犬が問題行動を起こす原因は人間側にある
出戻り犬
あるセンターに1度は譲渡されるも、夜鳴きがひどくて近所からクレームが出たのでこれ以上は飼えないと再び戻された犬がいました。
その犬とボランティアとの出会いは、センターに再収容されて1ヵ月後のことでした。
甘噛み
まだ若いこともあり、確かに落ち着きはなかったのですが、とても人懐っこい子でした。
甘噛みがあり口に手を入れたがりましたが、強く噛んだりはしません。
問題となっていた吠えについても、近づけば吠えることはありませんでした。
最初のお家では、夜お外に繋がれて寂しくて鳴いていたのかもしれません。
犬が鳴くのには、必ず理由があります。
里親希望者
ボランティアがSNSにセンターのその犬の写真や動画を投稿したことで、市外のある女性の目に留まりました。
何度がやりとりした結果、その女性がセンターまで、その犬をお迎えに来てくれることになりました。
忠告
センターでその女性は、犬と初対面しました。
最初からお迎えするつもりで来ていた女性は、その犬をそのまま連れて帰ることに決めていました。
引き出しの手続きをしているとき、飼育員さんが言いました。
「その犬は前にもらわれた家で毎晩大きな声で鳴いていました。また戻されては困りますので、ご忠告させていただきます。この犬は毎晩鳴く犬だと。」
だいたいこのような内容でした。
それに対して女性は「犬が吠えるからには理由があるはずです。その理由を取っ払えば犬は泣かなくなります。ご心配には及びません。私は大丈夫です!」ときっぱりと言われました。
そこには、確固たる自信が満ち溢れていました。
実はボランティアはこの女性とは面識がありませんでした。でも彼女のこの自信を感じ、この犬の里親になってもらいたいと最初から思っていたのです。
大雨
その日は大雨が降っていました。
女性は犬を車に乗せて市外の自宅に向かい、その後をボランティアたちを乗せた車がついて行きました。
飼育環境チェックをするために、ボランティアは里親様のご自宅拝見を条件としていたためです。
自宅に着くと彼女はまず土砂降りの中、犬に少し散歩をさせました。
その後、家の中に入れたのですが…
自由
女性はビショ濡れの犬を室内に何の戸惑いもなく入れました。
「足とか拭かなくていいのでしょうか?」とボランティアが尋ねると、
「後で床を拭けばいいだけだから!」と一向に気にする様子はありませんでした。
その後も、サッシを開け、先住犬は庭とお家を自由に出入りさせている様子。
雨でも関係ない、「好きにすればいいから」と。
満足
センターで夜鳴きするというレッテルを貼られていた犬は、完全にこの女性の与えてくれる環境に満足しています。
その証拠に、前のお家で毎晩鳴いてセンターに連れ戻された犬が、この女性のお家では一回も夜鳴きがありませんでした。
それどころか、毎晩大いびきをかいて寝ているそうです!
犬が置かれた環境で、同じ犬でもこんなに変わるんです。
最後に
あれから1年が経ちました。
今もその女性のお家で何のトラブルを起こすこともなく、犬は幸せに暮らしています。
犬が問題行動を起こすときには、その犬のせいではなく、その犬が置かれた環境、つまり飼い主さんに問題があることを忘れないでください。