【獣医が解説】愛犬と「長距離旅行」が決まったら…事前準備や移動時に配慮する事、連れて行けない場合の対処法

【獣医が解説】愛犬と「長距離旅行」が決まったら…事前準備や移動時に配慮する事、連れて行けない場合の対処法

わんちゃんは大切な家族の一人です。出来ればどんな時も一緒にいたいですよね。しかし、長距離での旅行が決まった時に、わんちゃんもいっしょに行けるのか、どうしたらいいのか困ったことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。そんな時にどうしたら良いのか、どんな選択肢があるのかについてお話させていただきます。

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記事の提供

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

どこまでなら行ける?

飛行機に乗ってる犬と飼い主

わんちゃんと一緒に出かける場合、どのような手段で出かけるのか、どこで行けるのかということを考えたうえで、お出かけ先を決めたり、お留守番にするかどうかを決める必要があります。

わんちゃんのお出かけの方法としてどんなものがあるのか、どこまで行けるのか、どんなことをしなければならないのか、知っていますか?

飛行機の搭乗

わんちゃんの移動というと陸路での移動をイメージしがちですが、飛行機に搭乗することも可能です。

ただし、搭乗の方法は航空会社によって異なります。

海外の航空会社などでは、大きさに限度はありますが、キャリーケースに入れた状態で足元に置くなどの条件付きで機内で一緒に登場することが出来るケースも多いです。

一方で、日本の航空会社ではキャリーケースに入れたうえで、貨物室で過ごすことになります。

吠えてしまうわんちゃんや、飼い主さんと離れることが苦手なわんちゃん、キャリーケースやクレートに入ることが苦手なわんちゃんは飛行機の搭乗がわんちゃんにとっても負担になってしまうことが考えられるでしょう。

また、もう一つ考慮しなければならないのが、事故などの問題が起こった場合です。

対応は航空会社によっても異なりますが、人命優先となることも多く、わんちゃんや猫ちゃんの避難はむずかしくなってしまうケースもあり得ます。

万が一そういった場合に後悔が残らないかどうかということも考えておく必要があるでしょう。

海外への入国

わんちゃんとの海外への外出も可能です。

その場合、国によって入国するために通過する検疫の条件が異なります。

感染症の予防や健康状態の証明、マイクロチップの挿入など、各国ごとに指定されている条件や、それに付随する書類の提出が必要となります。

各国の大使館や、検疫に問い合わせて、書類や用意すべき処置を期限までに指定通りに行う必要があり、慣れていないと複雑で難しいかもしれません。

また、獣医さんに処置をお願いするタイミングなども、飼い主さんがスケジュールを組む必要があり、お出かけの準備などと併せると、かなり忙しくなってしまうことも多く、簡単に連れて行けるわけではないため、飼い主さんご自身が出来そうであるかどうかということも含めて慎重に考慮した方が良いかもしれません。

また、狂犬病の予防などが必須とされていますが、日本とは異なり、日本にはないような感染症や、狂犬病もまだ身近にあるような国も多いです。

楽しい思い出を作るはずが、わんちゃんにリスクのある旅になってしまう危険性もあるため、本当に同伴すべきかということも良く考えた方が良いでしょう。

電車の乗車

飛行機に乗せる空路の旅行などと比較すると、陸路での外出は少しハードルが下がる傾向があります。

飼い主さんの車での外出であれば安心ですが、長距離などで公共の交通機関の使用を検討しなければならない場合もあり得ます。

そんな時に、まず思いつくのが新幹線を含む電車ではないでしょうか。

乗せる条件や、運賃などは会社によって異なりますが、条件を守ればわんちゃんも電車に乗車することは可能です。

キャリーケースやクレートなどのケースに入れて乗車することが条件となるケースが多いため、ケース内で過ごすことが出来る子かどうかということが、移動手段として電車を選択できるかどうかのポイントになるでしょう。

また、周りにはわんちゃんが苦手な方も一緒に乗車するため、吠えないようしつける、排泄のコントロールをするなどのマナーを守ることも大切です。

どんなことを配慮しなければいけない?

クレートと犬とスーツケース

わんちゃんが移動するために、お散歩のように歩くことや、自家用車だけでなく公共の交通機関を使用することも可能なことがわかりました。

では、もし使用する場合はどのような配慮や準備をしなければならないのでしょうか。

おうちのわんちゃんの性格

まず、どの移動手段を選ぶかを選択するにあたり、おうちのわんちゃんの性格を考慮したうえで決める必要があります。

クレートやキャリーケースの中で落ち着いて過ごすことはできるか、飼い主さんがそばにいない状況で落ち着いていられるか、吠えずにいられるか、排泄のコントロールをできるか、車酔いのしやすさや持病などの健康面での問題は無いか、などが主に考えなければならない項目です。

飼い主さんのマナーとしても、他の人に迷惑をかけないよう配慮する必要があります。

もし他の人に迷惑をかけてしまうようであれば、そして迷惑をかけないように配慮した結果、その方法があまりにもわんちゃんに無理をさせる方法で、わんちゃんに大きな負担になってしまうのであれば、その方法は選択すべきでありません。

