犬の耳について
犬と生活していると、実に色々な「音」に反応します。
反応して、鳴くパターンが多いのですが、鳴かないで、耳だけを動かすパターンもあります。首をかしげる事もあります。震えることもあれば、尻尾を丸め込む場合もあります。毛を逆立てることもあります。
反応は様々ですが、今回は音に反応する「犬の耳」に注目してみたいと思います。
犬の耳の概要
犬の耳は、人と同じように音を感知する感覚、平衡感覚を持ちます。ひらりとした耳の部分を「耳介」、そこから内側に向かっていきます。
「耳介じかい」から「外耳道がいじどう」を通り、「鼓膜こまく」から「中耳ちゅうじ」へ。そこから「内耳ないじ」へつながります。
人の場合も同じです。「耳介」から「外耳道」を通り、「鼓膜」「中耳」「内耳」とつながります。犬の耳と人の耳を比較した時一番の違いは「外耳道」と呼ばれる器官の違いです。
人の外耳道は平行です。犬の場合、この外耳道はL字型になっているのです。
犬の耳を覗いてもL字になっているので、状態を確認することはできません。特に垂れ耳の犬は、耳の中に湿気がこもりやすく、炎症をおこしやすいと言われます。
犬の耳についての豆知識
聞きとる
我が家の場合、よく反応する音は、掃除機、テレビ、ドライヤー、電子レンジ、インターフォン、家の前の道で人が行き交う音、人が帰って来る音、などです。
人の声ですと、「さんぽ」「まて」「ふせ」「おしまい」「だせ」「ごはん」は、非常に反応が早く、伝えた通りに行動します。
逆で「すわって、すわれ、」は、反応が遅く、少ししてから「ふせ」をすることもあります。
犬の耳は非常に優れていると言われますが、反応が早い音と遅い音があると感じます。耳がいいはずの犬なのに、どうして違いがでてくるのでしょうか。
可聴域
聞き取れる音の領域を可聴域と言いますが、犬の場合可聴域は40ヘルツ〜65,000ヘルツとも言われています。65ヘルツから50,000ヘルツという、意見もあります。人は20ヘルツから20,000ヘルツと言われています。
数字から分るように、犬は低音より、高音を聞き取ることが得意です。
もともと狩猟をしてきたのがオオカミの歴史があります。犬はこの遺伝を色濃く受け継いでいます。小動物がどこにいるのか、それを探し当てるためのツールを幾つも持っています。その一つが耳で、耳は小動物の出す高音を捉えることができるのです。
捉えやすい可聴域
そして、捉えやすい領域もしっかりあります。それが3,000ヘルツから12,000ヘルツと言われています。
人の可聴域は20〜20,000ヘルツなので、犬の聞き取りやすい音と、人の可聴域は重なります。このデータに基づくと、3,000ヘルツから12,000ヘルツが、自分と犬の共通音域になります。
先ほど生活音の中で触れた電気家電の音ですが、犬の反応が早く、掃除機に威嚇したり、怯えて逃げてしまったりと様々な反応をします。犬にとってそのモノが何に例えられてしまうのかは、犬それぞれですが、「ウイーン」という電化製品の音は、犬にとって聞き取りやすい高音であることは確かでしょう。
人の声
人の声は子音よりも母音の方が聞き取りやすいと言われています。
「まて」→「あえ」と聞こえ、「すわれ」→「うあえ」に聞こえがちなようです。
筆者がよく「すわって、すわれ」と言うと、その後に伏せをしがちなのですが、犬にとって、「すわれ」は→「うあえ」と聞こえ、「ふせ」は→「うえ」と聞こえていたのです!「うあえ」と「うえ」は犬にとってよ〜く似た単語なのです。
耳が遠いのではなく、子音が聞き取りにくいために、母音で理解していたのですね。
「うあえ」と言っているけど、きっと「うえ」のことだな、、、と理解して「ふせ」をしていたのでしょう!
筋肉
犬の耳にはおよそ左右合わせて30個以上の筋肉があると言われています。大きな動作では、前に、横に、後ろに動かすことができます。
耳が垂れている犬の場合、できにくいという意見もあります。
感情表現として耳を動かす意味もありますが、音に関して言えば、この耳が動く一番の理由は音源を探すためです。「どこから流れてくる音なのか」敵と味方とそして獲物を把握するために必死に、独力で探すための筋肉なのです。犬の耳のひらりとした部分、(耳介じがい)は、筋肉によってどのようにも動くアンテナのようなものです。
感情を表す
耳を真上にピンと立てる
飼い主が面白そうな事をしている時、向こうから気になる犬がやって来る時など、「あれは何だ?!気になる〜!」という時に使います。とても前向きに情報を得ようとしています。
耳を後ろに引いて寝かせる(1)
飼い主がちょっと怒っている時、向こうから知らない犬がやって来るが、仲良くできるか不安な時など、「気になるけど、知らない・わからないから不安だな」という時など。耳を折り畳むことで自分を小さくして、敵対心がない事を表します。
耳を後ろに引いて寝かせる(2)
(1)にプラスして鼻にしわをよせたり、歯をむきだしている時は、「争いたくはないけど、来たら受けて立つよ」という、服従心と攻撃心を持つ複雑な感情です。
耳を少し前のめりにする
飼い主がしている行動の音をもっと良く聞くために前のめりにしている時と、向こうから敵意むき出しの犬がやって来て、こちらも受けて立つ!という威嚇の時があります。自分を大きく見せています。
耳を左右に広げて後ろに少し引く
飼い主が執拗に怒る時や飼い主が執拗に撫でてくる時、また向こうから知らない犬に言い寄られたりした時など、「困ったなあ、どうしよう。」という気持ちです。
豆マメ知識
Dogearsとは、人の世界では本を読んだ時に気になるところを折って印を付けること意味します。しおりですね。必要な情報を得た証拠です。
いろんな犬の耳
立ち耳グループ
バットイヤー(こうもりの耳)
コーギー
耳同士が離れていて、羽を広げたコウモリのような形からバッドイヤーと呼ばれています。チワワもバットイヤーです。
フーデドイヤー(フードを被った)
バセンジー
立ち耳ですが、横からみるとやや内側に丸みを帯びて寄っています。
チューリップイヤー(チューリップ)
フレンチブルドッグ
耳がピンとしっかり立って正面を向いています。その形からチューリップの花に例えられています。
バタフライイヤー
パピオン
パピヨンとはフランス語でバタフライ、蝶を意味します。先端から長毛の毛が伸びて大きな蝶の羽のように例えられています。
中間グループ
ボタンイヤー(ボタン)
パグ
全て垂れているわけではなく、少し垂れている程度の耳です。ボタンのような可愛らしさが特徴で、小さめです。
垂れ耳グループ
フォールデドイヤー(折られた)
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
根元から折られている耳ではなく、途中からしっかり折られて丸みを帯びた耳。
ローズイヤー(バラの花)
ブルドッグ
耳は花のように渦を描いて収縮しています。
まとめ
犬の耳は何故いろいろな形があるのでしょうか、不思議です。生まれた時から個性的な耳を使って、音という音にアンテナをめぐらせる犬の耳。個性的なボディーでつっぱしるには、これくらい感度がいいものが必要なのかもしれません。