現役トリマーが実際に感じた!この仕事の「楽しさ」と「大変なこと」

現役トリマーが実際に感じた!この仕事の「楽しさ」と「大変なこと」

トリマーになってみると、抱いていたイメージとは全く異なる点がいくつもありました。そんなトリマーのリアルをご紹介したいと思います。

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こんなに違う?!トリマーの現実

トリミング中に正面を見据える犬

僕がトリマーという仕事を知ったのは20歳くらいの頃でした。ただその仕事内容については「犬のシャンプーをする人」くらいの認識でほとんど何も知らずにいました。

この仕事を目指した理由も「犬と触れ合えて楽しそう!」という単純なもので、今思えばなんて怖いもの知らずだったんだろうと思ったりもします。

そんな全く知識がない自分が、実際にトリマーの学校に通ってみると「え!こんな事もするの?!」「こんなに大変なの?!」など衝撃の連続でした。

全く予備知識のなかった僕ですらそんな状態でしたから、ある程度トリマーという仕事を知っている人からすると、そのイメージとのギャップにショックを受ける人も多いことでしょう。

実際僕の同期にはそのショックが大きすぎて、トリマーになる事を諦めた人も多くいました。この記事でトリマーのリアルをお伝えする事で、そんなショックを和らげ、この仕事を諦める人が少しでも減ればいいなと思います。

トリマーになってから犬に対して感じたこと

お腹を見せている犬と毛玉

ではまず僕がトリマーになって、犬に対して感じたことをいくつかご紹介します。

思っているより大人しくない

自分が飼っていた犬が、家では1日中ソファにのんびり座って動かない犬だったので、犬というのはトリミング中でも基本的にジーっとしているものだと勝手に思っていました。

またトリマーの専門学校を選ぶ際、それぞれの学校でやらせてもらったトリミング体験でも、どの犬も大人しく我々に協力をしてくれていたので、これならそんなに難しくなさそうと思っていましたが、そんなに甘いものではありません。これは学校側がちゃんといい犬を厳選して選んでくれていたからです。

実際にトリマーになってそれなりの頭数を見て来ましたが、どの作業も全く嫌がらない犬が2割、あとの8割は何かしらの作業を嫌がりますし、その内の2割くらいは噛み付いたりもしてきます。

噛みつかれた事にショックを受けたり、犬を上手く扱えない事で自信をなくしてしまい、トリマーになることを諦めてしまう学生も多いです。

人をよく見ている

上述したように最初は上手く扱えなかった犬も、学校に1年間くらい通うと徐々にできるようになってきますし、学生が扱えなかった犬も、先生がやると簡単に扱えたりします。

またお店でも他の人だと噛みついたりしてくるけど、ベテランのトリマーさんだと問題なく扱えるというケースも多くあります。

これはその人の扱い方の上手さというより、犬がその人の本質をよく見ているという気がします。犬は人間でいう第六感というものが優れているらしく、その場所や人の普段との微妙な違いにも敏感に反応するからでしょうか。

お家の犬でもいつもは呼んだら来てくれるのに、動物病院に行く日は逃げ回って中々捕まえられないという経験がある人も多いのではないでしょうか。これは飼い主さんが出す微妙な緊張感を犬が敏感に察知しているからだと思います。

もし自分が病院に行った時、その先生が自信なさげで何を質問しても明確に答えてくれなかったら、その先生には自分の担当を任せられないですよね?

犬からしたらトリミングも一緒で、トリマーは練習や勉強をして自分に自信を持つことで、犬に安心感を与えられるようになる必要があると思います。

何かしら状態の悪い犬が多い

目や耳、皮膚や関節の状態が悪い犬もそうですが、特に毛玉ができてしまっている犬が多いです。

最近だと自宅で見やすい部分はブラッシングを頑張ってくれている飼い主さんが多いのですが、お腹の下や、脇の下、耳や尻尾の根本など、毛で隠れている部分は練習をしないとブラッシングができない部分でもあり、普段生活してても見ようとしないと全く見えない部分にあたります。

学校などで勉強して実際にやってみると、その毛玉の多さに驚く人が多く、ちゃんとやるとかなり時間のかかる作業なのだと気付かされます。

ただどんなに毛玉だらけであったり、ウンチやオシッコでかなり汚れた状態でお店に来た犬に対しても、面倒くさいとか汚らしいなどと思わずに愛情を持って接する事が大切です。

