トリマーは女性だけの仕事?
犬を飼われているみなさん、通っているトリミングサロンなどで男性のトリマーを見た事はありますか?おそらくほとんどの人が見たことがないでしょう。
僕自身もトリマーとしてお店で働いていると、「男性のトリマーさんにトリミングをしてもらうのは初めてです」というお客さんが意外と多いです。
確かに女性に比べると圧倒的に人数は少ないですが、男性でもトリマーは出来ます。今回は僕自身が男性トリマーとして働いてきて大変だった事や、逆に男性トリマーならではの強みなどを紹介します。
トリマーを目指している人、中でも男性の参考になればいいなと思います。
専門学校や職場での男女比率
トリマーを目指す場合、ほとんどの人がトリミングの専門学校に通う事を検討すると思います。僕の通っていた学校では1クラスが大体20人くらいで、男性は3人でした。
他の学校を見ても1クラス40人くらいで、男性は多い時で5人、平均して3人くらいなので専門学校での男性の割合は1割といったところです。
トリミング業界では1店舗のスタッフ数が4、5人くらいですから、学校での男女比率を考えると男性トリマーがお店にいる珍しさがお分かりいただけるかと思います。
そしてこれは僕の推測ですが、男性トリマーは独立志向が高く、わりと早い段階で自分1人でお店を開く傾向があるので、既存の店舗で働く男性トリマーはさらに少なく感じます。
男性トリマーの良い点・苦労する点
僕の経験から男性がトリマーをしていく上で良かった点・苦労する点を考えてみました。
良い点
大型犬の作業がしやすい
体の大きい犬は力が強く、動いてしまう犬はしっかり抑えないと作業が出来ません。なので力が強く腕のリーチのある男性の方が大型犬をトリミングしやすいと思います。
また犬をトリミングテーブルに乗せる時やテーブルの上からシンクに移動させる時なども、大型犬はかなり重いので男性の存在は重宝されます。
気性の荒い犬を扱いやすい
特に日本犬やテリア系の犬は上下関係をつけたがります。身体の大きい男性はその見た目だけでこちらの方が上だぞというインパクトを犬に与える事ができるので、トリミングをしやすい関係性を築きやすいです。
テリア犬のトリミングに向いている
テリア犬の中には指や専用の道具で毛を抜いてトリミング(プラッキング)をする犬がいるのですが、その作業にはある程度指の力が必要なため男性に向いていると思います。
またテリア犬の飼い主さんは可愛さよりもカッコよさを重視したテリアのスタンダードなカットを好む人が多いため、男性の感性が活かせる気がします。
苦労する点
道具などのサイズ
トリミングをするテーブルや、シャンプーをするシンクなどほとんどの設備が女性でも扱いやすいように低めに設計されているので、作業をする姿勢がキツく腰などを痛めやすいです。
可愛いという感覚
飼っている犬のトリミングのデザインなどの管理やお店に送り迎えに来てくれるのは女性が多いので、その女性が可愛いと言ってくれるカットを目指します。
単に他の人のイメージを具現化するだけでも一苦労ですが、女性的な美的感覚を持ち合わせている事が少ない男性にとっては努力しないとなかなか理解するのが難しいと思います。
また人間の脳の造りでは直線より曲線の方が可愛いと認識され、女性はこの曲線を作る能力が優れているため、この点でも男性には努力が必要です。
怖がりな犬の扱い
チワワなどの超小型犬や、臆病な性格の犬は大きい人を怖がる事が多いです。そのためそういう犬と接するときは自分がしっかりと膝をついてしゃがむなど、犬に威圧感を与えないよう注意が必要です。
飼い主さんも自分の犬の性格をわかっているので、男性のトリマーをNGにしている方もいらっしゃいます。
また女性よりも動きや口調が硬く力が入ったように見られがちで、こちらは普通のつもりでも乱暴に犬を扱っているように捉えられてしまい、男性トリマーはNGという飼い主さんもいます。
犬が好きなら大丈夫!
少しマイナスなことを多く書いてしまいましたが、これはあくまでも僕個人の感想です。可愛いカットをサッと作れるセンスのある男性トリマーもたくさんいらっしゃいますし、女性トリマーにも気性の荒い犬や大型犬を完璧に扱ってカッコいいカットをする方はたくさんいらっしゃいます。
昔から手先は不器用だし、細かい作業は苦手だし、美的センスも全くなかった僕でもトリマーになれました。そして今もこうしてこの仕事を続けられているのは「犬が好きだから」この気持ちがずっとあったからだと思います。
女性が多く男性は肩身が狭そうとか、自分はセンスがないからだとかそんな事でトリマーになる事を躊躇っている人は、犬が好きという気持ちだけあれば絶対大丈夫です。犬好きにとってこんな幸せな仕事はないですよ。