トリミングの必要性
まず、「トリミング」とはどんな施術のことを示すのでしょうか。
「トリミング」とは、「伸びすぎてしまった被毛をカットして整えること」を指します。
犬種によって必要な頻度やサロンにお願いする必要性の有無などは異なります。
また、シャンプーやトリートメントで皮膚や被毛を清潔にすることも大切ですが、そのことも含まれるか否かはトリミングサロンによって異なります。
では、なぜトリミングなどのケアは必要なのでしょうか。
シャンプーの頻度
まずシャンプーなどの皮膚や被毛のケアはどんな犬種でも必要です。
外で遊ぶことが好きな子であれば、汚れが付着するため、除去してあげる必要があります。
汚れがあまり付着しない子であっても、皮脂や抜けるべき被毛などをマッサージしながら除去してあげることは大切です。
季節やその子にとって清潔な皮膚を維持するために適した頻度でシャンプーを行なってあげましょう。
プロのトリマーさんにお願いするのも良いと思いますが、家庭で若齢のうちから少しずつ慣らしてあげることも、皮膚の健康チェックの一環になるため有意義です。
カットの必要な犬種
多くのわんちゃんたちの被毛は一定の周期で抜け替わっています。
しかし、犬種によっては被毛が伸び続ける犬種も存在します。
トイプードルやマルチーズ、シーズーなどが挙げられます。
眼周りなどの被毛も体の被毛と同様に伸び続けるため、定期的にカットをしてあげないと眼が被毛で覆われてしまったり、眼球を傷つけてしまうなどの問題が起こります。
被毛の伸びない子も、季節に応じてサマーカットをしたり、お尻周りなど汚れやすい子は被毛を短めにカットするなどをしてあげると、飼い主さんのお手入れものストレスもわんちゃんの汚れやもつれによるストレスも負担が軽減される可能性が高いです。
定期的にお手入れしなければならない部位
トリミングというと被毛のお手入れのイメージが大きいですが、お手入れが必要な部分は他にもあります。
例えば、爪切りや肛門腺絞り、足裏の被毛のカットなども欠かせません。
爪は伸びすぎてしまうと、溝などに引っ掛けて折れてしまったり指を怪我する原因になってしまいます。
肛門を中心とすると挟んで4時と8時の位置に存在するにおいの腺の袋を肛門嚢と呼びます。
肛門嚢には肛門腺液と呼ばれる臭い液体が徐々にたまるのですが、興奮の際や排便の際に排出される子もいれば、絞ってあげないとたまりすぎて肛門嚢がパンパンになったり、破裂してしまう場合があります。
破裂を防ぐために、定期的に絞ってあげる必要があります。
また、体の被毛同様に、足裏の被毛もだんだん伸びます。
伸びすぎると肉球を覆ってしまい、踏ん張りがきかなくなってしまったり、滑って転んでしまう危険性があるため、定期的なカットが必要です。
おうちのわんちゃんに負担をかけないために、こまめなお手入れをしてあげましょう。
トリミングを怠るとどんな問題が起こるの?
飼い主さんの都合やトリミングサロンなどで予約がなかなか取れないなどの理由でトリミングを延期せざるを得ない状況も生じてしまう場合もあるでしょう。
そんなときに「トリミングって行わなければならないのかな」と思ったことのある飼い主さんもいるのではないでしょうか。
しかし、トリミングを怠ってしまうといろいろな問題につながることがあるのです。
皮膚トラブルを起こす
被毛の下に皮膚が存在します。
皮膚が汚れてしまうと、皮膚のコンディションは悪化し免疫バリアも低下し、皮膚表面上に普段から存在する細菌が異常増殖してしまったり、炎症を起こしやすくなることがあります。
また、被毛が伸びてしまうと、もつれてフェルト状に固まってしまうことで、皮膚と被毛の間に汚れを密着させてしまい、皮膚炎の原因になる場合もあります。
もつれなどによるトラブル
被毛が伸びるタイプの犬種の子や、伸びなくても被毛が細い子は摩擦が起こりやすい部分でもつれが生じてしまうことがあるので注意が必要です。
例えばわきの下や太ももの付け根などは摩擦が起こりやすく、もつれが生じやすいです。
この部分だけでなく、洋服を良く着る子などは、洋服と被毛の間で摩擦が起こり、もつれになってしまう場合もあります。
もつれが出来ることで、被毛が皮膚を覆ってしまい、通気を悪くしたり、汚れに蓋をしてしまうことで皮膚炎の原因になることがあります。
また、もつれができやすいわきの下や太ももの付け根の近くには肩関節や股関節があります。
もつれにより関節の可動性が低下してしまい、思うように動けず、わんちゃんの負担になってしまうことがあるため注意が必要です。
近くにある器官に影響を及ぼす
被毛が伸びる犬種の子の場合、特に気を付けなければならないのが、顔周りの被毛です。
眼周りや口周りの被毛が伸びすぎてしまうと、眼球を傷つけたり、涙を眼がしらに蓄積させてしまうことになり皮膚炎につながることもあります。
口周りの被毛の伸び過ぎにより、ごはんの汚れが溜まってしまったり、よだれによる汚れで皮膚炎の原因になることもあるため、短く維持しておくことで、お手入れがしやすくなるでしょう。
トリミングの際に何を重視したらいい?
