小学生による暴力行為が過去最多に!期待される動物介在教育の役割

小学生による暴力行為が過去最多に!期待される動物介在教育の役割

文部科学省の発表によると、小学生による暴力行為が過去最多となったそうです。感情のコントロールができない、他者の痛みが分らない子どもが増えている今こそ、生き物との触れ合いで学ぶ事があるのではないでしょうか。

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今、小学校低学年の暴力が増えている

ツンツンした子供

暴力を振るう年代が低年齢化している?!

文部科学省では、毎年、全国の学校を対象に「暴力行為やいじめ、不登校、自殺」といった「児童生徒の問題行動」に関する調査を行っています。
これによると、中高生による暴力行為が減少傾向にある一方で、平成22年頃から小学生による暴力行為件数が増え続け、最新の平成26年度の調査結果では1万1468件と、過去最多の数字を更新しました。

小学生では高学年になるにつれて件数が多くなりますが、特に注目すべき点は、調査が始まった平成18年度に比べると、1年生による暴力の件数が5倍、2年生でも4倍に増えているということ。
「暴力を振るう子どもの低年齢化」という看過できない問題点が浮上しており、そこから見えてくること、改善するためにできること、を早急に探る必要が迫られています。

感情を上手にコントロールできない子供たち

暴力行為の内容は、同級生を叩いたり蹴ったりすることから、教員に物を投げつける、校舎の窓ガラスを割るといった器物損壊行為など。
そうした暴力の引き金となるのは、テストの点が悪かったり先生から注意されたなど、大人の我々からすると、あまりに些細なことばかり。

とはいえ、教師が通院しなければならないほどの暴力を加えたり、友達にケガをさせたり、ましてや小学生の教室の中で刃物が飛び出した事例もあるなど、事態は深刻です。

教師の中からは「子ども達が変わってきた」「今の子ども達は人の話を落ち着いて聞くことができない」「感情のコントロールができない」「人の痛みが分らない」という声が上がっています。

どうしたら教えられる? 感情のコントロール

子どもの心が健康に育つ過程で、最も重要なのが乳幼児期にたくさんの愛情や優しさを受けること。
それによって他者への基本的な信頼感が生まれ、自らの心をコントロールする力が育つと言われています。

キレやすい子どもの増加、そして暴力の著しい低年齢化の背景には、家庭環境や親の関わり方など、スムーズな心の育成が阻害されるに至る様々な背景が考えられとされていますが、そうした子どもの心を育て直すには、やはり他者との関係の中で愛情と優しさを受ける、与える経験を積ませることに尽きるのではないでしょうか。

生き物や人を思いやる心を育てる動物介在教育

海辺の子供

あたたかい命と自然に触れ合う機会が極端に減っている現代

『他者との関係の中で愛情と優しさを受ける』とは言っても、それこそが親にとっても教師にとっても難題なわけですが、だからこそ種を超えて言葉を超えて、存在そのもので命の大切さを伝えてくれる動物の存在は大きなものとなります。
ただし、子ども達に動物をどう引き合わせるかとなると、自然に任せていたのではなかなかままならない現状があります。

小学校の飼育小屋の減少

責任感や思いやりの育成を目的として、児童に鶏やウサギなどの世話をさせる飼育小屋の存在も、近年では休日の世話の問題や鳥インフルエンザの影響、深夜の侵入者による飼育動物虐待事件の頻発などへの懸念、そして教師の負担を減らすため減少傾向にあるといいます。

その一方では、生体をレンタルする業者から動物の貸出しを受ける幼稚園や小学校も出てきたようですが、夏休みになったり動物が病気になったら業者が引き取り、死んだら新しい動物を貸し出すという、効率重視のあり方では、とても命の大切さなど子ども達に伝えられない、むしろ逆効果であるとして疑問視する声は少なくありません。

家庭のペット飼育

犬や猫などのペット動物と暮らす子どもは、

  • 人の痛みがわかる
  • 落ち着きがある
  • 忍耐力がある

などの点で優れているという傾向があり、これは言葉で会話できない動物とふれあうことで、相手の気持ちを察する思いやりの力が育つからだと言われています。

そうしたペットが子どもの心の成長に大きく貢献することが証明されている一方で、犬や猫などの年代別飼育状況調査(一般社団法人 ペットフード協会による)では、20~40代の働き盛りの世代、つまり子ども達の親世代における飼育率が低く、年々減少傾向にもあり、ペット動物と暮らす経験を持つ子どもも少ないことが伺えます。

動物介在教育に期待される役割

このように、子どもが自然に且つ日常的に動物に接することが難しい現代だからこそ、日中、子どもが最も多くの時間を過ごす学校における「動物介在教育」の広がりが、今後ますます期待されると言えそうです。
動物のもたらすリラックス効果によって、向上心や集中力の向上が認められたという調査結果が報告されており、「犬がいる教室」のほうが、そうでない教室より、平均で約5分間も長く集中力が持続できるという研究成果も発表されています。

「学校犬バディ」で有名になった立教女学院小学校の取り組みでも証明されたように、日々の学習の場に一匹の犬がいるだけで、子ども達の中に、自発的にやる気や責任感、他者を思いやる気持ちが生まれるなど、親や教師が言葉で教えようとしてもできないことが可能になるのです。

まとめ

女の子と犬

小学生による暴力行為の件数が過去最多となった事実。そこから見えてくることは、感情をコントロールできず、他者の痛みを感じる力の弱い子どもが年々増えているという現実。

これまで通りの教育のあり方では、解決はかなり難しいと感じます。
そんな中で、動物は時に、その特別な存在感や能力で、人間の大人が成し得ないことを実現してくれます。

ただし、ここで私たち大人が心しておかなければならないことが一つ。

昔から、『子どもの情操教育には犬や猫を飼うと良い』と言われてきました。でも、ここには落とし穴が存在します。

ただ「飼う」ということが、イコール心豊かな子どもを育てることにはつながりません。
そこにどれだけの愛情が育まれるかこそが肝心なのです。

子どもにいくら命の大切さ、動物の世話の大切さを言葉で解いたところで、経験値が浅い子どもには、何をどうしたら良いのか、分かろうはずもありません。
世話を子どもだけに任せれば、子どもにとってだけでなく、その動物にとっても大きな負担になり、命の教育であるはずが全く逆の結果を招くことにもなりかねません。

子どもは身近な大人の、その動物への接し方や心の向け方を見たり感じたりしながら自分の中に取り込み、動物との付き合い方を学んでいくのだと思います。

ただ、家庭でのペット飼育然り、「動物介在教育」で犬を迎える学校然り、親も教師も、動物飼育経験が無い人も少なくはなく、動物との付き合い方を子どもに上手に伝えられるとは限りません。
特に犬の場合はこの10余年程をとってみても、しつけを始めとする飼い方そのものが大きく変わってきており、子どものために犬を飼うというなら、親自ら適切な飼い方を学び、愛情ある接し方を示していくことが大切です。

動物介在教育でも、その動物を上手に子ども達に引き合わせていくプロの育成や、介在教育を導入する側に対する啓蒙などの働きかけが、今後ますます求められることでしょう。

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