行動分析学を活かして「咬まない犬に育てる方法」

行動分析学を活かして「咬まない犬に育てる方法」

犬と暮らすうえで1番気をつけないといけないことは咬傷事故です。犬に人を咬んではいけないことを教えるにはどうしたらいいでしょうか?行動分析学から、そのヒントをみつけましょう。

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犬の咬みつきには「遊び」と「攻撃」がある

威嚇中の犬

犬には狩猟本能があり、その疑似体験となることが犬の大好きな遊びになります。

例えば、ロープの引っ張り合いや、ボールを追いかけてくわえる、ぬいぐるみをくわえて振り回す、ぬいぐるみやクッションを破いて中の綿を散らかすなど。こういった遊びは楽しくて仕方がないはずです。

また、動くものを追いかけて、咬みつく行動に出る犬もいます。この対象がおもちゃの場合は良いのですが、それが人間の手や足、さらに子供だったりすると重大な咬傷事故になることがあります。

犬にとっては遊びの延長であっても、人への「咬みつき」が出ると大変危険です。また、犬は恐怖を感じると、自分の身を守るために攻撃に転じることが多くあります。

人から叱られる、体罰を受ける、自由を束縛される、威圧的な態度で近づいてくる、嫌なことをやらされる、苦痛がある…。

そういった経験がある犬は、人の存在が恐怖となり、近づくだけでも唸ったり、歯を剥いて威嚇します。それでも近づく相手には、咬みつくという攻撃に出るものです。

それでは、犬の咬みつきを予防するにはどうしたらいいのでしょうか?行動分析学をベースに考えてみましょう。

子犬の頃からやっておきたい!人間の手の甘咬みを防止する方法

子犬の甘噛み

子犬の頃に甘咬みをするのは、犬にとって当たり前のことです。犬の口は人間の手に代わるもので、犬は甘咬みをしてその感触を確かめるのです。

そしてそれが咬んでもいいものか、ダメなものなのかということを経験から学習していきます。

なので子犬の頃は、いろんな素材のものを甘咬みする経験をさせるのが良いと思います。もちろん、口にして危険なものはダメですよ。基本的には、いろんな素材の犬のおもちゃがオススメですね。

コットン製のロープ、ラバー製の中におやつが入れられるおもちゃ、木製のダンベル、樹脂製などの硬い骨型おもちゃ、このほか缶ボトルやペットボトルなどもおもちゃにすることが可能です。

遊ばせる時は、誤飲などの危険がないように見守りながら、いっしょに遊んでくださいね。好奇心旺盛な犬は、人間の手や洋服にも興味を持ち、甘咬みしたり引っ張ったりすることがあります。

その時が犬に「人の手や足、洋服は咬んではいけない」と教えるチャンスです。ここで「キャー」「やめてー」など声を出して、手足を動かすと、犬によってはそれが楽しいと感じて、どんどんその行動をするようになるので注意が必要です。

この咬みは、遊びの延長なので「楽しい」経験が少しでもあると、「人の手や洋服を咬むといいことがある」と学習します。そうなると後が大変です。遊びの咬みつきへの対策方法は下記になります。

人の手を使って遊ばない

人の手の動きは子犬にとって楽しく見え、人の手にじゃれついて遊ぶ犬がいますが、これは手への咬みつきを助長するので極力控えてください。

犬にじゃれつかせて遊びたい時は、必ずロープやぬいぐるみなどのおもちゃを持つようにしてください。そのおもちゃは犬がじゃれついても甘咬みしてもOKなので、楽しく遊んであげましょう。

人への甘咬みは石になろう!