定期的なトリミングは犬種によっては不可欠です。
しかし、中にはトリミングが特に苦手な子や、持病などによってトリミングが難しい子も存在します。
そんなときに、負担をかけずに健康的な被毛や皮膚の維持のために有意義なトリミングにするにはどのようなことを重視すべきなのでしょうか?
トリミングのスタイル
まずトリミングの際のカットのスタイルによっても負担は異なります。
テディベアのような被毛の長さを維持しつつ、丸みを帯びさせるようなカットや特徴的な曲線を維持したスタイルなどはバリカンでなくハサミのみで仕上げることもあり、時間がかかる傾向があります。
一方で、一定の被毛の短さにそろえるのであれば、大部分をバリカンで仕上げるため、短時間で済ませられる可能性があります。
その子の性格や筋肉量、関節への負担の有無などで、飼い主さんの希望するスタイルとその子にかけられる時間を考えた時に、現実的に可能かどうかという問題が生じます。
まずは飼い主さんがおうちのわんちゃんに試してみたいカットスタイルを見つけて、トリマーさんなどの専門家に相談をしたうえで、その子に無理のないスタイルに合わせてもらえると、無理なく理想通りのスタイルに近づけられるでしょう。
トリミングにかかる時間
トリミングにかかる時間もカットスタイルやその子の被毛の状態によっても異なります。
例えば、前述のようにカットをバリカンで行なって、所要時間を短くできる方法を選択した場合であっても、もつれが多い場合などは、カットに至るまでの処置に時間がかかり、よりトリミングに時間がかかってしまうケースもあります。
短時間で済ませられるように考慮する場合、トリミングの頻度などで、もつれの予防や目的のカットのみを速く行えるようにすることや家庭でのケアを行うなど、対策を考えなければいけないかもしれません。
トリミングに通える頻度
その子の持病や健康状態、トリミングの得意不得意でトリミングに通える頻度も変わってくるでしょう。
トリミングの所要時間を短くするために行えることとして、トリミングの頻度を増やすことで、よりカットの量を少なくする方法や、思い切って短くカットしておくことで、次回以降までのトリミングの回数を減らすことやカットする量を減らすなどの対策も出来る可能性が高いです。
かわいく清潔なスタイルを維持することももちろん大切ですが、健康状態やその子の性格に合わせて負担のないトリミングの様式を選んでもらうことも大切です。
まとめ
トリミングの場合、トリミングサロンに預けて、終わってからお迎えをするケースも多く、トリミング中の様子やどんなことをしているかということがあまり知られていないケースも多いのではないでしょうか。
かといって、お家でのトリミングはカットなどで嫌がってけがをしてしまうケースもあるので、無理をしてお家で行なうこともおすすめできません。
専門家であるトリマーさんは、その子に適したスタイルはもちろん、その子の性格や健康状態に応じて、適切なトリミング方法や負担を軽減できる方法の選択肢をたくさん持っている可能性が高いです。
まずは信頼できるトリマーさんを見つけて、不安なことや、トリミングを終えて家庭でのわんちゃんの様子や、最近の健康面での変化などの情報を共有しながら、その子の状態に応じて適した方法やスタイルを相談しながら決められると良いでしょう。