どのような準備をしなければならないか

移動手段やお出かけ先がある程度決まったら、わんちゃんの滞在や移動のために何が必要になるかということをまず調べなければなりません。

クレートなどを持っていない場合は、購入をして、お出かけまでに家庭でクレートの中で過ごす練習などをして慣らしておく必要があります。

落ちつかせるために、移動の際に使用する毛布やハウスなども用意しなければならなくなる可能性もあります。

また、もし海外へ行く場合に、検疫を通過して入国しなければなりません。

そのために必要な医療処置をかかりつけの先生に依頼することや書類などの準備も飼い主さんの役割になります。

検疫を通過するための条件に関して、入国前のどのくらいの期間までに済ませるなどの器官の指定もあることも多いため、間に合わなくならないように計算して準備をしなければならない場合が多いです。

移動手段の特性

移動手段を選択するにあたり、それぞれの特性を把握する必要があります。

例えば、飛行機であれば貨物室に入り、飼い主さんと別々に過ごす可能性があることや、もし一緒に同乗することを希望する場合は、可能な航空会社を選択しなければならないことなどが挙げられます。

新幹線や電車であれば、飼い主さんと近くで乗ることが出来るというメリットはありますが、時間が長くなる可能性もあり、季節によっては温度管理が無理のないものであるかどうか、排泄を我慢させられるような時間かということなども配慮しなければなりません。

自家用車であれば、周りの人がいない分、おうちのわんちゃんの安全だけ考慮して、安全のためのシートを用意することや、車酔いなどがある場合はその対策をするなど、配慮すべき点は公共の交通機関と比較すると少なくて済む傾向はあるでしょう。

連れて行けない場合はどうしたらいい?

ペットシッター

いろいろな移動手段やお出かけ先があり、調べたうえで、どうしてもわんちゃんを連れて行くことはリスクが伴ったり、負担が大きくかかってしまう場合には、お留守番をさせるという選択も有意義です。

ただし、わんちゃんだけを残して留守番をさせることは、食事や排せつ、いたずらや事故などのリスクもあり、精神的にも大きな不安を感じさせる危険性があるため、絶対にしてはいけません。

それではどのような対策をとればよいのでしょうか。

ペットホテル

一番安心なのは、ペットホテルへわんちゃんを預けることです。

ペットホテルを行なっているところは、動物病院やトリミングサロン、ドッグトレーナーさんのお家など様々です。

また、それぞれの場所によって、特性が異なります。

広いお部屋で預かってくれるホテルや、たくさんの他のわんちゃんたちと一緒に遊びながら預かってくれるホテル、動物病院では健康チェックや健康診断なども併せて行ってくれるところなどもあります。

おうちのわんちゃんにとって、どのようなスタイルがストレスなく安心して過ごせるか、飼い主さんとして、どのようなことを重点的に考慮して預かってくれる場所が良いのかということを考えたうえで選択できると良いでしょう。

可能であれば、何度か練習として預けることで必要な時に預ける際に、過度の緊張や疲れなどを感じさせずに済む場合もあります。

ペットシッター

お家にお世話をしに来てくれるペットシッターさんもいます。

インターネットなどでマッチングをする場合や、動物病院・トリミングサロンなどで紹介してもらう場合など、見つける手段はいろいろ存在します。

決まった時間にお家を訪問してもらい、わんちゃんのお世話をするという方法が一般的なのではないでしょうか。

この場合、お家でのお世話でわんちゃんは慣れた場所なので、緊張などの負担を軽減できる可能性もあります。

ただし、自宅というプライベートエリアに入っていただくことになるため、トラブルなどが起こる危険性もあります。

予め約束事を決めておくことや、何かがあった時に保証してもらえるような、個人ではなくペットシッターの団体に所属しているような方を選ぶなどの対策でリスクは軽減できる可能性が高いです。

親戚などの知り合いに見てもらう

ご家族や知り合いにお世話してもらうことがあれば、わんちゃんも顔見知りの方で、性格もわかっていたり、安心な面も多いでしょう。

お家へ招くとしてもご家族であれば安心ですし、よく行くご家庭の方であれば、預かり先でもわんちゃんも緊張せずに過ごせる可能性が高いです。

安心な面は多そうですが、やはりプロではないため、問題が起こりやすいこともデメリットの一つに挙げられます。

また、お友達関係などであっても、飼い主さんにとってはわんちゃんは家族かもしれませんが、あくまでも動物さんであり、お世話の仕方や依頼されることへの嫌悪感などトラブルにつながるというケースもあります。

依頼する前に、本当にお願いしても良いのかどうか、依頼した方にとっても負担にならないかも含め考慮する必要があるでしょう。

まとめ

わんちゃんとの長距離のお出かけは不可能ではありませんが、考えなければいけないことがたくさんあることがわかりました。

わんちゃんと生活したことで、できることが少なくなってしまい、飼い主さんの負担が大きくなりすぎてしまうことや、わんちゃんと楽しい思い出を作れないことはわんちゃんとのデメリットに感じるかもしれません。

しかし、飼い主さんが楽しいと感じることであってもわんちゃんにとって楽しいとは限りません。

また、飼い主さんは楽しい思い出を作れても、預けられることなどでわんちゃんは悲しい想いをしたり、その子の性格によっては大きな負担になってしまうこともあります。

おうちの子の性格や体質を考えたうえで、それぞれの飼い主さんのご家庭ではわんちゃんとのお出かけはどうすべきか、負担なく一緒に楽しい思い出にできるような方法が見つけられると良いですね。

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