「ペットの健康管理に関する実態調査」が実施されました
一般社団法人Team HOPE(チームホープ)が2016年から毎年実施している「ペットの健康管理に関する実態調査」が、2019年にも実施されました。Team HOPEは、ペットの予防医療と健康管理の普及・啓発活動を推進する獣医師団体です。
調査は、2019年12月6日~7日にインターネットで行われました。調査対象者は、犬の飼い主・家族206名(犬の年齢7歳未満103名、7歳以上103名)、猫の飼い主・家族206名(猫の年齢7歳未満103名、7歳以上103名)の合計412名。
調査内容は、ペットの健康診断の受診状況の他、病気や介護に関することなどです。犬や猫の飼い主さんなら気になることばかりだと思いますので、調査結果をご紹介していきます。
健康診断の受診状況は?
ペットにも健康診断を受診させたいと思いつつ、なかなか実行できていない飼い主さんもいるかと思いますが、ペットに健康診断を受診させている飼い主さんはどのくらいいるのでしょうか?
上のグラフを見るとわかりますが、2019年の調査結果では42%の飼い主さんがペットに定期的に健康診断を受診させています。
この数字を高い思うか、低いと思うかは人それぞれだと思いますが、2016年と比べると11%も伸長しています。また定期的な健康診断の受診の頻度は、年に1回程度が59%、年に2回以上が41%という結果でした。2017年は30%でしたので、こちらも11%伸長。
私個人としては、年に2回以上健康診断を受診させている飼い主さんが約4割で、年に1回程度の飼い主さんの割合に迫る勢いであることに驚きました。
その背景には、ペットの高齢化やペットへの健康意識の高まりなどが挙げられるようです。近い将来、「ペットに定期的に健康診断を受診させるのは当たり前」という時代がやってきそうですね。
犬の成長のスピードは人よりも早く、小型犬・中型犬は1年で4歳、大型犬は7歳のペースで年を重ねます。そのため、7歳以上の犬や猫は年に2回以上健康診断を受診することをTeam HOPEでは勧めています。
受診している健康診断の内容は?
一口に健康診断と言っても受診項目はいろいろありますが、ペットたちはどんな項目を受診しているのでしょうか?
「問診」を受診しているペットが一番多く86%、そのあとは「触診」84%、「視診」81%、「聴診」58%、「血液検査」58%と続きます。
一方、腎疾患や泌尿器疾患、糖尿病などの病気発見の手がかりになる「尿検査」、消化管内の寄生虫の有無や、消化管内の出血や消化状態をチェックする「便検査」、肺や心臓、臓器の異常をチェックする「レントゲン」を受診しているペットはそれぞれ2割程度。胸部や腹部の異常をチェックする「超音波検査」は、1割程度に留まっています。
項目によって受診している割合に差がある結果となっていますが、愛犬や愛猫の全身の健康状態を正しく把握するためにTeam HOPEが勧めているのは、
- 問診
- 触診
- 視診
- 聴診
- 血液検査
- 尿検査
- 便検査
- レントゲン検査
の8項目の受診です。
じつはわが家の愛犬が受診しているのは、「問診」「触診」「視診」「聴診」「血液検査」の5項目のみ。毎年フィラリア検査の際に一緒に受けていますが、病気の早期発見につなげるため、「尿検査」「便検査」「レントゲン検査」も受診させるべきですね。
病気にかかった経験のあるペットの割合は?
ペットにはいつも元気でいてほしいですが、時には病気になってしまうことも…。調査では、病気にかかった経験のあるペットは55%という結果が出ています。7歳以上の高齢ペットの罹患経験が高く70%(犬80%、猫60%)。
また、現在病気にかかっている7歳以上のペットは39%(犬43%、猫35%)にのぼり、犬は
- 目
- 皮膚
- 歯・口腔
- 耳
- 泌尿器
- 歯・口腔
の病気が多いようです。
ペットの健康や病気に関することで、飼い主さんがわからなかったり不安なことは?
ペットの健康や病気への疑問や不安は尽きないものです。調査結果では、32%の飼い主さんが「ペットが病気やケガで長く治療が必要になった場合の経済的負担」を不安に思っていて、「ペットの健康や病気に関することで、わからなかったり不安なこと」の第1位です。
続いて第2位は「ペットに万一のことがあった場合、ペットロスになってしまわないか」31%、第3位は「病気の兆候の見つけ方がわからない」21%となっています。
ペットに長期治療が必要になった際の経済的負担への不安や、ペットロスへの不安は、飼い主さんにとって非常に切実なものだと思います。
ペット保険への加入やペット貯金をしておく、愛犬との時間を大切にしつつも依存しすぎないようにしておくなど、今できることをしておきたいですね。
ペットの介護経験と介護時のペットの状態は?
ペットの高齢化が進み、犬や猫を飼うときは、介護のことまで考えなくてはいけません。調査結果によると、ペットの介護の経験のある人は20%、現在介護をしている人は5%。96%が自分または家族が自宅で介護をしていて、病院や施設に預けたり、訪問介護サービスを利用する人は非常に少ないという結果に。
また介護時のペットの状態は、「自力で歩くことができない/難しい」が62%で最も多く、その他は「自力でトイレで排泄することができない/難しい」42%、「自力で食べたり飲んだりすることができない/難しい」41%などとなっています。
ペットの介護についての考え方は?
ペットの介護について、飼い主さんたちはどう考えているのでしょうか?「ペットの介護が必要になったらできるだけ自分や家族で面倒をみたい」がトップで、45%という調査結果でした。私もこの考えです。トップではありますが、意外に少ない割合に感じます。
次に多いのは、「健康寿命を延ばすことで、ペットの介護をする期間はできるだけ短くしたい」35%。ペットの健康寿命を延ばすためには、病気の早期発見、早期治療につながる定期的な健康診断が重要になります。
「ペットの介護が必要になったらできるだけ自分や家族で面倒をみたい」という前向きな回答が一番多い一方で、「ペットの介護は不安だが、特に対策はしていない」や「ペットの介護を予防したいが、予防方法がわからない」などの回答も。
ペットの介護に対する不安はあるものの、情報が少なく具体的にどんな対策をしたらいいのかわからない飼い主さんが多いようです。
まとめ
今回は、Team HOPEが2019年に実施した「ペットの健康管理に関する実態調査」の調査結果をご紹介しました。
調査結果から、飼い主さんのペットへの健康意識が着実に高まってきていること、そしてペットの高齢化が進んでいる今だからこそ、やはりペットにも定期的な健康診断が重要だということがわかります。
7歳以上のペットは年に2回以上、7歳までのペットも年に1回は健康診断を受診するようにしましょう。健康診断で病気の兆候を早期に発見することが、ペットの健康寿命を延ばすことにつながります。
ユーザーのコメント
40代 女性 匿名
獣医師が問診や触診をして「異常はない」と言っても、「何かおかしい」と訴えれば突っ込んだ検査をしてくれます。
そのおかげで、子宮蓄膿症や肝臓腫瘍、胆のう粘液嚢腫、肺ガンを早期に発見することができ、すぐに治療や手術をすることができました。
獣医師もまさかの展開にびっくりしていましたが、誰よりも一緒にいて愛犬のことを知っているのは飼い主です。
2ヵ月前の検査で何でもなくても、あっという間にガンは広がります。この前検査したから様子を見ても大丈夫、では手遅れになることもあります。高齢になったら、ささいなことでも病院へ行くことが大切だと思います。