代犬での保障とは?
代犬保障とは、ペットショップ・繁殖屋などから犬を購入して、保障期間内に犬が死亡したり、予期せぬ先天的疾患が発覚した場合に、生体価格の返金または、同種の別の個体の代わりを提供するというペットショップなどの保障システムです。
保障内容は、そのペットショップによって様々に異なります。一定の期間内(3ヶ月~6ヶ月など)に、適切な医療やワクチンを接種していたにも関わらず死亡した場合や、先天的疾患で今後の生活に支障をきたす場合が対象となります。また店舗によっては心臓疾患・視覚障害・聴覚障害などが含まれることもあります。
また保障される内容に金額の制限があることもあります。購入した生体価格が上限となり、同額程度で同犬種への交換や、その価格の返金といったスタイルが多いようです。
命を交換する代犬とは何をもっての保障なのか。
多くの方は「代犬に交換するとは何事か!」や「情が湧いているから代わりなんて無理!」と思うのではないでしょうか。きっとそう思うのが健全なはずです。
購入した犬に何らかの問題があったとしても、その犬を飼うと決めた事には、きっとその犬のどこかに惹かれたはずです。
その犬に何らかの問題があったとしても、代わりの犬などこの世の中には存在しません。理由はお解りでしょう。命に代わりなどあるはずがありません。
この記事を見てくださっている読者の皆さんなら、このように感じるのではないでしょうか。
しかし、愛犬家と自称する人の中には、犬を穿った見方しかできない人たちがいます。このような人たちは犬に条件を設けます。
- ショーにでるような犬でなければ価値が無い
- 純血種でないと価値が無い
- ショーの検査で引っかかる身体状態(健康状態)の犬は価値が無い
- ショーで優秀な成績がだせない犬は価値が無い
などなど、こうして書いているだけでも気分が悪くなります。このような価値観の人に対しては、この代犬保障というシステムは重要なのかもしれません。しかし、多くのまっとうな愛犬家なら、これらの条件がいかに愚かな事かお解りいただけると思います。
犬は我々と共に暮らすパートナーであり、友人であり、家族であります。そう思うのが自然ではないでしょうか。そんな存在の犬に、代犬などいるはずがありません。
問われる倫理観
そもそも、この保障期間内に死亡したり、先天的な疾患があるような犬がなぜ売られているのでしょうか。
優秀なブリーダーから犬を購入すれば、このような問題はほぼ起きないものです。それは、倫理観のある優良なブリーダーは、先天性となる疾患がある個体や、健康状態の悪い個体を繁殖に使わないからです。
これは繁殖の倫理上ごく当たり前のことです。また、優良なブリーダーはペットショップに子犬を卸すことも行いません。優良なブリーダーは、飼主となる人に犬と暮らすことの成功体験をしてもらいたいと考えています。こういった姿勢からブリーダーが飼主を選ぶこともあります。なので誰が飼主になるか判らないような販売の方法は行いません。
しかし、動物虐待であることを知っていながら、子犬をショーケースで陳列しているペットショップは、先天性疾患の原因となる親犬の情報や、その繁殖元の人の顔も知らないのが通常です。
彼らペットショップは優良なブリーダーから犬を仕入れることができないので、悪徳にかつ大量に繁殖を行なう業者(繁殖屋)から犬を仕入れます。
繁殖屋は利益を追求するために大量に子犬を生産します。なので子犬の健康状態などは優先されません。このような実態が、購入後の子犬の健康状態の悪化を生んでいると言っても過言ではないでしょう。
ペットショップは、このような繁殖屋から直販で買うか、ペットオークションを通して生産された犬を仕入れているのが現状です。このような繁殖屋はパピーミル(子犬工場)と言われます。パピーミルは社会問題に発展しつつあります。
試しに、ペットショップでこう尋ねてみてください。
「この子犬の親犬に会えますか?この子が産まれた犬舎を紹介してください」
殆どのケースで、ペットショップから断られるはずです。なぜなら彼らは親犬の事についてまともな情報を持っていないからです。
このような、命を軽視し、犬を利益のみの対象としているペットショップや繁殖屋にとって子犬は商品にすぎません。言い換えれば家電と同じです(家電を愛している方には申し訳ない)。家電を購入して直ぐに壊れたら、購入者は困ります。道具として家電を購入したのだから、使い物にならないと困ってしまいます。なので保障として新品に交換することは、至って自然と考えられます。しかし、犬などの生体には、二つとして同じ生命はありません。何を持って保障とするのでしょうか。
ペットショップが謳う保障という言葉は欺瞞そのものです。二つとして同じ生命がないにも関わらず、保障と言えるのでしょうか。生体の繁殖や、販売に関わる者としての倫理観が欠如していることの現れではないでしょうか。健全な犬を繁殖し、健全な飼主に買ってもらう。それが、犬も人もハッピーになるためには必要なはずです。命を尊重することがペットと暮らすことの意義であるはずです。売る側が命を尊重しないようでは、買った人も、産まれてきた子犬も幸せにはなれません。
優良なブリーダーの元で買えば、親犬が持つ疾患や気質、トレーニングの方法まで教えてもらえます。繁殖には充分な注意がされていても、予期できない先天性の疾患がでることもあります。なので買う前の段階で、その犬の事や親犬の事を詳しく教えられます。そして一度でも飼うと決めたら、何があっても一生飼うと決心しなければなりません。終生飼養は動物愛護法で定められていることです。この決心ができないようであれば、犬を飼うべきではありません。
画像の犬はペットショップから保護した柴犬。膝蓋骨脱臼(パテラ)を持っています。獣医によれば、これは遺伝によるものだそうです。パテラがあると、激しい運動が制限されます。散歩も一度に充分な距離は痛みが伴うので行けません。なので散歩を短くして数回に分けたり、キャッチボールなど遊びを通して運動するように工夫しています。
まとめ
代犬保障という有りもしない、できもしない事を平気で謳える時点で、命に対する倫理観が崩壊していることがお解りいただけると思います。子犬を買う側である我々消費者は、このような売り文句に騙されないようにしたいものです。
日本では、このような悪徳な販売方法が平然と行われています。これは法規制が機能していないことが原因です。ヨーロッパの多くのペットショップでは生体の販売は行われていません。このような国々では過去にパピーミル問題が社会問題となり、法律で厳しく管理するようになったからです。これ故にヨーロッパの国々は動物愛護先進国と言われるのです。
日本は残念ながら動物愛護後進国です。日本と同じく後進国であるアメリカですら、パピーミル問題が社会問題化し、多くの州で生体の取り扱いについて規制が強化されつつあります。
命を尊重するという基本的な事すら判らないが故に、代犬保障などという欺瞞を堂々と言えるのではないでしょうか。
ユーザーのコメント
女性 匿名
女性 匿名
家に連れて帰って数日してから、犬猫間の感染症が見つかりました。
症状は、購入時からあったもので、店員も一緒に確認しています。「すぐ治りますよー。」と言っていました。
ペットショップの対応は、心配や謝罪は一切なく、とりあえず責任逃れ、責任の押しつけ、そして、代犬の提案・・・。
きっと、決まった対応なんでしょうけど、あきれてしまいました。
もし、ペットショップ側が、社会的な役割を得ようとしているなら、こんな対応はしないはずです。
ペットショップにとって、犬は商品なんだと、よく分かった出来事でした。
もう二度とペットショップで生き物を買おうとは思いません。(犬は元気です☆)
20代 男性 匿名
40代 女性 匿名