️犬の誤食とは?
愛犬が食べてはいけないものを食べてしまうことを「誤食」と言います。誤食は、動物病院に来る急患ではよくある事故です。
誤食は食べた物によっては命に関わりますし、場合によっては手術が必要になることもあります。消化管の手術は、術後の合併症が起こる可能性があり、場合によっては合併症で亡くなる可能性もあります。
誤食を防ぐためには、食べさせないことが重要になります。愛犬が誤食してしまった時の対応方法、誤食させない方法について解説します。
写真は筆者が担当した誤食の症例の一部です。
▲ボールの誤食。内視鏡にて摘出
▲マスクの誤食。胃切開にて摘出
▲ゴミ箱漁りにての誤食。催吐処置にて大量のスパゲティを排出
催吐処置、内視鏡、消化管切開術で異物を摘出しました。誤食の危険性を知っていただけると幸いです。
️犬が誤食した際の対処法
誤食が疑われたら、すぐに動物病院を受診しましょう。そのうち便で出るかもと様子を見ていたら、腸管が破れ腹膜炎で亡くなった例もあります。
動物病院で伝えて欲しいことは、次のとおりです。
- いつ
- 何をどれくらい
- 何か症状があるか
外出していたなどで正確な時間がわからないこともあると思います。その場合は外出していた時間を伝えてください。
また、誤食した疑いのあるものの成分表示や、破片などを獣医師に伝えることで、迅速に対応することができます。
ネットで調べると、誤食した時に無理に吐かせる方法が出てきます。
誤食したものの中に、吐かせてはいけない物もありますし、先の尖ったものは消化管を突き破ってしまうことがあります。絶対に自宅で吐かせる処置をしないでください。
️犬に誤食させないためには?誤食の予防方法
誤食をさせないことが唯一の予防といえます。犬は、興味があるものに対し、口に入れて安全かを確認する習性があります。
口に入れさせないことで、誤食を予防することができます。誤食させないために気をつけていただきたいことを説明します。
食べてはいけないものを置かない
まず生活環境を見直しましょう。
犬が食べてはいけないものを置きっぱなしにしないようにしましょう。愛犬の手の届くところに、危険なものは置かないようにしましょう。
また、食べてはいけない食べ物などは、パントリーや引き出しなど、簡単に開けられないような場所にしまうように習慣づけましょう。
おもちゃについても同様です。出しっぱなしは誤食事故につながります。遊び終わったら、必ず片付けるようにしましょう。
おもちゃの大きさですが、口にすっぽり入るものは飲み込めます。咥えた時に、口の中に入らない大きさの物を選びましょう。
ゴミ箱を漁られないようにする
ゴミ箱を漁ってしまい、誤食をするケースは非常に多くあります。ゴミ箱は簡単に開かない蓋付きのものが良いでしょう。
足で踏んで開けるタイプは、犬が学習して開ける恐れがあります。少し不便になるかもしれませんが、ロックがかかるタイプがいいでしょう。
犬の中には、ゴミ箱ごと倒して漁る子もいます。ゴミ箱は犬のいる部屋から出すのも良いと思います。ゴミ箱を漁られない工夫が必要です。
食事内容を見直す
誤食を繰り返す場合、食事量が足りていないことがあります。食事内容を見直してみましょう。
「ちょうだい」トレーニングをする
食べていけないものを口に入れてしまったら、おそらく慌ててしまうと思います。日頃からおもちゃなどを取り返す「ちょうだい」ができると、飲み込む前に取り返せます。
犬がおもちゃで遊んでいる時に、おやつを使って「ちょうだい」と言いながら、おもちゃと交換します。それを何度も繰り返すと、「ちょうだい」ができるようになります。
追いかけない、無理矢理取らない
もし誤食しそうになっていたら、絶対に追いかけないでください。犬は追いかけられると逃げます。口に入れている物は、逃げているうちに飲み込んでしまう恐れがあります。無理に取ろうとすると、取られたくない気持ちから飲み込んでしまうこともあります。
また、攻撃的になることもあるため、飼い主もひどい怪我を負うことがあります。必ずおやつなどで気を逸らして、異物を口から出させましょう。
️まとめ
誤食はどの犬でも起こる可能性があります。誤食させない環境を作ることが大切です。
もし誤食しそうであれば、焦らずにおやつを使って取り返しましょう。それでも飲み込んでしまった、もしくは飲み込んだ可能性があれば、すぐに動物病院に相談しましょう。