遊びの延長での甘咬みは楽しいからやるのであって、「つまらない」と感じれば次第にやらなくなるはずです。

遊んでいる時に犬が甘咬みしてきたら、遊びをやめ、犬に背を向け石のように反応しない時間を作りましょう。

もちろん、手を狙われないようにグーにして腕組みをします。脇の下に手を隠して、声も出さず、何の反応もしないように。そして、犬が自分から離れたら、再びおもちゃを持って遊んであげましょう。

人の手を狙ったら、遊びが中断されて「つまらない」という経験を何度かさせると、人の手を咬む行動が減るはずです。そして、遊びの中で犬は人の手を咬まないように自分から気をつけるようになります。

咬傷事故を防止する方法

にんじんを咥えている犬

「安心できる環境を整える」ことが攻撃防止につながります

犬の攻撃的な咬みは、自分の身を守るためや、自分の大切なものを守るために出現することが多くあります。

例えば、「フードを食べている時に、近くのゴミを拾おうと手を出したら咬みつかれた」とか、「家の中で抱っこしようと手を出したら咬みつかれた」。

「犬のハウスを掃除しようと、出るように促そうと手を入れたら咬みつかれた」というようなケースです。

これらの場合の咬みは、犬が恐怖や不安を感じ、安心できない状況を経験したことが原因になっている場合がよくあります。

まずは、犬がいる環境が安心でき、犬のニーズが満たされているか見直すことから始めてください。基本的な犬のニーズは、下記になります。

1、栄養バランスのとれた食事と新鮮な水を与える

その犬にとって必要な栄養バランスがとれた食事がきちんと与えられていることや、喉が渇いた時にいつでも新鮮な水が飲める状態であることを確認しましょう。

栄養が足りず痩せている犬や肥満の犬は、攻撃性が高くなる傾向にあります。

2、清潔で快適な安心できる居場所を作る

犬には、落ち着くことのできる自分のハウスが必要です。それがケージやクレート、犬小屋でもかまいませんが、清潔な状態で、寝心地の良い犬用のベッドなどがおかれ、静かで人の動きに干渉されない環境がオススメです。

さらに暑すぎず、寒すぎず、湿度も快適かどうか確かめておきましょう。

3、散歩と運動を毎日行う

散歩にあまり連れ出さない犬は、社会化不足になりやすく、ちょっとした刺激に怯えて攻撃に転じることがあります。

また運動が足りていないとストレスがたまり、こちらも攻撃性を高める原因になるので、日々の散歩や運動量を確かめておきましょう。

4、犬に恐怖や苦痛を与えない

犬にとって、大きな声、大きな音、叩かれる、リードで引っ張り上げられる、マズルをつかまれるなどは、恐怖や苦痛につながります。

怒鳴られたり、体罰を受けたことがある犬は、常に恐怖心がつきまとい、不安な状態にあることが考えられます。

そうなると、ちょっとした人間の行動でも、身構えて攻撃することがあります。まずは、家庭では絶対に、怒鳴ったり、体罰を与えないことを徹底してください。

人は、犬が嫌がることをしない、驚かせることをしない、怖がらせることをしない、優しい存在だと犬が思える接し方を心がけましょう。

5、病気・痛みがない健康な状態を保つ

犬は健康でない状態だと、イライラしてちょっとしたことで咬みつくことがあります。何か病気があり、身体に痛みがないか定期的に動物病院で健康診断を受けておくことも大切ですよ。

まとめ

上記の5つのニーズが満たされてこそ、犬は人間と安心して暮らすことができるんです。これらを満たしているのに、唸るなどの威嚇が出た場合は、その原因を考えてみましょう。

その犬にとって、嫌だと思っていることが何かあるはずです。威嚇のきっかけがわかれば、それをなくす、もしくはそのきっかけの後に楽しいことをプラスするなどの対処をしていきましょう。

犬は人間をよく観察して、学習する動物です。人への咬みつきの後、嫌なことがなくなると学習すると、咬みつくことが増える可能性があります。まずは、咬みつかせないよう、唸りなどのサインを見逃さないようにしてください。

問題が大きくならないうちに、家庭犬インストラクターなどの専門家に相談することもいいと思います。

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