「夏の犬とのお出かけ」どんな対策してる?注意したいトラブルと対策方法【現役獣医が解説】

「夏の犬とのお出かけ」どんな対策してる?注意したいトラブルと対策方法【現役獣医が解説】

夏休みやお盆休みでお出かけする機会が増える夏ですが、実は色々なトラブルが考えられます。お出かけは楽しいものですが、万全な準備が必要です。お出かけの準備は考えていますか?

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麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

「夏の犬とのお出かけ」どんなケースが多い?

車の最後尾に荷物とともに乗るゴールデン

夏は長期休みなどで、わんちゃんも一緒に家族で出かけるご家庭も多いのではないでしょうか。

近場のドライブは経験したことがあっても、公共の交通機関を利用したり、おうちではないところでのお泊りをするとなると、今までとは違う対策も必要になります。

ちょっと遠出のお出かけの場合、どのようなケースが考えられるでしょう。

飛行機で長距離移動

飛行機で一緒に旅行をするケースも考えられます。

海外ではキャリーケースに入れたうえで、飼い主さんの足元にわんちゃんを連れてこれるケースもありますが、基本的に日本の航空会社の場合は貨物室にキャリーに入った状態でいてもらうようになるため、飼い主さんとは一時的に離れ離れになってしまいます。

分離不安や持病などがある場合、特に夏場の暑い時期に長時間離れ離れになることは、わんちゃんにとっても負担になる可能性が高いです。移動方法を検討したほうが良いかもしれません。

車での移動

一般的かつ安心な方法はおうちの車で飼い主さんと一緒に目的地まで移動することです。しかし注意すべき点はいろいろあります。

まず夏の車内の温度は予想以上に高くなり、わんちゃんのいる場所によっては、飼い主さんが感じている以上に暑くなってしまう危険性があります。いろいろな場所の温度を把握しながら、通気をこまめにしたり、途中で休憩を取りながら移動することをお勧めします。

また、長距離の移動になると車酔いをする子もいます。事前に酔い止め薬を準備するなどの対策を考えておくとよいでしょう。

社内でのわんちゃんの居場所も考えなければなりません。つい抱っこをして過ごしたくなりますが、車内では事故や急な動きなどでわんちゃんにとってはケガなどにつながる危険が多く潜んでいます。

キャリーケースの中にいてもらったり、座席で安全に過ごせるわんちゃん用のシートなどを使用して安全な居場所を確保してあげてください。

電車での移動

新幹線や電車などを使用して移動するケースもあり得ます。

その場合、動物が苦手な人や動物によってアレルギーが生じてしまう人なども同じ車内に乗車しているため、周りへの配慮が必要です。

電車によって入れるケースの大きさや乗り方などのルールが決まっています。飼い主さんとわんちゃんが乗る予定の電車のルールは予め確認しておきましょう。

夏のお出かけ先で注意したいトラブル

獣医師に頭をなでられる体調が悪そうな犬

出かけ先で出会う可能性のあるトラブルも多くあります。

お出かけ先はいつもと違う場所で、いろいろなものが準備できているおうちと違って、足りないものがあったり、誰を頼っていいかわからなかったり、トラブルの対処で困る場面に出会う可能性があります。

車酔い

長時間の車での移動で、車酔いになり吐き気が止まらなかったり、その後の食欲不振につながるなどの問題になることがあります。

今まで車酔いをしたことのない子も、車に乗っている時間の変化や周りの環境の変化などによって初めて車酔いになることがあります。

今までとは状況が違う場合などは酔い止め薬などをあらかじめ飲んだり、ご飯を食べるタイミングをずらすなどの対策をとると良いでしょう。

熱中症

出かける地域によっては、普段住んでいる場所よりも暑くて湿度の高い場所である可能性があります。

クーラーで冷やした涼しい室内であれば管理もしやすいかもしれませんが、車内や屋外などの暑さによって熱中症に陥る危険性があるため注意が必要です。

お出かけ先周囲の動物病院を事前に調べたり、お出かけ先でも暑さが厳しい場合は屋外での外出は控えたり、ペットホテルのついている宿泊先を探しておくなどの対策をとれると安心です。

蛇やハチなどの毒によるトラブル

飼い主さんが気を付けていても、毒をもつ昆虫などから攻撃される可能性があります。

蜂に刺されたり、毒をもつ蛇にかまれたりして、顔や体が腫れてしまうことがあります。その場合、速やかな受診が必要です。近くの動物病院を事前に調べておきましょう。

保険に加入している場合、保険証の持参は必ず行いましょう。

事前に行いたい犬のお出かけ対策

クレートから出てくるシュナウザー

トラブルを避けるためにも対策を万全にすることが大切です。どんなことをしておくと安心でしょうか。

移動方法に必要なグッズは万全?

普段あまりお出かけをしないと、いつでも移動の時は抱っこが定位置のわんちゃんも多いのではないでしょうか。

公共の交通機関を使用するときや、車に乗る場合にキャリーケースやクレートはわんちゃんの安全を守り、安心できる居場所として大切です。

クレートは、わんちゃんが一緒にベッドで寝られない場合の宿泊場所や災害時にもお部屋として活躍します。普段から飼い主さんの抱っこやお膝の上だけでなく、安心できる居場所として、中に入る練習をしておくと安心です。

事前の車酔い対策

どんな子でも慣れない場所や環境、初めての経験で車酔いをする可能性はあります。わんちゃん用の酔い止め薬もあるため、かかりつけの先生に処方してもらっておくと安心です。

慣れていなくて、車に乗ると極度の緊張をしてしまう子であれば、移動しない車の中でおやつを食べてみたり、移動距離を短くして練習をしてみることもよいかもしれません。

ご飯を食べたばかりの場合に車酔いで嘔吐しやすくなることもあるので、ご飯を食べるタイミングなども、お出かけ時間と合わせて考慮することもよい対策となると思います。

ただし、水に関しては制限しすぎると脱水症状につながるなどのリスクがある可能性が高いです。がぶ飲みをしないなどの対策にして体に負担がかからないようにしましょう。

お出かけ先での必要な情報の事前収集

考えられるトラブルを挙げさせていただきましたが、慣れない環境で予想もしていなかったトラブルに遭遇することも考えられます。

地方によっては診療が終わる時間が早かったり、夜間に見てもらえる場所が遠くでないとなかったり、曜日によっては周囲の動物病院の休診日が同じで開いている動物病院がないということも考えられるでしょう。

移動できる範囲や、診療がしてもらえる時間帯を把握しておくことは大切です。

また、大きなトラブルの場合に、費用が高額になることも考えられます。保険の窓口精算が可能なのか、クレジットカードでの支払いが可能なのかなども把握しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

病院だけでなく、現地で行動する際に一緒にお出かけをする予定が、あまりにも連れていくのには暑いということも考えられます。数時間だけでもその時に預けられる場所なども把握しておくと、わんちゃんに無理をさせてしまうこともなく安心です。

まとめ

車の座席に座る犬

家族の一員でもあるわんちゃんも一緒にお出かけをすることで、きっと素敵な思い出になるでしょう。しかし、どんな時もトラブルは起こり得るので対策が大切です。

準備を万端にしておくことで、どんなトラブルがあっても思い出したときに良い思い出だったと思えるような良い経験になると思います。

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