犬の分離不安症とは
飼い主さんと離れると不安で、精神的、肉体的に不調になり、そのストレスが原因で問題行動を起こしてしまう状態を「分離不安症」と言います。
在宅勤務中は問題ないけれど、通常の出勤になるとうちの子はお留守番できるだろうか?と心配になりますよね。
飼い主さんの不在時に、次のような行動が見られたら分離不安症なのかもしれません。
【分離不安症と考えられる主な行動】
- 下痢や嘔吐をする
- 食欲が低下する
- 部屋の中を荒らす、物を壊す破壊行動
- トイレの失敗をする
- 吠え続ける
- 自分の足や尻尾を噛む(自傷行動)
飼い主さんがいなくなった数分から数十分の間に強い症状が現れます。
分離不安症の原因
ではなぜ、犬は分離不安症になるのでしょうか?
分離不安症は「飼い主さんが外出したら、戻ってこないのではないか」「留守番中に、何か危険なことが起こるのではないか」という不安な気持ちが原因です。
【分離不安症の主な原因】
- 進学や就職などで家族の状況が変わり、留守番の時間が長くなった
- 飼い主さんが変わった
- 住まいの変化
- 飼い主さんの出産などで家族が増えた
- 生まれてから十分な期間、母犬や兄弟犬と過ごしていない
- 飼い主さんとのコミュニケーション不足
- 虐待や放棄された経験がある
- 留守番中に地震や雷、大きな物音などの怖い経験をした
- 飼主さんが不在の時に恐怖を感じることがあった
- しつけ不足、甘えさせ過ぎ
- 甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、神経疾患、脳腫瘍などの疾患による痛みがある
分離不安症を改善する4つのポイント
分離不安症は、犬の精神的疾患である「不安障害」の一つですので重症の場合は病院に相談をしましょう。
重症でない場合は、行動トレーニングや自宅での対処で改善する場合もありますが治すには時間がかかります。
愛犬が留守番に慣れるように練習をしていくことが理想的です。
1.誰に対して依存心が強いか確認しましょう。
飼い主さんに対する依存が強い場合は、飼い主さん以外の人がご飯を与えたり、散歩に行くようにします。
そして、飼い主さんが居なくてもひとりではないということを学習させていきましょう。
2.短い時間「ひとりで過ごす時間」をつくる
普段から愛犬がひとりで過ごす時間を作ることも大切です。そのようなときコング(犬用知的玩具)はピッタリです。
愛犬がコングに夢中になっていたら少しだけ離れ、始めは同じ部屋の中で。そして慣れてきたら別の部屋と少しずつ距離を広げていき、ひとりになることに慣れさせてから飼い主さんへの依存をの気持ちを少しずつ減らしていきましょう。
3.短時間の留守番に慣れさせる
外出の準備の様子だけで不安になる犬もいますので、郵便の確認、ごみ出しなどすぐ戻れる用事を利用して短時間のお留守番を何度も経験させます。
短時間のお留守番を繰り返すうちに、飼い主さんは外出してもすぐに戻ってくると認識し安心して待ってくれます。
最初は外に出る時間を3分、4分、5分と徐々に時間を伸ばしていきます。外出する人数もいきなり家族全員ではなく、ママだけパパだけが外出などパターンを試しながら時間をかけて慣れさせましょう。
4.「留守番」の環境を整える
留守番のときに寂しくならないように、テレビやラジオをつけておくのもオススメです。
在宅中でも「ひとりにさせる」
在宅中でも犬と関わらない時間を作り、犬がひとりで過ごすことに慣れさせましょう。
吠えても叱らず、静かになるまで待ちましょう。
分離不安症の間違った改善方法
ペットを増やす
愛犬がひとりで寂しい、もう1匹飼えば解決するかもと思う方もいるかもしれませんが、愛犬が求めているのは依存している家族です。自宅に不安な動物が増えるだけなのでやめておきましょう。
叱る
分離不安症は飼い主さんが居ない時に起こるパニック状態のため、叱っても意味はありません。いたずらなどが起こった結果に対して?っても、何を叱られているのか犬にはわかりません。
逆に失敗を強く叱ると、関心をひくためにわざといたずらをするようになることもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?愛犬が「分離不安症かも…」と感じたら、愛犬が依存しすぎないように適度に距離をとりながら、お互いの生活を尊重する関係性を築きましょう。
それでももし様子が変わらないようでしたら、かかりつけの獣医師やドッグトレーナーに相談することをおすすめします。