ご存知ですか?虐待を受けた動物のその後について

ご存知ですか?虐待を受けた動物のその後について

日本において、虐待を受けた動物が果たして救われているのか・守られているのか、ご存じですか。命が命として扱われていない現状に、今の法律のもと、虐待を受けている動物を守ることができない現状に、署名を通して一緒に声を上げませんか?

知らないほうが良かった?-動物虐待の現状-

大好きな童話や昔話に、実は後日談や別のストーリーがあると知って衝撃を受けたことはありますか。著者にとって、シンデレラがまさにそれでした。

はじめてシンデレラの原作を読んだとき、キラキラと幸せな気持ちになる映画とは異なる残酷な内容にショックを受けたことを今でもよく覚えています。

ただ、動物たちが置かれている現状を知ったときの衝撃は、もしかするとシンデレラ以上のものだったかもしれません。

命が命として扱われていない理不尽な現状の中でも、特に理不尽極まりない形である虐待からでさえも動物たちを救い出すことが、現行法のもとでは難しいのです。

痩せ細った犬

増加傾向にある動物虐待の検挙数

警視庁のまとめによると、2022年1年間、動物虐待の検挙数は166件となり、187人が逮捕・書類送検されました。

この数は、統計を始めた2010年以降では、件数・人数ともに、2021年に次ぐ2番目に多い数となっています。ただ、このように表に出てくる事件は、ほんの一部に過ぎないと考えられています。

結局は守れない-所有権の壁とは?-

では、事件が表面化している・していないに関わらず、果たして虐待を受けた動物は守られているのでしょうか。この問いに答える上で、重要なキーワードの1つでもあり、動物虐待の問題、ひいては伴侶動物と人との関わりにも繋がる問題の1つが「所有権の壁」です。

所有権の壁とは、動物の所有者(以下、「飼い主」)が持つ “所有権”という権利が動物を守る上で、弊害となってしまう問題を指します。

具体的には、例えば炎天下の車に閉じ込められている等、命の危険が迫っている状況であっても所有権の壁が立ちはだかりすぐに一時保護が難しいという問題や、どんなにひどい虐待で有罪になっても、飼養環境が不適切であり改善の余地がなくとも、所有権が放棄されない限り、飼い主のもとに動物を返さなくてはいけないという問題が挙げられます。

動物の飼い主が虐待の罪で逮捕されたというニュースを見た方の中には、「逮捕されたから、動物たちは助かる!良かった!」とホッとされた方も多いのではないでしょうか。

ところが現実問題として、この所有権の壁が、動物を救う上で高い壁として立ち塞がっているのです。

保護団体や警察や行政等の必死の説得によって、飼い主が所有権放棄に応じ、新たな飼い主に譲渡されるケースもありますが、所有権という強い権利を飼い主が所有している限りは、虐待を受けた動物は、虐待をした飼い主のもとに戻されてしまうのです。

結局は守れない-私たちが感じた無力感と目標-

2021年、動物取扱業者に対する数値規制の施行にあわせて、私たちは動物虐待に関する啓発活動を始め、通報の重要性についても訴えてきました。

しかし同時に、所有権の壁等の高い壁の存在により、たとえ勇気を振り絞った通報があったとしても結局は救えないかもしれないという現実に対して、無力感を感じてきたことも事実です。

そして、この現状を多くの方々と共有し、一緒に声をあげてくださる方々と共に現状を変える、ということが、私たちの次の目標となりました。

動画「そこが変だよ!犬猫裁判」とオンライン署名活動

2023年11月22日、私たち財団は1本の短い動画を公開しました。

▼虐待を受けたイヌさんが主人公の動画「そこが変だよ!犬猫裁判」。ぜひ、“結末”までご覧ください。

動画ができるまで

たった1分の短い動画ですが、この動画を、情報に溢れる現代社会の中で忙しい毎日を過ごす多くの方々に結末まで見ていただくためにはどうすればよいのか、ストーリーや長さも含め、検討を重ねています。

例えば、この動画をみた視聴者の感想が、きっと強い感情のこもったものになるとの予想から、登場人物の見た目にはあえてシリアスさを追求せず、柔らかいフェルト生地のかわいい人形にしたり、虐待によるケガの跡を強調したりしない一方で、内容については淡々としながらもリアルさを意識するということを、制作サイドと共有していました。

また、例「ひどい!」など、ちょっとした言葉であっても、どのような感情を込めるのかなど、試行錯誤した結果、完成したのがこの動画です。

ナレーション収録中の滝川クリステル

動画を見て「変えたい。」と思ったら、ぜひ署名を

動画公開に先んじて、私たちは、2023年9月20日に「#飼い主に傷つけられた動物を守れる社会に」プロジェクトを開始し、オンライン署名活動を始めています。

実は、私たちにとって、動物愛護管理法に関する署名活動は初めての試みであり、財団内における学習(インプット)や議論を通じた合意形成を経て、署名を作り上げるのに、約半年の時間を要しています。

長く緊急一時保護や所有権の壁について発信をされてきた有識者や啓発団体・保護団体の皆様には、沢山のアドバイスやお力添えをいただいてきました。この場を借りて御礼を申し上げます。

「♯飼い主に傷つけられた動物を守れる社会に」署名のポイント

署名の内容を、あえて虐待という緊急事態に対する救出に絞り、ポイントも①虐待された動物の「緊急一時保護」、②虐待した飼い主の「所有権の喪失」、③そして虐待された動物の原則「行政による保管」、の3点に絞っています。

これは、要望をできるだけシンプルにすることで多くの方に賛同していただき、議員立法である動物愛護管理法を本当の意味で動物を守れるための法律にするための法改正を実現させたいとの思いからです。

尚、この3つのポイントの中では同時に、虐待に関するガイドラインの設定やガイドラインを適切に運営できる専門家の育成等も求めています。

これは、前述の所有権の壁に限らず、一時保護や保管についても、何らかの判断が下される際には、感情ではなく、確固たる基準に沿って、データや専門家の見解に基づいた判断と行動が必要となると考えているためです。

※署名サイトともリンクしている「♯飼い主に傷つけられた動物を守れる社会に」詳細ページはコチラ

詳細ページをご覧いただき、賛同いただける方は、署名を通して一緒に声をあげていただけると嬉しいです。

最後に

今回、私たちが署名や啓発をする内容について、「そこじゃない!」など、納得がいかない方がきっといらっしゃると思います。

私たちは、今回の署名の内容が実現しさえすれば、すべてが良くなるとは到底思っておりません。ただ、この内容が実現することは、動物愛護管理法が本当の意味で動物を守れる法律になるための、大きな1歩となると信じ、活動を続けております。応援・お力添えをいただけると幸いです。

はてな
Pocket
この記事を読んだあなたにおすすめ
合わせて読みたい