発酵食品あれこれ
飲む点滴、というキャッチフレーズでおなじみの甘酒。また、塩麹(しおこうじ)という調味料が近年では発酵食品のトレンドでしょうか。
昔からなじみ深い発酵食品には、みそ、ぬか漬け、かつおぶし、チーズ、納豆などがあります。また、ワイン、イカの塩辛、キムチなども発酵食品です。
これらの発酵食品には腸を活性化させる菌、乳酸菌、酵母、麹菌 が含まれていますので、その働きによって腸内環境を整える効果があると言われていまが、犬の場合はどうでしょうか。
犬は発酵食品を食べても良いの?
犬が発酵食品を食べても良いか悪いかについては、みなさんが気になるところだと思います。しかし、実は、白黒はっきりとはいかない問題です。なぜなら、その犬によって合う、合わないがありますし、獣医師によっても様々な考えの違いがあります。
そうした中でも、最近の新しいナチュラル系のペットフード、サプリメントブランドの内容を見てみると、麹菌やフィトケミカル、ビオフェルミン、プロバイオティクス、生酵素などの発酵食品を取り入れる傾向にあります。
これは、実際に愛犬に発酵食品を与えるメリットを感じている飼主のニーズが増えてきているからですね。食事、健康について高い意識を持っている方にとっては、愛犬の腸内環境をよくするためのサポート機能食品を日々与えることは、もはや常識と言えるのかもしれません。
発酵食品の効果
ここからは、おすすめの発酵食品と、それらの栄養が犬にもたらす効果についてご紹介していきます。
1. 栄養価の摂取をサポート
ヨーグルトやチーズ、納豆などの発酵された食品は手軽に与えられる発酵食品です。もちろん、塩分が少ない犬用に作られた製品の方が安心でしょう。栄養価が高まり、旨味や香りが強くなるのが特徴です。
発酵食品には腸内環境を整える微生物がたくさん含まれているので、摂取した栄養の相乗効果で更に吸収しやすくしてくれます。
犬は完全肉食から進化した雑食動物で、植物性たんぱく質の消化吸収は本来苦手としています。発酵食品の持つ酵素が、消化吸収をサポートしてくれるのは嬉しい効果ですね。
2. 腸内環境が整う
食材を発酵させる微生物を善玉菌、また、腐敗させる菌を悪玉菌と呼びます。発酵食品は、善玉菌が多く含まれているため、腸内環境を整えるのが特徴です。犬も腸内環境が整うと、便通が良くなる以外に皮膚や毛艶への効果が期待できます。
好んで与えられるのは、やはり無糖のヨーグルトや塩分の少ないチーズでしょう。ここで、「犬に牛乳はだめなのに、ヨーグルトやチーズはOKなの??」と、不思議に思う方もいらっしゃいますね。これには理由があります。
牛乳には、乳糖(ラクトース)という成分が豊富に含まれていますが、犬は、この乳糖を分解する「ラクターゼ」という消化酵素が少なく、乳糖の分解が苦手な体質を持っています。そのため、小腸で乳糖の消化吸収がスムーズに行われず、下痢をしてしまうことが多いのです。
しかし、生乳からヨーグルトやチーズになる発酵の過程でこの成分が分解されていくので、犬に与えるにはこうした加工したものであれば安心というわけです。
ただし、加工しているから安心と、一度にたくさんの量を与えるのはNG。また、どの食品にもアレルギーを引き起こす可能性がありますので、与える際には、いつもとちがう様子が見られないかどうか、よく観察する必要があります。
3. 免疫力アップ
免疫力が低下すると、ガンやアレルギー、アトピー、自己免疫疾患を発症するリスクが高まります。
免疫とは外部から侵入してきたウィルスや細菌を排除しようとするしくみのことです。
自己免疫疾患は、この免疫機能が自らの細胞に対して働いてしまいます。犬に多い免疫疾患は、クッシング症候群、副腎皮質ホルモン亢進症などさまざまです。発酵食品によって腸内環境を整え、免疫力をあげることで、これらの自己免疫疾患の予防につながるといわれています。
また、免疫力をアップすることで皮膚のトラブルや口臭予防、肉球の弾力保持など、身近な健康維持にも効果があるとされているので、アンチエイジング、シニア犬の機能回復にも役立ちますね。
まとめ
犬の平均寿命は年々伸びています。その要因のひとつには、犬の栄養学の進歩による食事内容の向上があります。より長い時間を愛するパートナーと過ごせるようになったのはとても嬉しいことですね。
いつまでも健康でいてもらうために、発酵食品を上手に取り入れて、笑顔でいっぱいの日々にしましょう。
※人用の発酵食品を犬の食事に取り入れることには賛否両論、色々な考えがあります。トッピングや手作り食をミックスすることは、すでに完成されているドッグフードの栄養素を乱すことにつながるという専門家の意見もありますので、詳細については良くお調べの上、アレルギー反応や体調を考慮しながら少しずつ与えていくのをおすすめします。