はじめに理解したいこと
本題に入る前に、まず皆様に理解していただきたいことがあります。それは、吠えるという行動について。吠えるのは、犬の意志を伝達する手段です。私たち人が、意思を言葉で相手に伝えるように、犬もまた声を出すことにより、気持ちを伝えています。
吠える、という行為は、犬の持つ本能であり能力だということを飼い主さんが理解するのが、解決に向けた一つ目のカギとなります。
クイズ!吠え癖のカテゴリ分け
「犬の吠え癖に困っている」とおっしゃる方に詳細を伺ってみると、だいたいこんなような内容です。これらすべては【要求吠え】【警戒吠え】【不安吠え】【興奮吠え】の4つに分けられますが、みなさまは、どの例がどの吠え方に該当するか、お分かりになるでしょうか。
1・他の犬をかわいがると吠える
2・抱っこをしないと、抱っこをするまで吠える
3・おやつのある棚に向かって吠える
4・ケージに入れると吠える
5・玄関チャイムの音に吠える
6・他の犬に吠える
7・宅急便、郵便配達の人に吠える
8・散歩中、ランニングをしている人に吠える
9・強風、カミナリに吠える
10・救急車などのサイレンに吠える
11・家族が帰宅した際に吠える
12・遊びや走るのに夢中になると吠える
正解は、1~4までは要求吠え。5~9までは警戒吠えと不安吠えのどちらか、またはミックス。10は不安吠えと興奮吠えのどちらかで、11~12は嬉しさからの興奮吠えです。
飼い主さんが困るほどの無駄吠えをする理由を、まずはカテゴリ別に捉えていきます。要求なのか、興奮なのか。不安や警戒なのか。これが、解決に向けた二つ目のカギです。
魔法のテクニックとは?
お悩み中だと言う方が、最も知りたいのはこちらです。「これをすれば一発!犬が吠えやむ、魔法のテクニック!」。しかしながら、このような方法は存在しません。
例えば、吠えると苦みスプレーが噴霧される首輪。吠えると不快な超音波が発生する機械。小石をつめた空き缶で大きな音を立てる、なども、世の中に商品や情報として出回っていますが、これらは、あまりに暴力的すぎる方法だとは思いませんか。
恥を承知で申し上げると、わたくしは訓練士時代に、これらすべてを実際に使用した経験があります。なにがどうと申し上げるのは控えますが、効果はありませんし、二次的な別の問題が発生することは確かです。
一発解決する方法などない。これをしっかり理解するのが、三つ目のカギになります。
具体策
では、本題に戻り、吠え癖を直す方法3つをお伝えします。
1. 要求に従わない
「おやつが欲しい」「ケージから出して!」こうした要求には応じないことです。吠える→報酬が得られる。このパターンを封鎖しましょう。もちろん、必要な食事の量が与えられていて、ケージに閉じ込めっぱなしではない。ケージの中は快適になっていることが大前提です。
2. 慣らす
警戒や不安から吠えるのは、経験不足からくるものです。ですから、少しずつ慣らすというのが大事です。また、この際、飼い主さんが必要以上にびくびく、おどおどとしないこと。犬は、飼い主さんの不安を察知し、防御心が過剰に働いてしまいます。
3. 関心を寄せない
犬は、飼い主さんからの視線を浴びるのが大好きです。注目されれば、ちょっとくらい叱られても、飼い主さんの関心が自身に向けられたことを喜びとします。ですから、要求、警戒、不安、興奮。どのパターンであっても対応しないこと。また、視線だけではありません。心も犬の無駄吠えに反応しないように、自身をコントロールしてみましょう。
そっけなくして、犬がおとなしくなり、落ち着いたなと思ったら、そこで心からほめて、撫でます。吠えない方が、飼い主さんから認められる、ほめられる。と、犬に気づかせるのが目的です。
まとめ
犬の無駄吠えについて、解決に向けた3つのカギと、直すための具体例を3つお伝えしました。本能としつけ。このバランスをうまく舵取りをしながら、愛犬との楽しい毎日をお過ごしください。