犬の起源
私たちを癒す犬の祖先が元が狼だったという話はとても有名で、有力な説とされています。狩猟に長け、力も強い狼は到底人が飼い慣らせるものではありません。
では、どのようにして「狼」が「犬」になったのでしょうか?
イエイヌ
犬の祖先の大元は狼ですが、更に細分化すると、今私たちが飼っているような犬は「イエイヌ」の仲間です。
この頃からイエイヌは人間と生活することに適応し始め、姿形も狼とは異なってきます。
- 体が小さくなる…少ない食料でも生き延びていけるため
- 目が左右から正面に移動する(視野の退化)…外敵がいなくなったため
- 口元の骨の退化…獲物に食らいついて狩猟を行う必要がなくなったため
こうした変化を経て、まず人間と暮らし始めるまでに至ります。
最初に人間と暮らし始めたのはいつ頃か
中石器時代には狩りの補佐として仕事をこなし、犬を家族へ迎え入れています。
いわゆる縄文時代といわれる時期ですね。
まだ人も動物や魚を追いかけて狩猟をし、食料としていた時代です。
当時の犬のお迎え
野生のイヌの子供を捕獲し家で育てたと言います。
とはいえ、まだまだ野生の生き物で、本能や凶暴性だってあったようです。
そのため、生後まもなくから2歳くらいに発情期を迎えるまでに、人との生活に馴染ませなくてはなりませんでした。
当時の犬のご飯
その家の残飯が主でした。採れた魚や動物の肉、木の実などが当時の食生活のメインでしたので、その残りを犬も食べていたのでしょう。
この頃はまだ愛玩というよりは、共に生活する上で利害の一致したパートナーといった感じでした。
人の狩りにも付いて行き、狩猟を補佐するなどきちんとお仕事をしていました。
今でも番犬など人の役に立つ犬はいますが、もう少し本格的に愛玩犬として、家族として迎え入れるようになった歴史は、今から500年ほどくらいしかありません。
ちょうど戦国時代辺り、豊臣秀吉が活躍するような時代からです。
純粋な「ペット」としての歴史はまだまだ浅いようですね。
種類が多様化し始めたのは?
種類が多様化するようになったのはそこから更に時間がかかります。
およそ今から150年前、江戸時代後期から明治時代にかけてですので、わりと最近の事ですね。
多様化は進化ではない
この頃以降に、大きさの大小や、毛色、毛並み、体格などがイエイヌの頃と比べて多様化してきます。
しかし、この多様化自体は特別生活に適応するためなどではなく、あくまで人間による交配によって起きた変化でした。
江戸時代に描かれた犬の絵
なんとも言えないゆるーくて可愛いらしい絵ですね。
ちょっと切ない表情もまたいいですね。
この絵でも地面の杭に紐で繋がれている様子から、飼育を目的として屋外に繋いでいた事が見てとれます。
江戸時代の犬
その頃ペットとしては実は猫のほうが多かったのです。
もちろん犬も買われてはいたのですが、今よりは全然少数派でした。
というのも、当時野良犬が非常に多く、噛まれる人も多かったため、どちらかと言えば「怖い」と思う人が多かったのではないでしょうか?
動物愛護法の起源?
徳川綱吉の「生類憐れみの令」は皆さんもよく知っていると思います。
綱吉自身も大変動物が好きでお犬様と、とても愛犬家でした。
そして私たちの元へ
そんな経緯を経て、彼らは私たちの元で愛情をたっぷりと受けて、家族として生活し始めました。
可愛いあの子も、今は愛らしい声で鳴いたり、日向ぼっこをしながら居眠りしたりしていますが、元は狼だったなんて信じられますか?
長い時間をかけて人と共に生きる生活に適応してきて、今私たちとの生活があります。
もしかした、前世でも私たち一緒だったかも?なんて思えたら素敵じゃないですか?