保護犬の登録手数料を無料化へ東京ー台東区の取り組み
目的は保護犬譲渡の促進
東京、台東区が初の試みとして保護犬を迎える家庭への応援を発表しました。実際の区民向けのお知らせはこちらです。
広報たいとう
カラフルな区報でイラストもあり目立つ記事になっていると思います。
詳しい内容と条件は次の通りです。
条件
- 東京都動物愛護センターから迎えた犬であること(譲渡団体経由でもよい)
- 台東区民であること
補助
- 犬の登録手数料(3000円)免除
- 狂犬病予防注射済票交付手数料(500円)初回免除
- 台東区犬のしつけ教室への参加費(2000円)免除
- 集団注射事業における狂犬病予防注射接種料(3100円)初回無料
(集団接種料は台東区獣医師会の協力による)
東京都動物愛護相談センターの保護犬の譲渡促進のために行うもので、新しく犬を飼う人が保護犬を第一選択肢として考えるきっかけになることが目的のようです。
ちなみに台東区の犬の登録数は、毎年6800前後で新規の登録が600前後です。
そして狂犬病予防注射の接種率は70%を超えており、飼い犬に対する区の取り組みは住民にも伝わっているようです。
ペットについての台東区の取り組み
保護犬の情報へ導く
犬、猫などについての台東区の取り組みは比較的充実しています。
まず、〝犬や猫を飼いたいと思ったとき〟を区のホームページで検索すると、東京都動物愛護相談センターの案内が出てきます。
動物愛護相談センターの登録保護団体は個人もあわせて、52団体あります。(うさぎや、ねこも含む)
今回の保護犬の登録料その他の免除は、それらの団体からの譲渡も含むということが大切なポイントですね。
各団体や個人の方はブログやフェイスブック、団体のホームページなどいろいろな形で飼い主探しをしていますから、そこにこの区の取り組みを載せることもできて、犬を飼いたいと思っている人の心に、保護犬への関心をもってもらうきっかけになるかもしれません。
ペットコミュニティエリア
隅田公園内に『ペットコミュニティエリア』という広場があります。
土日祝日の開設で利用は無料ですが、事前登録が必要でさらに次のような条件があります。
- 小、中型犬(背中~地面まで40cm以内)
- 飼い主が区内在住で台東区の飼い犬登録をしていること
- 毎年度狂犬病予防注射を接種していること
- 1年以内に混合ワクチンを接種していること
- ペットコミュニティエリア適正利用講習会を受講していること
講習会は無料ですが、エリアを利用するにあたって適正であるか必要なマナー、感染症の知識、咬傷事故が起こらないための管理方法について飼い主と犬、両方に必要になっています。
また、3歳以下の乳幼児をエリアにいれない、犬1頭に大人が1人、つまりひとりで複数はダメ、など厳しいようですが、これだけ管理体制を整えていればむやみに広場でリードを放してしまう人もいないし、幼児が走り回って犬を興奮させるようなこともないのでトラブルも起こりにくいことでしょう。
愛犬手帳の配布
台東区では愛犬手帳(愛猫、愛鳥手帳もあります)が用意されており、その 愛犬手帳の表紙には〝新しい家族の一員と快適に暮らしていくために〟と書かれています。
内容は愛犬の写真と種類や生年月日などの情報、予防注射の記録、飼い主のマナーについて、飼い犬が人を咬んだ場合や行方不明になった場合の連絡先やするべきこと、また、動物に関する法律や、動物由来の感染症、災害発生時の安全確保や、区内の動物病院の一覧までかなり充実した手帳です。
地域猫の管理
猫に関しても台東区では地域猫活動の助成として不妊手術1匹1万円、去勢手術1匹5千円を支給しています。
台東区は上野公園なども犬連れの人は多く、23区のなかでは犬を飼う人口も少ないほうではありません。
隣接する文京区とともにお寺や墓地も多い地域なので犬、猫ともに、飼う人も多く、反面嫌いな人からは苦情も多く寄せられているため、ペットとの共存は大事な課題のようです。
世界でも生体販売禁止の動きが
保護犬はどこからくるの?
保護犬というのは、言い換えれば捨て犬です。
飼い主にセンターに持ち込まれる犬もいれば、迷子になって探してもらえなかった犬、野良犬の捕獲もあります。
ブリーダーが不要になった犬を持ち込んだり、ペットショップの売れ残り、病気や障害のために販売できない犬などについて愛護センターは引き取りを拒否できるようになりましたが、結果犬を放置して廃業してしまったり、どこかに運んで捨ててしまったりと、ボランティアで成り立っている保護団体が大変な思いをするようになっただけで、良い結果にはつながっていない現状です。
生体販売をやめられたら
動物愛護先進国のイギリスやドイツでの現状はどうなのでしょうか?
