️「斜頸」ってどんな状態?
首が傾き、頭部が斜めになっている状態を「斜頸(しゃけい)」と呼びます。
生まれつきの場合もあれば、突然症状が出てくることもあるようです。
単なる癖または意識的な行動なのか、あるいは病気の兆候なのか、詳しく見ていきましょう。
️犬が首をかしげる理由
1.音をよく聞こうとしている
首をかしげると、耳の位置や角度が変わります。
周囲の音を聞き取りやすくするため、反射的に取る行動と言われています。耳を動かして音源を探り、音の違いを感じ取ろうとしているようです。
気になる音の正体が何か、一生懸命考えているのでしょうか?
2.飼い主を喜ばせたい
犬が首をかしげて不思議そうな表情をしていたら、「かわいい〜♡」と反応を示す飼い主の方もいるでしょう。
飼い主の喜ぶ姿、ニッコリ笑う顔が見たくて、そのときと同じ行動を繰り返す犬がいます。
犬の知能は、人間に例えると2〜3歳程度に相当すると言われています。一度学習したことは、記憶に結び付きやすいのかもしれませんね。
3.視点を変えて観察したい
左右に首を動かすと、耳同様に目の位置も変わるので、視点を変えることで、視覚によって新たな情報を得ようとしています。
初めて見掛けるもの、興味を持つものに対して注意深く観察しようとするときに見られる行動になります。
️長頭種は首をかしげやすい?
頭蓋骨の長さより鼻の長さが長い犬は「長頭種」と呼ばれます。
鼻先が尖っているため、風の抵抗を受けにくく、走ることを得意とする犬種が多いのが特徴です。
代表的な犬種を挙げてみます。
- ボルゾイ
- ウィペット
- サルーキ
- コリー
長頭種は鼻が視界を遮ることから、向かい合う相手の口元が見えにくくなっています。
相手の表情を確認するために、首をかしげる頻度が増えると言われています。
️もしかすると、病気の可能性も…!
耳の異常(外耳炎・中耳炎・内耳炎)
耳に炎症が起こると、かゆみ・痛みが生じて「頻繁に耳を掻く」「耳が赤くなる」「頭を振る」などの症状が見られます。
上記症状のうち、頭を振る様子が首をかしげていると誤解されるようです。
異常が起こる部位によって診断結果が変わってきますが、中耳炎・内耳炎の大半は外耳炎の波及によるものです。
- 外耳炎:耳介から鼓膜の皮膚の炎症
- 中耳炎:鼓膜から奥の鼓室の炎症
- 内耳炎:蝸牛神経、前庭神経の炎症
前庭疾患
前庭神経の障害によって平衡感覚を保てなくなる病気の総称で、首の傾きや眼振、ふらつきといった症状が起こります。「末梢性」「中枢性」「特発性」の3つに分類されます。
人間の船酔いに近い感覚に陥るため、気分が悪くなり、元気がなくなります。
壊死性髄膜脳
大脳の表面に炎症が起こり、進行すると全身性のけいれん発作、壁に頭を押し付けるなどの症状が現れる病気です。
最初に発見された症例がパグで、その後もパグに多発していたことから「パグ脳炎」の俗称がついています。
️まとめ
首をかしげて飼い主の話に耳を傾けているのだとしたら、とても微笑ましい光景ですよね。集中力が高まっている状態とも言えるため、しつけの習得に期待できる瞬間でもあります。
しかし、他にも気になる症状があったら、病気の前兆かもしれません。
脳の病気が疑われる場合には、MRI検査が行われることもあるため、獣医師に相談してみてください。