仕事内容に対して感じたこと

トリミング風景

次に仕事内容に対して思ったことをご紹介します。

時間が掛かる

自分が美容院に髪を切りに行った時に1時間くらいで終わるので、犬のトリミングもそのくらいで終わるんだろうと単純に考えていましたが、とんでもない間違いだったことに気付きます。

上述した犬の扱いの難しさやブラッシングの大変さにも起因しますが、何よりもシャンプーをして、それを乾かす事に想像以上の時間が掛かります。

乾かすのなんて自然乾燥でいいのでは?と思われるかもしれませんが、プードルなど毛のクセが強い犬だと、ブラシでクセを直しながら乾かさないと綺麗にカットができないので、丁寧に乾かす必要があります。

また、柴犬など毛量の多い犬ではしっかり毛をブラシなどで掻き分けないと根本が乾きにくく、濡れたまま長時間放置してしまうと菌が繁殖しやすくなり、逆に皮膚の状態を悪くする恐れがあるので自然乾燥はあまりオススメできません。

平均的な所要時間でいうと、プードルで30分、柴犬で40分、大型犬になると2人掛かりで1時間以上かかることもあります。

爪切りやシャンプーなどをする時間やカットする時間も加わると、とても人間のように1時間でという訳にはいきません。

掃除が大変

1日でカットした毛や、生え替わりで抜け落ちる毛がすごい量なので、その毛を掃除するのが物凄く大変です。

掃除機でやるにしても一度にたくさん吸いすぎるとノズルなどに毛が絡んでしまうし、シャンプーをしてても毛が抜けるので小まめに掃除しないと排水溝にも毛が詰まります。

またドライヤーを使うので毛が部屋中に舞い散ってしまい、棚の中などもキチンと掃除しないといけません。

舞い上がった毛がエアコンのフィルターにも入り込んでしまい、家で使っているより壊れやすくなってしまうので注意が必要です。

コミュニケーションが大切

飼い主さんともそうですが、犬とのコミュニケーションが大切です。犬によって性格に違いもありますし、作業に対する嫌がり方も様々なので、どの犬でも一辺倒に扱うのでなく、様子をよく観察して、どうしたらその犬に負担が少なく作業をしてあげられるか考える事が大切です。

ただ爪切りを嫌がる事に対しても、怖がっているから優しく声を掛けてあげようとか、足の持ち方が痛いのかもしれないから持ち方を変えようとか、トイレがしたいのかもだから一度休憩させてあげようとか、犬が言葉を発せない分、我々が試行錯誤してあげましょう。

そういう作業を繰り返していく内に、動き方や目を見ると、なんとなくですがその犬の考えている事がわかるようになってきます。

工作バサミが上手く使えなくなる

トリマーや美容師さんが使うハサミは形が特殊で、持ち方も工作バサミとは違います。

毎日何時間もそんなハサミを持っていると、その動かし方が体に染み付いて普通のハサミの持ち方を忘れてしまい、上手く動かせなくなってしまいます。

全く使えないという程ではないですが、長時間工作などをすると手が痛くなるので少し大変です。

まとめ:もっと深く犬を好きになれる

僕もそうでしたが、トリマーになる人の理由のほとんどは犬が好きだからだと思います。毎日犬と触れ合って仕事ができるなんて、犬好きにとっては夢のような仕事でしょう。

ただ上述したように何もかもが理想通りということはなく、むしろ噛まれたり、唸られたり、抱っこしようとすると後退りをされたり、恐らく犬からは嫌われやすい仕事です。

しかし最初はそんな風にこちらを警戒していた犬達が、自分の技術が上がったり、何回もトリミングを担当していく事で、名前を呼ぶと尻尾を振ってこっちに駆け寄って来てくれる様になった時の喜びや感動は言葉では言い表せません。

最初は思い描いていた様に犬と接する事ができなくてショックも受けると思います。でもこちらが愛情を持って接し続けていれば、絶対に犬も我々を好きになってくれますし、信頼してくれます。

トリマーの成長を1番見てくれているのは、担当している犬達です。どうか簡単に諦めないで、長くこの仕事を続けて欲しいと思います。

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