犬が飼い主を危険から救ったというエピソードは良く見聞きします。
メディアで紹介されるような話ですから、まさに奇跡に近いような事ばかりです。
では、自分は?と過去を振り返っても、そんな話に匹敵するような出来事は先ず思い浮かびません。
そもそも、そんな危険な目に遭ったこともなく平穏な暮らしをしてきました。
もちろん、それに越したことはなく、絆を確信させられるような重大な出来事も起こらない方がよいのかもしれません。
田舎の、ご近所で起こった事故
今回は、私の実家の近所に住む、年配の飼い主さんに起きてしまった事故と、
その時に愛犬がとった行動についてお話します。
私の実家は、田舎で夜は真っ暗です。
しかも、田んぼばかりで、民家も少ない。
聞くところによると、稲作する地方では稲穂のために夜の街灯は極力抑えるのだそうです。
たまに実家に帰ると夜の8時を過ぎると、なんだかもう深夜2時という感じなのです。
「夜のとばり……」そんな言葉が頭に浮かびます。
それほど、私には暗すぎて、ちょっとそこまで、のはずのコンビニでさえ車で行かなければ無理ですし、
その車でさえ、少し先がどうなっているのか、車のライトをハイビームにしたい程です。
しかし、日々その環境で生活している人にとってみれば、当たり前のことで、たいしたことでもないのでしょうか。
意外と反射光のテープが付いたたすきを掛けた人が、どこから?どこまで?走っているの?というところを走っていたりもしています。
だから、暗くなってからの犬の散歩でさえ普通に出掛けるのかもしれません。
いつものことだったのか、たまたまだったのか、ご近所の方は夕方暗くなりかけたころに犬と散歩に出掛けました。
そして、いつものルートとちょっと違ったところを珍しく通ったことで、その事故が起こりました。
散歩中、脚を踏み外し、田んぼの側溝にはまってしまったのです。
その年配の飼い主さんは、自分で起き上がることもできなくなってしまい、そのまま夜になってしまいました。
こうなると、本当に真っ暗で、「田舎の夜は早い」ため、誰も通りかからない。
一人では起き上がれない。
たぶん、そのまま朝を迎えれば、亡くなってしまう事故にもつながりかねません。
核家族化が進み、過疎化した田舎では、老人が夜中にどこかへ迷子になって帰ってこられなくなることも少なくありません。
そんな時、一緒に散歩していた愛犬が、この飼い主の一大事を救うために助けが来るまで吠え続けたのです。
そして、そのおかげで、たまたまその道を通りかかった人が、犬の異常な鳴き声に驚き、飼い主を発見しました。
飼い主は軽い打撲と捻挫ですんだそうです。
もしも、人が通りかからなかったら、もしも愛犬が吠え続けなかったら、最悪の事態になっていたかもしれません。
この飼い主の危機的状況を救ったのは、愛犬だったのだと思います。
飼い主を助けるために必死に鳴き続けた愛犬。
誰かが助けに来てくれるまで、決してあきらめず、鳴きつづけたのでした。
愛犬がそうしてくれていることで、きっと途方にくれて体力も奪われていく飼い主は
どれだけ心強かったかと思います。
まとめ
飼い主と愛犬との絆は、普通の生活のなかで硬く結ばれていくものだと思います。
愛犬を日々思いやり、愛し、大切にしていれば、愛犬も同じ分、それ以上に飼い主を大事にするだと思います。
飼い主には生活の一部の愛犬との生活が、愛犬にとっては生活のすべてなのかもしれません。
あえて絆を確認するような出来事が起こらなくても、きっとその絆は日々強くなっているのだと思います。
こんなエピソードを見聞きするたびに、そっと我が家のワンコを抱きしめたくなります。