法律で生体販売を禁止している国はイギリスだけです。
しかしなぜかあの有名なハロッズでのみ、仔犬が店内で売られているそうです。
批判は多いようですが、日本の販売の仕方とはずいぶん違うようです。
仔犬を展示するガラスケースは一匹につき2~3畳の広さ、一回の展示時間は30分で一日に4・5回、生後10週齢というやり方です。
それでも、
「ハロッズともあろうものが生体販売をするなんて」
「率先して生体販売反対を掲げるべき」
という意見もあるようですから、日本のペットショップなど虐待としか見えないことでしょう。
ドイツでは生体販売が法律で禁止されているわけではありません。
20年ほど前までは生体販売があったそうですが、ペットショップでの仔犬の管理は健康面も性格面も良くないということで、段々に減っていったのだそうです。
法律ではなく国民の動物愛護へのモラルが、生体販売をなくしていったのだそうです。
それに加えて犬を飼う側だけでなく、売る側にも同じ飼育条件を満たさなければ犬の保護条例(2001年)に違反することになるため、条件を満たす出費がかさみ、利益が得られなくなったということもあるそうです。
イギリスやドイツは保護犬に命の期限はありません。
ドイツはティアハイム、イギリスも愛護団体から犬を迎えることが一般的になっています。
もちろん、ブリーダーからの直接交渉で迎えることもありますが、選択肢の中にペットショップの衝動買いというものはありえません。
アメリカでも2010年ころから犬猫の生体販売に反対する声が高まって、まずは、カリフォルニア州のウエストハリウッドが地元議員の満場一致で店頭販売禁止に賛成し、そほか、アルパカーキー、サウスレイクタホ、フロリダ州、ニューメキシコ州、ミズーリ州が生体販売の禁止にむけて検討中とのことです。
すでにペット業界の多くが生体販売の売り上げよりもサービス業にむいており、保護団体と協力してペットショップ内で定期的に里親探しをすることで、飼育に必要なグッズをそのショップから購入し貢献するといったシステムです。
日本でも岡山県のchouchou岡山店が犬猫の販売をやめて、販売の場所を里親探しコーナーに変えて、保護犬猫の殺処分ゼロに協力しています。
このお店はもともと、トリミングやフード販売の比率が高かったので、生体販売をやめてもやっていけるとという見通しがあったとのことですが、実行に移すことは大変だったと思います。
しかし結果的に周囲の賛同や支持も多く、フードやグッズなどの売り上げが伸びているそうです。
姉妹店の倉敷店もすでに殺親探しをはじめたそうです。
県外の同業者にも、生体販売をやめると決断したお店があるとのことで、少し日本も前に進み始めたような気がします。
まとめ
犬は今の世の中、ひとりで勝手に生きることを許されないならば、人には全ての犬に責任を持たなければ申し訳ないような気がします。
犬ははるか昔から人と暮らし、人に都合よく改良され、利用されてきたにもかかわらず、人を好きでいてくれるのですから・・・。
犬(猫も)を飼うことは、犬を買うことではなく、新しい家族を迎えるのだという意識をもちたいものです。
保護犬を迎えることは特別大変なことではありません。
保護団体の多くは、飼育経験の豊富なボランティアの方が家庭内でケアしながら里親募集をしているため、その犬がどんな性格でほかの犬や人への慣れはどうか、などあらかじめわかるだけでなく、オシッコシートのしつけまでしてくれていたりします。譲り受けた後も気軽に相談することもできます。
我が家の犬も保護団体から迎えましたが、生活のことから病気のことまで丁寧な説明のファイルや冊子もいただきました。
また、成犬は大きさも決まっていますから、雑種犬でもこんなに大きくなるなんて・・・ということもありません。
台東区の保護犬譲渡推進のための粋な計らいと、心あるペット業界の人や、何より飼おうとする側の人間が同じ方向を向いて、本当の先進国になる日を目指しましょう
ユーザーのコメント
50代以上 女性 るる
生体販売をする資格を与える与えない(法的)どいう議論が先かと思います。
まず生体販売を登録制・資格制にすることです。政府に登録しないと生体販売ができないように法律化し、登録するには厳しい基準を設けるということです。法的措置にもとずく生体販売が必要です。