チキンミールやラムミールが使われるメリット
ドッグフードの原材料一覧を見ると「チキンミール」「ラムミール」「肉粉」などの名前がよく登場するのに気づかれると思います。ドッグフードの評価サイトなどを見ると「ミールは粗悪な原材料」と書かれているのも目にしますが、ミールは本当に悪い面ばかりなのでしょうか?
ミールは肉や魚を高温で加熱して脂を搾り乾燥させて粉にしているため、動物性タンパク質がギューッと凝縮した形で含まれます。これはメリットのひとつと言えます。また生の原材料よりもコストが安いため、フードの小売価格を手頃な値段に設定できることもメリットだと言えるでしょう。また人間用の食肉を取った後に残った部分を利用することは食資源の有効活用という点で大切なことです。
利用しているフードのメインのタンパク質源がミールである場合、ちょっと工夫することで愛犬の食事をバージョンアップすることができます。
まずはミールの弱点を知っておこう
ミールは良くないという意見でよく見られるのは「4Dミートが使われているから」というものですが、全てのミールがそのような肉から作られているわけではありません。しかし人間用の肉を取った残りの部分から作った良質なミールであっても弱点があります。そこを知っておくことで補う方法も見えて来ます。
先に述べたように、ミールには肉を高温加熱して脂を搾るという製造工程があります。脂が溶け出すくらいの高温調理をすることで肉のタンパク質を組成するアミノ酸と糖がメイラード反応を起こし、メイラード反応物質というものを作り出します。メイラード反応はお肉などに美味しそうな焼き色をつけ香ばしい匂いを作り出す美味しさの決め手でもあるのですが、ペットフードの場合は毎日これだけを食べ続けるものですから、知っておいた方が良い注意点があります。
メイラード反応物質は犬の腸内ではほとんど消化されず、この物質があることで特定の腸内細菌が増加しやすくなります。この細菌には犬にとって重要な栄養素タウリンを分解する働きがあります。またメイラード反応物質そのものが、犬の必須アミノ酸であるリシンを減少させることも分かっています。
タンパク質を組成しているアミノ酸は犬の体内で、他のアミノ酸やビタミン様物質を合成するのに利用されます。しかし高温で加熱されたアミノ酸は、この合成能力が落ちてしまうことがあります。
つまりミールの弱点は、肉に含まれているアミノ酸が高温調理によって失われたり消化しにくい状態になってしまうということです。
弱点を補うためにはどうすれば良い?
原材料に使われている動物性タンパク質がミールだけの場合、多くのメーカーは上記のような弱点を補うために添加物としてアミノ酸をプラスしています。原材料一覧の最後の方には、色々なカタカナの名前が並んでいますが、メチオニン、シスチン、タウリン、リシンなどが栄養添加物としてプラスされているアミノ酸類です。
ミールの弱点を補うために家庭でできる簡単な方法はトッピングです。刻んだゆで卵、サッと茹でた肉類、ヨーグルトやカッテージチーズなどをトッピングすることで、自然な形でアミノ酸を補うことができます。フードの表面を覆い尽くすほどの量は必要ありません。ちょっとしたふりかけ程度で、犬も喜ぶ弱点カバーができます。
まとめ
ペットフードの原材料のメジャー選手である◯◯ミールについて、その弱点とそれを補う方法をご紹介しました。「ミールを使ったフードを与えてはダメ」と言われても、愛犬が喜んで食べていて体調も悪くないのでフードを変えたくない、予算に合わないなど様々な事情があります。トッピングなどは実行している飼い主さんも多いかと思いますが、どんな意味があるのかを知ることで安心感にもつながります。フード選びは悩ましいものですが、知識を増やすことは不安を軽減することにもなりますね。
《参考URL》 https://thesciencedog.wordpress.com/2018/08/30/the-heart-of-the-matter/