「お別れのとき」は必ずやってきます
元気に駆け回る愛犬を見ているとあまり想像できないかもしれませんが、いつか必ず愛犬とのお別れのときは訪れます。犬の寿命は人よりもずっと短いため、飼い主さんが愛犬を見送ることになるのがほとんどでしょう。
愛犬とのお別れは非常につらく悲しいものですが、愛犬が亡くなったら泣いておしまいではなく、最後まで愛情を注ぎ、しっかり見送ってあげたいものです。そのためには、愛犬が亡くなってからのことを今から知っておき、心の準備をしておくことも大切です。そこで今回は、犬が亡くなった後にするべきことを流れに沿ってご紹介していきたいと思います。
犬が亡くなった後にするべきこと①体を清める
亡くなってから2~3時間ほどで、死後硬直が始まります。その前に、まぶたや口を優しく閉じてあげます。また、足が伸びたままだと棺に入らなくなる可能性があるので、後ろ足と前足を胸のほうへ軽く曲げてあげましょう。
その後、ペットシートやビニールシートなどの上にそっと寝かせ、湿らせたガーゼやタオルなどで全身を拭き取り、ブラシで毛並みや尻尾を整えてあげます。
犬が亡くなった後にするべきこと②安置する
犬の大きさに合った段ボールなどの丈夫な箱を用意します。その中にバスタオルや毛布などを敷き、その上にそっと寝かせます。時間が経過すると口、鼻、肛門から体液が出てくることがあるので、染み出ないように箱底にペットシートやビニールシートを敷くといいでしょう。出てきた体液は優しく拭き取り、可能なら脱脂綿を詰めてあげます。
安置する場所は、腐敗を防ぐために直射日光の当たらない風通しのよい、涼しい場所を選びましょう。
犬が亡くなった後にするべきこと③冷やす
遺体の状態を保つために、保冷剤やビニール袋に入れた氷をタオルなどでくるみ、頭とお腹の辺りを中心に冷やします。その上から体全体をタオルなどでくるんであげると、保冷効果が持続します。保冷剤や氷を体に直接当ててしまうと水分がつき、状態が悪くなりやすくなるので注意しましょう。気温の高い時期は、保冷剤や氷をこまめに交換し、エアコンもなるべく低めの温度を保つようにします。
ドライアイスで冷やすことも可能ですが、その場合は取り扱いに十分注意してください。ドライアイスは素手で触らないようにし、遺体にも直接当てずにタオルなどでくるんで使用します。また、ドライアイスから発生する二酸化炭素で酸欠にならないように、こまめに換気を。
犬が亡くなった後にするべきこと④最後の時間を過ごす
①~③を終えたら、愛犬との最後の時間を過ごしましょう。生前の写真を飾ったり、お花や愛犬の好物をお供えしたりして簡単な祭壇を作り、愛犬に感謝の気持ちを伝えたり、愛犬が安心して旅立てるような言葉をかけたりしてあげてください。
犬が亡くなった後にするべきこと⑤見送る
いつまでも愛犬のそばにいてあげたいですが、ずっと家に安置しておくことはできないので、愛犬の旅立ちを見送らなくてはいけません。見送り方は主に、火葬、土葬、地方自治体による引き取りの3つになります。愛犬との大切なお別れの儀式でもあるので、よく考えて見送り方を決めましょう。
火葬
民間のペット葬儀社やペット霊園に依頼します。合同火葬と個別火葬があり、プランもいろいろあるので、飼い主さんや家族の希望に沿ったものを選びましょう。金属やプラスチック類を除き、愛犬の愛用品なども一緒に火葬できる場合もあります。
土葬
基本的に自宅の庭など私有地であれば、埋葬することができます。しかし土葬は、腐敗臭などで近隣に迷惑をかけたり、野生動物に掘り返されたりすることがあります。こうしたトラブルを避けるため、1メートル以上穴を掘って埋葬する必要があります。公共の場所や他人の土地に土葬すると、法律により罰せられます。
自治体による引き取り
自治体がペット用の火葬施設を持っているのであればそこで火葬してもらえますが、そうでなければ廃棄物扱いとなって、ゴミとして焼却されてしまいます。火葬なのか焼却なのかなど、詳細を各自治体に問い合わせてから依頼することをお勧めします。
犬が亡くなった後にするべきこと⑥書類の届け出をする
犬が亡くなった場合、登録台帳から削除するために、30日以内に自治体へ死亡届を提出する必要があります。その際、鑑札や狂犬病予防注射済票の返却が求められることがあります。犬種登録団体(JKCなど)の血統書がある場合はそちらへも連絡し、所定の手続きを取ります。
まとめ
愛犬は、飼い主さんにとって大切な家族です。大切な家族を失うなんて考えるだけでもつらくなりますが、いずれ愛犬との別れのときはやってきます。そのときに、ご紹介したことを飼い主さんがひとつひとつやり遂げることで、愛犬は安らかに眠ることができるでしょう。
犬が亡くなった後にするべきことは、飼い主として愛犬にしてあげられる最後のこととも言えます。ですから、今から心の準備をして、悔いが残らないようにやり遂げたいですね。