散歩中の犬の行動と脈拍に関連がある?
犬と暮らしている人にとって、散歩をすることは毎日当たり前にしている日課で、散歩中の犬の行動も毎日繰り返されることであれば特に注意を払わないものです。
けれど、散歩中の犬のごく普通の行動が犬の脈拍と関連しているとしたら興味深いですよね。
そんな散歩中の犬の行動と脈拍との関連を調べたリサーチの結果が発表されました。
研究を行ったのはフランスの2人のドッグトレーナーで、2人ともトゥーリッド・ルーガス氏認定の課程を修了しています。
トゥーリッド・ルーガス氏は犬語解読の元祖とも言える「カーミングシグナル」の提唱者で著者でもあります。
リードの長さと匂い嗅ぎと脈拍の関連
リサーチに参加したのは61匹の犬でした。犬たちは普通の家庭犬で、犬種、年齢、避妊去勢の有無、サイズ、ライフスタイルなどは多様でランダムでした。
この61匹の犬をそれぞれ5分ずつ3回歩かせ、その時の脈拍が記録されました。3回の歩行は1.5mのリード、5mのリード、リードなしとそれぞれ違う条件で行われました。まず最初にリードの長さによって観察された違いは、犬の匂い嗅ぎ行動の時間の長さでした。
匂い嗅ぎ行動の時間が最も短かったのは1.5mのリードで歩いた時でした。5mのリードを使用した時には匂い嗅ぎ行動の時間が1.5mの時の約3倍になりました。リード無しで歩いた場合には、5mの時よりもさらに長い時間匂いを嗅ぐ行動が観察されました。この匂い嗅ぎ行動の時間の違いは、犬の散歩の頻度が「毎日必ず散歩する」場合でも「ほとんど散歩に行かない」場合でも、さらにその中間の場合であっても、ほとんど全ての犬に当てはまりました。
匂いを嗅ぐ行動と犬の脈拍数の間にも相関関係が見られました。
犬が匂いを嗅ぐと脈拍数の低下が見られました。また犬が匂い嗅ぎ行動に熱心になるほど脈拍数が低下しました。
犬が歩き続けている状態でも匂いを嗅いだ時には脈拍数が低下したため、匂いを嗅ぐ行動と脈拍の間には相関関係があると見なされました。
犬が歩行中に匂いを嗅ぐ行動は、脈拍数の低下から犬のストレスレベルを下げている可能性を示しています。
つまり安全な環境で実行可能な場合には、長いリードを使ったり、オフリードにすることで犬の匂い嗅ぎ行動を促し、犬の散歩の質を高められるということです。
ブルブル行動と脈拍の関連
普段の生活の中や散歩中に犬が体をブルブルさせることがあります。体が濡れた時に水を振り落とすために体をブルブルと回転させるのと同じ方法で体を振る行動です。
この行動はカーミングシグナルの一つとしても知られています。興奮したりストレスを感じた時に自分の気持ちを落ち着けるため、また側にいる相手に不快感を示すためなどに見せる行動だと言われています。
このブルブル行動も脈拍数の低下に関連していました。犬の脈拍数が高くなった時、この行動がよく見られました。そして犬がブルブル行動をした後には脈拍数が低下していたのです。
カーミングシグナルとして気持ちを落ち着けるための行動と言われていたことが、身体的な数字にも表れていたことがわかりました。
ブルブル行動と脈拍数の低下は3種類のリードの状態の全てで同じように観察されました。
まとめ
歩行中の犬のリードの長さや有無によって匂い嗅ぎ行動の長さが変わること、犬が匂いを嗅ぐ行動をすると脈拍数が低下していたこと、体をブルブル振る行動をした後にも脈拍数が低下していたというリサーチの結果をご紹介しました。
犬が匂いを嗅いだり体をブルブルさせる行動は珍しいことではないので、特に気にとめる事もなく見過ごしがちです。しかし脈拍数の低下という身体的な数字となって表れているということは、これらを注意深く観察することで毎日の犬の散歩をより楽しいものにしたり、ストレスを遠ざけるための目安になります。
次の散歩の時にぜひ注目してみてくださいね。
《参考URL》
http://www.dogfieldstudy.com/en/pulse-study/at-the-heart-of-the-walk