泌尿器系の病気
寒い時期になると、どうしても散歩の回数や時間が減りがちです。犬の体調を考えて、あえて短めの散歩にされる飼い主さんも多いでしょう。
散歩が減るとトイレの機会も減りがちになります。また運動量が減ることで飲水量が少なくなり、尿の量も減ります。
こうして尿が膀胱の中に長く留まることで、膀胱に負担がかかったり、細菌や結石が生じやすくなります。その結果、膀胱炎や膀胱結石が起こりやすくなります。
症状としては以下のものが多いです。
- トイレに頻繁に行くが、尿があまり出ていない
- 尿の色がおかしい
- トイレの時に痛そうに鳴く
こういった症状があれば動物病院へ連れて行きましょう。
対策としては、
- 水分の多く含まれるウェットフードを与える
- いつでも水が飲みやすいように常に新鮮な水を用意してあげる
- トイレに行きやすい環境を整えてあげる
- 一日数回は散歩に連れていく
といったことが大切です。
関節の病気
冬の寒さは膝や腰などの関節に悪影響を与えます。これは犬も私たち人間と同じです。
寒い時期は血行が悪くなり、関節の周りの筋肉が固くなってしまいます。また、寒さにより運動不足になりがちとなり、ますます関節や筋肉の動きが悪くなります。
寒い時期は犬も飼い主さんも室内で過ごす時間が増え、どうしてもフードやおやつの量も増えがちです。食事量が増え、運動が減ることで太ってしまう場合は、さらに腰や膝への負担が増すでしょう。
このように、寒い時期は関節への負担が増え、関節炎などの問題が生じやすくなります。
関節炎の予防のためには、
- 運動不足になっている犬に急に激しい運動をさせないこと
- 太らせないよう気を配ること
- 一日に数度は適度に体を動かせるように遊んであげる
といったことが必要になります。
元々、関節炎を患っている犬や、以前に関節痛を訴えたことがある犬は、前もって犬用の関節のサプリメントなどを与えたり、サポーターを使用したりといった対策も効果的です。
呼吸器系の病気
冬の乾燥した冷たい空気は、鼻や喉の粘膜を荒らす原因になります。また、湿度が低いことでウイルスが空気中に浮遊しやすくなり、呼吸器への感染を起こしやすくなります。さらに、寒さで体が冷えることで犬の免疫力が低下してしまいます。
こうした要因から、寒い時期は鼻や喉の炎症や感染症を起こす犬が多くなります。特に免疫力の弱い子犬や体力の落ちている高齢犬、持病のある犬は要注意の時期となります。
気管虚脱や慢性気管支炎を患っている犬も乾燥した冷たい空気が刺激となり、咳が増えやすいので要注意です。
加湿器などで湿度を保ってあげましょう。呼吸器の問題は、重症化すると命に関わります。咳がひどい場合は早めに動物病院を受診してください。
心臓・循環器系の病気
寒い時期は全身の血管が収縮するため、血圧が上がり、心臓の負担が増えます。特に僧帽弁閉鎖不全症などの慢性心臓病を患っている犬は要注意です。また、暖かい場所から寒い場所へ急に移動することで、急速に血管が収縮し心臓に強い負荷がかかります。
特に見られやすい症状は以下のものがあります。
- 呼吸が荒くなる
- 咳が出る
- 食欲不振
- 動かなくなる、動くとキツそう
こういった症状が見られ、すぐに落ち着かない場合は早めに動物病院を受診しましょう。
対策としては、
- エアコンなど暖房器具でしっかり暖を取れるようにしてあげる
- 興奮せずにゆっくり休めるような環境を作る
- 急に寒い所に出さず、外出する時は服を着せるなど、防寒に気をつける
などが上げられます
嘔吐・下痢など消化器の症状
誤飲・誤食
冬は、イベントごとの多い時期です。集まってパーティーをされる方や、屋台で食べ歩く方も多いと思います。ご自宅でお鍋をする方も多いでしょう。
こうした状況で犬が落ちているものを拾って食べてしまうケースが日頃より増えてしまいます。
実際に動物病院でも以下のような受診例が増えています。
- チキンを骨ごと食べてしまった
- 子どもが落としたチョコレートケーキを食べてしまった
- 目を離した好きに鍋を食べていた、机に置いたままのお酒を飲まれていた
人の食べ物で、犬にも問題ないケースもありますが、中には中毒を起こしてしまうものもあります。
与えるつもりの無いものを犬が誤って口にしてしまわないように、いつも以上にご注意ください。特にご自宅でパーティーを行った際、屋台の並ぶ初詣などに出かけた際は気をつけましょう。
ストレスによる胃腸炎
犬もストレスでお腹の調子が悪くなります。冬から春にかけて、人が集まる機会が増えるので要注意です。慣れない人と長時間一緒にいたり、長時間の移動や、宿泊などで体調を崩すことがあります。
犬本人が怖がって緊張してストレスがかかる場合が多いですが、「日頃会わない人と会い、嬉しくて遊び回っていたが、後日になり下痢をし始めた」というケースもあります。
一日のうちに静かにリラックスできる時間を設けてあげることが必要です。例年同じように宿泊や来客後に調子を崩す場合は、リラックス効果や抗不安効果のある犬用のサプリメントもあるので一度獣医師に相談してみましょう。
ウイルスなどによる胃腸炎
呼吸器の病気と同じように、冬はウイルス性の胃腸炎も起こりやすい時期です。パルボウイルスなど命に関わるケースもありますので、予防できるものはあらかじめワクチン接種で予防しておきましょう。
火傷
冬場にはストーブなどで火傷を負ってしまう犬もいます。柵を設けるなどして対策しましょう。
また、犬が勝手にスイッチを入れて火事の恐れとなるケースもありますので、飼い主さんの外出時も注意が必要です。
まとめ
寒い時期に増える犬の体調不良について解説しました。
この時期、体の抵抗力は下がりがちになり、ウイルスなどは感染力を増します。そんな中、人や犬が集まるイベントごとも多い時期です。
その分、日頃起きないトラブルも起こりやすいです。 あらかじめ対策をして、様子がおかしければ早めに動物病院に相談しましょう。
体調を崩しやすい犬・拾い食いしやすい犬・体力の落ちている犬は特に気をつけて過ごしてください。