犬が大きな音を怖がることを軽く見ないで
毎年夏が近づいてくると、ペットに関する様々なメディアが花火や雷などが聞こえてくるときの注意事項を発信するのを目にしますね。それにも関わらず、大きな花火大会や雷雨があった次の日には、SNSなどに「犬が脱走してしまいました」「迷子の犬を見つけました」という拡散希望がたくさん並びます。
人間にとっては何ということもない騒音でも、動物にとっては突然やって来る訳の分からない恐怖です。大きな音を怖がる犬を飼っている人は、犬が怖がっているという事実を真剣に受け止めて対応してあげることが大切です。知っておきたいこと、気をつけたいことをリストアップするので「そんなこと知っているよ」という方も、再確認してみてくださいね。
花火大会の日や雷の予報が出ているときは、犬は屋内に
当たり前のことですが、犬にとって怖いものが屋外にあるときには、犬は屋内に入れておいてあげましょう。室内飼いの犬は屋内にいるのが普通とはいえ、散歩の時間なども注意が必要です。花火大会などで予定のわかっている場合は、朝早くにふだんよりも長時間の散歩に行くのがベターです。しっかり運動して心地よく疲れて、あとは家の中にこもっていれば、犬が恐怖を感じる度合いも低くなりますし、脱走のリスクもありません。
大きな花火大会では夕方から試し撃ちが始まることもあるので、午後になったら犬を外に出さないのが賢明です。雷の予報が出ているときにどうしても外に連れ出さなくてはならない場合、カラーとハーネスの両方にリードを付けるなど、突然雷が鳴ってパニックになったときの脱走対策もしておきます。通常は家の中にこもっていることは犬にとって良いこととは言えませんが、1日だけのことなら犬が感じる恐怖やパニック、さらに脱走などのリスクを考えると、安全が一番です。
犬を家の中のどこにいさせるかも大切なポイント
暑い季節の犬の脱走でとても多いのが「大きな音でパニックになってしまって網戸を突き破って逃げてしまった」という事例です。犬を屋内に入れておいても網戸のままではほぼ意味がありません。網戸では大きな音を遮ることができないし、パニックになったときの犬のパワーは網戸くらい難なく倒したり破ったりしてしまいます。
犬を屋内に入れておくときはしっかりとドアや窓を閉めておくことがポイントです。理想的にはトイレやお風呂の脱衣所など狭いところの方が安心できる犬が多いようです。もちろんエアコンで室温を快適に保っておくことも重要です。
使えるツールを活用しよう
犬が大きな音を怖がるのはとても一般的なので巷には様々な対策ツールがあります。中でも代表的なサンダーシャツは、体に心地よいプレッシャーを与えて気持ちを落ち着かせる作用があり、獣医師やトレーナーも推薦する人が多いものです。
購入する前に効果を試してみたいという人は、幅広の伸縮タイプの包帯を使ってサンダーシャツと同じ効果のあるボディラップを作ることもできます。こちらの動画は、伸縮包帯を使ったボディラップのやり方を説明しているものです。巻き方はこの通りでなくても良いのですが、最後に結び目を作るときに脊髄の上を避ける点は注意してください。
包帯の他にTシャツをこのように体にフィットさせるようアレンジするのも有効です。
またオヤツを中に詰めるタイプのパズルや、ペースト状のオヤツをコングに詰めて冷凍したものを与えると、集中して気が紛れる犬も多いようです。犬用にリラクゼーション音楽を流しておくのも助けになることがあります。いずれのツールも大きな音が始まってからでは効果がないので、音が鳴り始める前に使い始めます。
あまりにも恐怖の度合いが強い場合は投薬も一案
犬によっては大きな音に対する恐怖のあまり、よだれや震えが止まらなかったり、パニックの状態が長時間続いてしまったりすることもあります。そのような場合は、かかりつけの獣医師に相談して精神を安定させる薬を処方してもらうのも一案です。
薬よりももう少しナチュラルな方法が良いという場合は、市販の犬用のハーブチンキでリラックス効果の期待できるものもあります。カモミール、バレリアン、パッションフラワーなどが一般的ですが、この場合も必ず獣医師か専門知識のある人に相談してから使用しましょう。
まとめ
花火や雷の季節を前にして、大きな音が怖い犬のためにできること、気をつけたいことをご紹介しました。言うまでもないことですが、最後に基本中の基本をひとつ。花火大会に犬を連れて行くことは絶対に絶対に止めましょう!
毎年夏になるとあちこちのSNSに「愛犬と一緒に花火大会に来ました」というポストがアップされています。大きな音だけでなく人混みという犬にとって訳のわからない状態のところに連れて来られて嬉しい犬はいません。犬にとっては大きなストレスですし、最悪の場合脱走でもすれば見つけることはまず不可能です。花火大会の夜は、犬は冷房の効いたお部屋の中でコングのオヤツを食べながらのんびりお留守番、これが一番です。