「犬」の中国語の読み方
「犬(いぬ)」は中国語で何と言うのでしょうか。中国では「犬」という漢字を使うことはありますが、一般的に犬自体を指すときは「狗(ゴウ)」と呼びます。
子犬や小型の小さい犬の場合は「小狗(シャオゴウ)」、雑種やミックス犬は「混血狗(フンシェゴウ)」と言います。ワンコやわんちゃんのように親しみやすく呼ぶときは「狗狗(ゴウゴウ)」を使います。
「犬を飼う」を中国語で伝える時は「养狗(ヤンゴウ)」となります。犬の飼い主は「狗主(ゴウシュ)」、犬を飼っている人という意味で「养狗人(ヤンゴウレェン)」などと呼ばれます。
「犬」と「狗」の中国語での違い
「犬」と「狗」はどちらも犬を意味する漢字ですが、「犬」という漢字は単独で使われることはありません。例えば、警察犬は「警犬」、軍用犬は「軍犬」、狂犬病は「狂犬病」、ドッグショーは「犬展」のように他の言葉と合わせた慣用句や固有名詞として用いられます。
中国で「犬」という漢字は犬種などをあらわすときにも用いられ、柴犬や金毛犬(ゴールデンレトリバー)、英国雪达蹲猎犬(イングリッシュセター)などのように使われます。中国語の犬種名は、英語の犬種名を中国語に変換し当てているものが多いので、漢字を知っている日本人は中国語を知らなくてもイメージしやすいかもしれません。
「犬」と「狗」には、入れ替えて使用できない言葉が存在するということを覚えておきましょう。警犬(警察犬)を「警狗」、狂犬病を「狂狗病」などのように表現することはできません。
「犬」の中国語での発音
「犬」の中国語での発音記号(ピンイン)は「quǎn」で、カタカナ読みをすると「チュアン」です。一方、「狗」のピンインは「gǒu」で、カタカナ読みすると「ゴウ」となります。「犬」を使う場合の発音を、以下にいくつか挙げました。
- 警察犬…ジンチュアン
- 軍用犬… ヂ(ュ)ィンチュアン
- 狂犬病…クアンチュアンピン
- 犬展(ドッグショー)…チュアンチャン
「q」の発音の仕方は、日本語の「イ」の口の形より少し大きく横に開き、勢いよく息を「チ」と吐き出します。また「uǎn」の「u」は、日本語の「ウ」のように口をすぼめ、口笛を吹くような形で「イ」と発し、「イ」と「ユ」の中間のような音を出します。
「uǎn」の「ǎ」は日本語の「エ」よりも少し口を大きく開け、「ア」「エ」の中間の音になるように発音します。最後に、舌先を上の前歯と歯茎の境目にしっかりとあて「ン」と発音しましょう。
日本人にとって中国語の発音は難しいと言われていますが、発音の仕方を頭で理解した上で、実際に声に出して繰り返し練習することが大切です。
中国での犬の鳴き方
日本語では犬の鳴き声を「ワンワン」と答える人がほとんどですが、中国語でも犬の鳴き方を「汪汪(ワンワン)」と表現しています。
犬以外の動物では、猫は「喵喵(ミャオミャオ)」、羊は「咩咩(ミエミエ)」、牛は「哞哞(モウモウ)」、豚は「呼噜呼噜(フールーフールー)」、ネズミやスズメなどの小動物は「吱吱(ズーズー)」などと表現され、国によって動物の鳴き声の表現が異なることが分かります。
「犬」にまつわる中国語の表現と意味
日本語や英語、中国語でも、犬をはじめとして動物を使ったことわざや表現はたくさんあります。中国語の場合、犬や牛、馬といった馴染みのある動物だけでなく、龍や鳳といった想像上の動物もよく使われています。中国語で「狗」が使われた慣用句やことわざをご紹介します。
狗猪不食其余(狗猪も余を食わず)
中国語での犬にまつわる有名なことわざに、「狗猪も余を食わず」という言葉があります。人の道から外れた人間が食べ残したものは、犬や豚ですら食べないということから、恩知らずな人を蔑む語句として用いられます。
狗尾続貂(くびぞくちょう)
中国語で「狗尾」は犬の尻尾、「貂」は動物のテンを意味します。中国、西晋(せいしん)の時代に帝位を称していた趙王司馬倫は、一族の能力の劣った者までも高位につけようとしました。そのため冠に飾るはずのテンの尾が不足し、犬の尻尾で代用することになるだろうと、当時の人々が嘲笑ったという故事がこの言葉の由来となっています。つまらない人や能力の足りない人が高位につくことを意味する言葉です。
犬守夜 鸡司晨(餅は餅屋)
「犬」が使われた中国語のことわざに「犬守夜 鸡司晨」があります。意味は「犬は夜の番をし、鶏は時を告げる」で、何事においてもそれぞれの専門家にまかせるのが一番良いということの例えとして使われます。日本のことわざの「餅は餅屋」と同じ意味です。
まとめ
「犬」という漢字は、中国語でも犬を表す言葉で使われていることがわかりました。しかし、「犬」とう言葉を指す中国語としては「狗」が使われ、「犬」と「狗」とでは使い方に違いがあります。
動物の鳴き声やことわざなど、国によって表現の方法に違いがあるということを知れると面白いですね。今回は中国語を紹介しましたが、興味のある方は他の国の「犬」の読み方や意味について調べてみてはいかかでしょうか。