していますか?ペットの防災対策
2011年3月の東日本大震災以来、ペットとの同行避難についてもたくさんの議論がなされ、環境省でもペットの災害対策について、ホームページ上で取り組みを紹介しています。
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/disaster.html
もちろん、その他にもペットメーカーさんやペット関連団体さんでも、ペットの防災についてのオススメ対策などが紹介されていますが、今回は、東日本大震災で私が実際に避難所を回って感じた、ペットの防災対策についてご紹介いたします。
「ペットフード」
震災当初、やはりペットの物資はなかなか回ってきません。私も有志の獣医師から集めたペットフードなどを届けましたが、まだまだ足りず、またペットの救援団体に集まったフードでさえも、いろんなしがらみがあるのでしょうか、なかなか飼い主様の手元に届くまでにそうとう時間がかかっていました。
さらに届いた物資には「期限切れ」のペットフードもたくさんあって。。。やはり避難所生活でストレスを受けているペットには少しでもリスクのない生活をしてもらいたいため、いくら緊急時とはいえ、なかなか期限切れのペットフードを使うことはできませんでした。
ですので、日頃から食べ慣れているペットフードを備えることはもちろん、できれば本当にそのペットフードがワンちゃんに合っているのかどうか、専門家にもご相談いただき、よりよいフードを取り入れていただければと思います。
「病気を持っているワンちゃん」
例えばアレルギーのワンちゃんは、お薬や専用のごはんが必要なのですが、そのストックがないため、ひどくかゆがっていました。また、心臓が悪いワンちゃんは、お薬が手放せないのですが、やはりストックがなく、かなりつらい症状に悩まされ、特に咳がひどくなると、避難所にいらっしゃる他の方々への迷惑にもなり、大変な思いをされていました。
ですので、病気をしているワンちゃんは、いざという時のために、お薬や療法食など、手放せないものを常時1ヶ月以上の量を確保しておきましょう。もちろんお薬は獣医師の処方が必要ですので、かかりつけの先生にご相談してみてください。
「周囲の人々への配慮」
実際に避難所で受けたご相談の多くが、ワンちゃんの周囲の人々への影響を心配する声でした。つまり、臭いや騒音です。
「シャンプーしてほしい」
「爪を切ってほしい」
「ケージに入れると鳴くのでなんとかしてほしい」
こういった声をいただくことが非常に多く、また、どうしても避難所に入れないワンちゃんは、車の中で過ごしていましたが、やはり東北の3月はまだまだ寒く、残念ながら車の中で亡くなってしまったワンちゃんもいました。
こういった経験から、防災対策には、「ワンちゃんの命を守る」だけでなく「不特定の人間と接するための対策」も必要だと感じています。
具体的には、臭い対策として、ドライシャンプーを備える、日頃からこまめにシャンプーをする習慣をつける、皮膚病や外耳炎、歯周病はきちんと治療する(これらは悪化するとかなり臭いが強くなります)、こういった備えをオススメします。
特に歯周病は、成犬の8割上が持っている病気と言われていますので、積極的に対策してあげたいですね。
あとは寄生虫予防。中には「そのワンちゃん、きちんとノミの予防してるよね?」と言われ、していない飼い主様が困っていたケースもたくさんありました。しかし、もはやノミやマダニの定期予防は防災に限らず当たり前に行うことです。
もしまだ取組んでいないのなら、すぐ動物病院へいきましょう。今は滴下タイプの他にも飲ませるタイプの予防薬もありますので、手軽に実施できます。
また避難所が室内であれば、爪が立てる音も結構響きますので、爪きりもこまめに行ってください。
取り組もう!クレートトレーニング
そして、ぜひとも普段から取組んでいただきたいのが、「クレートトレーニング」です。
つまり、ケージの中でおとなしく過ごせるようトレーニングするのです。ペットと同行避難する場合、ケージに入れることが必須(大型犬は難しいですが)、また避難所でも基本的にはクレートあるいはケージの中で大半の時間を過ごすことになります。しかし、それに慣れていないと、ケージの中でずっと鳴き続けたり、「出して~」と言わんばかりにケージの扉をカリカリして、かなりの音を立ててしまいます。クレートに慣れるには、一朝一夕にできる方法はなく、とにかく日頃からトレーニングしていただく以外に方法はありません。ぜひ「今日から」取組んでいただければと思います。
まとめ
今の日本は、残念ながらまだまだペットに優しい国とは言えない状態です。何かの際には”ペットは後回し”です。万が一のとき大切なペットを守れるのは飼い主様以外にいません。ぜひ日頃からの防災対策を強くお願い申し上げます!!