安産祈願を戌の日にするのはなぜ?
安産祈願の「戌の日」とは?
人間の場合、妊娠五か月に入ると「安定期」に入ります。「安定期」とは、赤ちゃんと妊婦さんを繋げる「胎盤」が完成し、母体のホルモンの状態も安定する時期のことを言います。
「安産祈願の戌の日」とは、安定期に入った5か月目の最初の「戌の日」に、神社仏閣に安産祈願の参拝をすること。この日以降、妊婦さんは「腹帯」「妊婦帯」と呼ばれる長い布をお腹に巻いて、出産に備えます。
腹帯、妊婦帯の役割
腹帯、妊婦帯は、大きくなったお腹を下から上へ持ち上げるようにしっかりと支えるように巻きます。そうすることで、腰痛を予防し、体温を保持することができます。
「戌の日」の由来
古来犬は多産で安産であったため、安産祈願を「戌の日」にするようになった、と言われています。
「犬」と「戌」の違い
「犬」の意味
「犬」という漢字は、犬を現した象形文字から変化してできた字です。
「戌」の意味
この漢字の中には「戈」という形が含まれていることから、「武器を持って守る」という意味を指します。一説によると、「戌」という漢字は人や家族(群れ)を守る犬、という意味として使われているとも言われています。
また、そもそも「戌」という字は、「穀物を収穫し、纏める」という意味があり、暦上、収穫時期である時期に犬を当てはめたことから、この漢字が使われるようになったそうです。
いずれにせよ、「戌」という漢字を見ると、「犬」は、はるか昔から、何らかの形で人間のために役割を果たす動物として扱われていたことがわかります。
「狗」の意味
「狗」には「とるに足らないもの」「小さく丸まっているもの」という意味があるそうです。
まだ、人の役に立たない小さな子犬のイメージですが、この漢字に「走」が付くと「猟犬」という意味になります。けれども、決していい意味ではなく、「人の手先になる」という少し侮蔑の意味が込められます。
戌の日とは?
安産祈願の「戌の日」とは
日本の暦では、十二支を年毎に割り振って、申年、酉年、などと呼びならわしています。これは日付に関しても同じで、12日ごとにそれぞれの十二支を割り振っているので、12日ごとに「戌の日」が訪れます。
安産祈願の「戌の日」にやるべきこと
神社仏閣で安産祈願
安産祈願を行っている神社仏閣を参拝し、妊婦さんが使う腹帯に安産祈願をしてもらいます。支払いは、神社なら初穂料、お寺なら御祈祷料、という形になります。
お守り、祈祷料、腹帯で1万円程度が相場のようです。
妊婦さんが腹帯を巻く
安産祈願の祈祷が済んだお腹帯を巻きます。本来はサラシなので、素肌の上に巻き付けるのですが、帯祝いの席で巻く場合は、服の上から形式的に巻き付けるだけでも大丈夫です。
帯祝いをする
妊娠して初めてのお祝い事になるのが「帯祝い」です。本来は、「妻の実家から妻へ腹帯を送る」という風習だったそうですが、腹帯に添えて金銭を送る場合もあるのだとか。
赤ちゃんがお腹の中で育っていることを祝い、母子ともに無事にお産を済ませることができるように、地域によっては、両家の両親が揃って食事会を行う習慣もあるようです。
安産祈願で有名な神社仏閣
- 北海道 北海道神宮 http://www.hokkaidojingu.or.jp/
- 東北 櫛引八幡宮 http://www.kushihikihachimangu.com/
- 関東 水天宮 http://www.suitengu.or.jp/
- 中部 熱田神宮 http://atsutajingu.or.jp/jingu/omairi/jinseigirei.html
- 北陸 白山神社 http://www.niigatahakusanjinja.or.jp/index.html
- 関西 中山寺 http://www.nakayamadera.or.jp/top.html
- 中国 広島東照宮 http://www.hiroshima-toshogu.or.jp/index.html
- 四国 高忍日賣神社(たかおしひめじんじゃ) http://www.takaoshihime.jp/
- 九州 太宰府天満宮 http://www.dazaifutenmangu.or.jp/
まとめ
昔の人が、安産祈願の日を「戌の日」に選んだのは、一般的に「犬が多産で安産だから」と言われています。ですが、十二支の中にはネズミやウサギなどもっと多産な動物が含まれているにも関わらず、なぜ「犬」を選んだのでしょう?
私は、その時代から犬は私たち人間とともに生き、私たち人間を愛し、守ってくれるかけがえの存在だったからこそ、ほかの動物ではなく犬を選んだのではないか?と考えています。