温暖化の影響で犬が「鬱」になっている!?
近年、地球規模での温暖化が大きく問題視されていますが、それによる自然や人の健康への悪影響も年々、看過できないものとなりつつあります。
ところがここにきて、温暖化は犬にも影響を及ぼしているという、愛犬家にとって聞き捨てならない報告が届きました。
お散歩不足で犬はとことん退屈している
豪雨や豪雪、そして死者すら出るほどの酷暑といった極端な気候変動。
こうしたことを背景に専門家は、十分な散歩をさせてもらえず退屈する犬が増えており、ひいては心身のバランスに悪影響が及んで、「鬱」を招くおそれがあることを指摘しています。
20年以上、犬たちと関わってきたドッグ・ビヘイビアリスト(犬の行動学の専門家)であるキャメロン・メンティスさんによれば、
「これほど犬たちが退屈していたことは、かつてありません。私は犬の暴発的な行動に注目することで退屈の度合いをみてきましたが、この冬はそうした行動が慢性的に見られました。気候の変動が顕著になって以来、過去5年の間にますます多くの犬が退屈の傾向を強めています」
とのこと。
キャメロンさん曰く、
「(犬にとっての)散歩は、肉体面での健康を維持するだけでなく、精神を健全に保つ意味もあります」
愛犬の体の健康維持に注目する飼い主さんは多いですが、これからは心の健康にも気をつけてあげる必要がありそうです。
散歩に行けない時にできること
犬も人も温暖化で憂鬱に
人間の場合、太陽の光をしっかり浴びることで、生活のリズムを保つホルモンバランスが調えられます。
そのため日照時間が短く、日中もどんより曇り空の長い冬が続く北欧では、鬱病患者が多いと言われており、天候と心の状態が密接に関係しているのはよく知られた話。
それは動物も同じことで、イギリスの水族館では記録的な風雨の影響でペンギンが強いストレスから鬱症状に陥ったという事実もあり、温暖化による動物への精神面への影響は、今後ますます顕著になっていくかもしれません。
日本のワンコたちも例外ではない?!
雨の日は本を読んだり溜まっていた録画を観たり、色々やることのある人間と違って、室内で過ごす犬は、確かにヒマでヒマで仕方がないであろうことは容易に理解できます。
けれど、豪雨や降りしきる雪の中を散歩するのは困難で、ましてや猛暑の焼けつくアスファルトの上を歩くなんて論外!
年々、過ごしやすい春と秋が短くなっている日本のワンコたち、知らず知らずのうちにお散歩の時間が減ると同時に太陽をしっかり浴びるチャンスが減って、心身への悪影響も少しずつ蓄積しているのかもしれません。
運動量が減り、精神的な刺激が少ないと犬はストレスが溜まり、その結果、吠えや破壊、または足先がただれるほどペロペロなめ続けるなど、ストレス行動か起きてくると言われています。
とはいえ、飼い主がどんなに頑張っても大荒れの天気を鎮めることはできない・・・、
お散歩に行けない日が多くなった場合、飼い主はどうしたら良いのでしょうか。
外がダメなら室内があるさ! というか室内しかない!
それなら、おうちの中でワンコの心と体を刺激しようではないか、ということで色々考えてみました。
散歩に出られなくてもできること
トリックを教える
基本的な「オスワリ」「マテ」といったことを教えるだけでも頭の刺激になると言われていますが、そこから一歩進んで様々な芸=トリックを教えてみましょう。
頭を使うと同時に、日頃の歩いたり走ったりするのとは違う筋肉の使い方をすることも効果的。
いくつかのトリックができるようになったら、それらを組み合わせ、お気に入りの音楽に合わせて一緒にドッグダンスも楽しめます。
バランスディスクやバランスボール
バランスを保つために全身の筋肉を使い、頭も使います。長いお散歩が難しくなってきて代謝が落ちているシニア犬にも効果的。
くんくんゲーム
犬は日常、多くのシーンで実は視覚に頼っています。
そのため、嗅覚を使うゲームは、犬本来の感覚を目覚めさせ刺激することにつながります。
いくつか伏せた紙コップの一つにおやつを忍ばせて当てさせたり、部屋のあちこちにおやつを隠して宝探しゲームなど工夫してみましょう。
ドッグヨガ
静かに人気が高まっている、愛犬と一緒に行うヨガ。
ポーズをするのは主に人のほうですが、一緒に何かをする、ということに意味がある! 飼い主がリラックスして楽しめば、ワンちゃんの心にも良い影響を与えます。
定番のボール遊びや引っ張りっこ
投げる→持ってくる、またはロープを引っ張り合うだけの単純な遊びですが、これが好きなワンちゃんにとっては室内でも楽しめます。
何かをくわえる、引っ張るといった動作は、全身の筋肉も刺激します。
マッサージ
遊びや運動とは違いますが、運動不足による血行の滞りやストレス解消、そして飼い主さんとの静かなコミュニケーションにもつながります。
まとめ
都市化が進み、マンションなどお庭のない環境で暮らす犬たちは多く、自然に触れる機会も減っています。
そこへ持ってきての温暖化で、犬たちの生理リズムも乱されやすくなっています。
今はまだ、我が国では深刻な問題として取り上げられてはいませんが、今後、家庭犬たちの心の健康は大きな課題となりそうです。
飼い主たちは、多少の雨でも風でも雪でもお散歩に行く努力がさらに必要になるかもしれませんが、一方では抗えない気候変動のもと、室内でできる犬の心と体を様々な角度から刺激する方法を模索する必要も出てくるでしょう。
一飼い主としては、室内ドッグランや犬用プールがもっと身近なものとして増えてくれると有難いな~と思っています。