犬屋敷・猫屋敷の悲劇
はじめに
記事を執筆した後で、日本国内に「犬屋敷」「猫屋敷」という人名が存在していることを知りました。
この記事では、「多頭飼い」と違う飼育環境を表現するためにあえて使わせていただきます。
もし不快に思われた方がいらっしゃいましたら、深くお詫び申しあげます。
どうかご容赦ください。
犬屋敷の悲劇 ~犠牲になった犬たち~
ずいぶん昔の話になるので恐縮ですが、昔も今も根本的な問題は変わらないので、記憶を頼りに書かせてください。
これは私がまだ中学生だった頃の話。
我が家は当時借家住まいで、動物は飼えませんでしたが、向かいの家に4匹も猟犬(ポインターやセッターなどは、当時流行りの犬たちです)を飼っていたので、側を通る度に毎日のように犬たちに声をかけていたので、犬たちも私になついていたと思います。
そんな犬たちを「可愛いな」と思いながらも、でも子供ながらに気掛かりなことがありました。
それは、飼育環境が悪かったために、ご近所からは悪く言われていたことです。
近所で嫌われものの飼い主
犬たちのご主人は、趣味で狩りをするために飼っていたそうなのですが、夜になると放し飼いにしたり、犬に集中力をつけるためと餌をあまり与えていないなど、悪い噂が流れていました。
しかも、近所の農家の畑やニワトリをおそったり、逃げていく犬を何度も見た人がいました。
私もゴミ箱を漁ったりする犬を何度も見たのです。
農家さんの被害は深刻で、何度も直談判に行ったらしいのですが、一向に改善されなかったようです。
そして、ついに最悪の結果を迎えてしまいました。
犠牲になった罪のない命
ある朝、母が「とうとう、向かいの犬死んじゃったみたいね。何か毒を食べたらしいわ」
と言うのです。
慌てて外に行くと、犬は4匹のうち2匹がいませんでした。
いつもは庭掃除を毎日欠かさない向かいのおばさんが、その日以来めったに姿を見せなくなりました。
後から聞いた話では、犬たちはそれぞれゴミ集積所と側溝の中で死んでいたそうです。
何か毒を盛られたらしく、苦しんでいるのを通りがかった人が見つけて知らせたようでした。
証拠は何もありませんが、明らかに向かいの犬を狙って誰かが故意にしたことだと、はっきりしていました。
私は胸が痛くてたまらず、ずっと泣いていました。
これを書いている今でも、あの日の胸の痛みがこみ上げてきます。
『なぜもっと早く、なんとかしてくれなかったのか』
『ちゃんと飼っていてくれれば、犬たちは賢くて優しい子達だったのに』
『死なずに済んだのに』
その後、向かいのご主人は猟をやめたそうです。
定年後は家からほとんど出ることはなく、家も荒れてきていました。
我が家はその頃急に引っ越ししなければならなくなり、それ以後のことはわかりません。
しかし、この出来事がいつも心の片隅に刻まれていました。
そして、いつか犬や猫を飼う日がきたら、必ず大切にして幸せにしてあげよう、誰にも迷惑かけないように環境を整えてあげよう、と固く誓いました。
そして、月日は流れ、私は愛犬たちと出会い、更に縁あってペットの仕事につくことができました。
毎日愛犬達と幸せで充実した日々を過ごしていました。
しかし、またしても悲しい現実と向き合うことになってしまったのです。
猫屋敷の場合~人間嫌いの飼い主~
ある日、高齢女性が売り場に現れて言いました。
「外で使える猫用の長いトンネルがほしい」
よくよくお話を聞いてみると、女性のお宅には少なくとも50匹以上の猫が出入りしていて、ご近所からは毎日のようにクレームがあるのだそうです。
女性は一人暮らしで、とても行き届いた世話ができる環境とは思えません。
既に何匹もの猫が毒殺されたり、暴行されているというのです。
「猫が嫌いな人間は皆ばかじゃ!大ばかじゃ!」と怒りをあらわにする女性。
とてもちゃんと話を聞いてくれそうにないので、私も他の店員も困ってしまいました。
そして、業務に関係ない話は禁じられているので、それ以上は深く話を聞くことができませんでした。
結局、一通りまくし立てて気がすんだのか、女性は帰っていきましたが私は本当に心が痛くてたまりませんでした。
もし女性の話が本当なら、すでに嫌がらせや暴行を受けているのだから、エスカレートしてもっと大きなトラブルが起きるのではないか?
そして、あの女性に万が一のことがあったら?
50匹以上いるという猫たちは、これからどうなるのでしょう。
たくさん飼うことがいけないこととはいいません。
ただ、責任を持ってしっかりと避妊なども考えて飼わなくてはいけないと思います。
50匹以上の猫たちが同じ場所で暮らして、どんどん増えてしまえばどうなるか、誰にでもわかることだと思います。
当然トラブルも大きくなってしまい、その女性も猫達も望まない結末を迎えることだって考えられます。
最近になって「アニマルホーダー」という心の病気があることを知りましたが、この2つの事例はそれとは違うように思います。
アニマルホーダーについては、また別の機会に改めてお話したいと考えています。
無人島に暮らすのでもなけれぱ、人としてモラルを守り生活することは必須です。
自分さえよければと考えず、まずは大切なペットを幸せにするためにも情報交換したり、獣医さんやトレーナーさんにも相談できるようにしておきましょう。
もし皆さんの身近にこのような方がいたら、できるだけ話を聞いてあげてください。
もしかしたら、ほんの少しでも心が動いてなにかが変わるかもしれません。
ユーザーのコメント
女性 匿名
女性 犬人
それが多頭で猟犬となるとさぞかしご近所の人達は不安だったことでしょう。
平成になり、犬の室内飼育が当たり前になってきてから放浪犬は随分少なくなりました。
しかし多頭飼育は減っていないどころか増えていると思います。
一頭でも日常の世話、散歩のときに払う注意は大変なのに、
道いっぱいに広がって複数頭を一人が散歩させていたり、
しまいには公園などでノーリードにさせたり。
こんなマナー違反、迷惑飼い主のせいで毒餌事件は後を絶たないのだと思います。
私は一般の一家族で責任もって管理できる頭数はせいぜい二頭までだと思います。
扱う犬が増えれば増えるほど、吠え声などの騒音、脱走、他の犬との喧嘩、
糞尿の始末忘れ、危険な物の誤飲、交通事故、他者を咬むなどのリスクが高まりますし、
実際に私の周囲にもこの手のトラブルが一頭飼育より断然多いです。
猫に至ってはもう悲惨ですね。野良猫を公園に集めて餌やりするだけの人達も含めたら・・
過剰多頭というと犬種にもよりますが、イメージ的にだいたい5頭以上でしょうか。
日本は家も庭も近隣との間隔も歩道も公園も狭いのに人口過密で交通量が多く、
諸外国のように犬を何頭も引き連れて優雅に歩くなんてことはできません。
この記事の通り、最終的に犠牲になるのはそんな無知無責任な飼い主の犬猫達です。
いろんな人に真剣に考えてほしいテーマですね。
女性 匿名
女性 匿名
その女性は退院したあと引っ越し先でまた多頭崩壊でニュースになりました。法整備を叫びたいです。
女性 匿名