犬の骨しゃぶりには理由がある
猫に木天蓼(マタタビ)、犬の骨しゃぶり、と言うイメージが一般的に定着していますね。
木天蓼には【マタタビラクトン】と【アクチニジン】と言う成分に猫が強く反応して、酔っ払った状態になると言われています。
だから、猫にマタタビを与えると喜ぶのですね!
では同様に犬が骨をしゃぶるのも理由があるのでしょうか?
我が家では以前、愛犬にオヤツ用の牛骨をしゃぶらせた事がありますが、朝から晩まで暇さえあれば骨しゃぶりをしていましたので、1回限りで止めさせた経験があります。
皆様の愛犬も骨しゃぶりが好きなワンちゃんが多いのではないでしょうか。
実はそういった『骨しゃぶり』にもそれなりの理由があるのです。
骨の表面に付着している肉エキス
骨の表面には骨格筋が付着している事が多く、筋膜、靭帯、腱などのタンパク質が皮膜として薄く残っている場合があります。
嗅覚の鋭い犬からすると、僅かに残る痕跡でも食欲をそそられるのです。
人間がカップアイスを食べる時に、蓋に着いた少量のアイスクリームを舐めるのと言う行為に近いのではないでしょうか。
人間でさえこう言った行為をしてしまうのですから、犬にすればごく当たり前の行為なのでしょう。
歯に当たる感触
顎を動かす筋肉である咀嚼筋(そしゃくきん)を使って骨を齧ったり(かじったり)しゃぶったりする事で、『口腔内や頭部の血行が促進されて気持ち良くなるのではないか』とも言われています。
人間が何気なくガムを噛んだり思案中に鉛筆を噛む行為と同じ感覚でしょう。
無意識に歯を鍛えている
歯や爪は犬にとって狩りをするための道具であるため、獲物を食べた後に骨を齧って顎や歯を鍛えていた野生時代のなごりではないかとも推測されています。
私の愛犬はむかし害獣犬だった歴史もある様で、ネズミやモグラの肉を骨ごと食べていたと聞いていますので小型犬にしては歯が大きくて硬いです。
骨髄の匂い
『骨髄の匂いが好きで骨をしゃぶるのではないか』と言う説もあります。
骨髄とは骨の内部にある組織の事であり、【赤色骨髄】と【黄色骨髄】の2種があります。
赤色骨髄には血液を生みだす造血組織が多く含まれ、黄色骨髄には骨脂が多く含まれているとされています。
これら成分の匂いが好きで骨をしゃぶるのではないか、と言われたりもしています。
人間が味と甘みの薄くなったガムをずっと噛み続けるのと似た心理です。
この様に犬にとって骨には様々な魅力があるため、夢中になって骨しゃぶりをするのであろうと考えられています。
しかし近年に於いてFDA(アメリカ食品医薬品局)が、【口内や消化管の裂傷】、【便秘の可能性】、【腹膜炎の危険性】などが考えられると言う観点から、犬に骨を与える事への危険性指摘しています。
最近は日本でも骨を食べさせない様にネットや書籍などに記載されています。
犬には可哀想ですが、骨と同じ感触を持つスナックガムや味の付いたデンタル用品などの代用品で我慢してもらいましょう。
犬用ガムで注意しなければならないのは、販売されているガムの中には消化に良くない商品があります。
ただ噛ませるだけで終わらせるのら心配はないのですが、食べ過ぎて消化器系が詰って死に至るケースもある様です。
出来れば食べさせる前に獣医師に相談して意見を聞いてからにしましょう。
まとめ
骨をしゃぶるという行為だけなら全く問題ないのですが、食べてしまうと後々問題が出て来そうですので、途中で取り上げるか最初から与えないかのどちらかにしないといけないでしょうね。
市販の犬用ガムも消化に悪いものが結構ありますから注意しないといけません。
それからデンタル用として売られている牛の蹄(ヒズメ)ですが、これはあまりお勧めできません。
とにかく硬いです。
私の知り合いのワンちゃんは蹄をカジカジしていたら歯が折れてしまったそうです。
犬は夢中になると加減が分からなくなってしまいますからね。
私も一度愛犬に飼って与えた事がありますが、言葉では言い表せないような臭いがします。
もちろん臭いが気にならない方もいらっしゃるでしょう、しかし私にとっては訳の分からないスモーク臭とでも言うのでしょうか?それは不快なものでした。
乾燥している状態ではそれほど臭いは感じませんが、噛み始めて蹄が濡れて来ると臭って来るのです。
側でカジカジされようものなら臭くてたまったものではありません。
あまり批判をすると販売元からクレームが来るといけませんので蹄の話はこのくらいにしておきます。
少しお話がズレた様ですので軌道修正します。
ワンちゃんが骨やデンタルガムをしゃぶっている姿を見ると、赤ちゃんがオモチャをしゃぶっている姿とダブってとても微笑ましい気分になります。
何れにせよ、ワンちゃんに骨やデンタルガムを食べさせる場合は万全の注意を払っあげて下さいね。