尻を左右にずらしたり、前にずり出てしまう動きを許してしまうと、「おすわり=お尻を床につける」という本来の意味を正確に理解できない可能性があります。
こうしたおすわり以外の細かい動きが加わると、飼い主さん側は「教えたはずなのにやってくれない!」と感じますが、実際には犬が「何を求められているか分かっていない」ことになります。
ですから、スポーツのフォームと同じで人側がどんな動作をゴールとするのかを明確にし、教えてあげる必要があります。
おすわりを理解するために必要なことその2一貫して教え続けること
犬は人間の言葉を完全に理解しているわけではありません。
「おすわり」という言葉の意味と動作を正確に認識するためには、繰り返し学ぶ時間が必要です。
おすわりという動作ができたというだけで『もう覚えたから大丈夫、できる』と判断してしまうと犬側の理解度に気づいてあげることが難しくなります。
例えば「おすわり」の動作をしっかり定着させるには、少なくとも10回から20回以上、正しい形を繰り返し教える必要があります。
しかし、それを一貫して続けることは意外と難しいものです。人間でたとえるなら、数回英語のフレーズを教えられただけで「すぐに外国人と話してみて!」と言われるようなもの。
それほどしつけは犬にとって高度な学習なのです。
まとめ
「これだけ教えたらできるはず」という期待を強く持ちすぎると、うまくいかない原因が見えにくくなり、犬にとって必要な学習量が足りないということが起こってしまいます。
しつけはスポーツのフォーム作りに似ています。正しいフォームで練習しなければ成果が出ないのと同じように、しつけも「正しいやり方」を「繰り返し練習する」ことでようやく身につきます。
「簡単なことを教えている」と思いがちな飼い主の意識を少し変えるだけで、しつけは大きく改善されます。
「愛犬にとっては難しいことを教えているんだ」と考えながら進めると、どうすれば分かりやすく伝わるかを工夫したり、愛犬の様子を慎重に観察したりする余裕が生まれます。
そうした気持ちが伝わることで、愛犬も安心して学ぶことができるのです。
「期待」と「現実」のギャップを埋めるのは飼い主さんの役割です。
期待を少し下げ、愛犬に寄り添うようにしつけを進めてみてください。
一貫したしつけを心がけ、小さな成功を積み重ねていくことで愛犬とともに豊かな生活を築くことに繋がります。