犬を保護したら
私は地元で動物愛護団体でボランティア活動をしていて、毎日のように市民からいろんな相談を受けます。
その中で『犬を保護した時の人々の対応』に気になることがあり、今回は筆をとりました。
遺棄は犯罪
連絡をくれた多くの人たちが「捨て犬を保護したのですが」とおっしゃいます。
保護した時の状況を訊くと、“道路でウロウロ一人で歩いていた”というのがダントツ。しかもその殆どは山の中ではなく、街中です。
でもよく考えてみると、街中で犬を捨てることは稀なのではないでしょうか。
『動物愛護管理法』により、動物の遺棄は犯罪と定められています(※)。その犯罪を人目があるところで堂々と行う人はまずいないと考えられるからです。
勘違い
「捨て犬を保護したのですが、私は飼えないので。」と電話をかけて相談してくださる方がいらっしゃいますが、私はいつもこう答えます。
「それは“捨て犬”ではなく“迷い犬”ではないでしょうか?」
昨年、迷い犬を保護した時のことです。ある会社の従業員の方々にお世話になったのですが、その中に一生懸命、里親探しを始めた方がいらっしゃいました。
「ねぇ、誰かこの犬を飼ってあげられない?」
私は慌てて言いました。
「この犬は迷い犬なので、里親探しではなく、まずこの子の本当の飼い主さんを探さないといけないのですよ」
別の活動の際にも、こんな人がいました。
「捨て犬を保護したことがあって、かわいそうだからそのまま飼ったよ。」
それはもしかしたら、誰かの犬だったのではないでしょうか?
驚くことに本当に多くの人が「犬を保護した=捨て犬」と決めつけてしまっている事実が判りました。その勘違いで、そのまま飼ってしまう人がいることも驚くべき事実でした。
そうなると、迷い犬がいつまでたっても見つからないわけです。
届け出
犬を保護したら、やるべきことがあります。
- 1.保護した管轄の警察に届ける。
- 2.保護した管轄の保健所(センター)に届ける。
ただし、保護した犬を警察や保健所(センター)に引き渡すと、場所によっては命の期限がつけられてしまい、その間に飼い主さんが引き取りに来なければ殺処分になることがあります。そのため上記2ヵ所に届けを出して「飼い主さんが現れるまで預かる」ことが、犬にとっては最も安全だと私は考えています。
警察では保護した犬の届け出は拾得物として処理されます。保護した人が預かる場合の拾得物としての犬は、届け出を提出してから3ヵ月間は元の飼い主さんを探す期間となり、新しい飼い主になることはできません。
保護の書類提出時に、その3ヵ月を過ぎても元の飼い主が見つからなかった場合、犬の所有権を放棄するか、(元の飼い主から)自分に移すかを選択しておきます。「所有権を自分に移す」方を選んでおくと、飼い主さんが期間内に現れなかった場合に自分の犬として登録可能となります。
詳しいことは地元の警察署にお尋ねください。
手順
犬を保護したら、捨て犬だと決めつけないで、迷い犬として警察と保健所(センター)に届け、その後、預かれるのであれば、動物病院か保健所でマイクロチップの確認をしてもらってください。
もし、首輪をしていたら、首輪に何かついていないか確認してください。
犬の鑑札登録か、狂犬病予防接種票の札がついていれば、保健所で飼い主さんを調べられます。
飼い主さんが分からない場合は、自分でチラシを作ってお店などに貼ってもらうと同時に、SNSなどでその子の飼い主さんに繋がるように努力することをお勧めします。
手順などがよくわからない場合は、地元の動物愛護団体などに相談をしてみてください。
最後に
本記事はあくまでも保護された方が預かることを想定して書いております。
警察に連れて行き引き渡すと、数日後に地元の保健所に連れて行かれます。
保健所では、場所によっては命の期限が決められて最終的に殺処分になったりすることがあります。迷い犬を保護して助けたつもりでいても、警察や保健所に渡してしまうと、結果的に捕獲して駆除したということになりかねません。迷い犬を保護した場合は、出来る限り誰かが預かる方向で動かれることを願います。
※本記事に掲載している写真は、環境省ポスター以外全てライター自身の制作物です。