愛犬の性格はホルモンの影響?「バソプレシン」と犬の関係

愛犬の性格はホルモンの影響?「バソプレシン」と犬の関係

愛犬の攻撃的な性格にお悩みの方は、多いのではないでしょうか。躾をしても効き目がないと、肩を落とされている方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれは、犬の体内に存在するバソプレシンが原因かも。ここでは体内ホルモン バソプレシンと犬との関係について述べて参ります。

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「バソプレシン」をご存知ですか?

バソプレシンという体内ホルモンについてご存じでしょうか?人間はもちろん、犬の体内にも存在し、身体を維持するために働く物質です。このバソプレシンと犬との間には、性格に影響する深い関係があるということが、近年の研究により明らかになりました。

そこで、ここからはバソプレシンと犬の関係について実験結果を踏まえ、詳しくご紹介いたします。

バソプレシンとは?

聴診器とバソプレシンの文字

バソプレシンについて

バソプレシンとは、抗利尿作用を持つペプチドホルモン(複数のアミノ酸が結合してできたホルモンのこと)で、人間をはじめとした多くの動物の体内に存在するものです。もちろん、犬の体内にも存在します。脳から放出され、各器官で働きます。

バソプレシンの作用

抗利尿作用

バソプレシンは体内の水分量を保つために重要な成分。排出するために濾過された水分を一部再吸収して、体内の水分量を一定に保ちます。

血圧上昇

バソプレシンには、血管を収縮させる働きがあります。このことにより、狭くなった血管内では流れる血液によりもたらされる圧力が上がり、つまり血圧の上昇に繋がるのです。

バソプレシンと犬

牙をむいて攻撃的なチワワの顔アップ

バソプレシンは犬を攻撃的にする?

生き物の体内で重要な役割を果たすバソプレシンですが、この物質が犬の性格にも関わっているという研究結果が発表されています。それは、「体内のバソプレシン濃度が高い犬は攻撃性が強い傾向にある」というもの。

犬の性格には育成環境が大きく影響しますが、生まれながらの個々の性質(ホルモン量など)からの影響も小さくはありません。バソプレシンを生まれつき多く持つ個体と普通量、又はそれ以下の個体では、攻撃性・親和性の面で差が出るというのです。血圧を上げるという効果も、性格に影響しているのかもしれません。

以下、バソプレシンと犬に関する実験例をご紹介します。

アメリカでの実験

犬の攻撃性とバソプレシンの関係を調べる実験が、米アリゾナ大学 エバン・マクリーン氏により行われました。(学術誌「Frontiers in Psychology」掲載の論文より)

【実験内容】
犬の目の前で、飼い主に犬のぬいぐるみを散歩させ、犬の反応や血液成分を調べる。

【結果】
ぬいぐるみに対して吠えたり唸ったり飛びかかろうとしたりと、攻撃的な姿勢を見せた犬のバソプレシン体内濃度は、それ以外の犬と比べてはるかに高いことがわかった。

バソプレシンの対になるオキシトシン

生き物の体内には、オキシトシンというホルモンも存在しています。オキシトシンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、他者と接することで多く分泌、幸福感をもたらしたり、気持ちを落ち着けたりといった親和的な効果をもたらします。血圧を下げる効果もあり、バソプレシンと対になるホルモンだと言えます。

攻撃性が少なく、落ち着いていて親和性の高い犬には、このオキシトシンの体内濃度が高いということがわかっています。

最後に

車椅子の少女に寄り添う犬

バソプレシンと犬の関係についてご紹介しました。セラピー犬や介助犬に向き不向きがあることにも、バソプレシン濃度やオキシトシン濃度は大きく関わっていると考えられます。つまり、犬の性格は、ある程度生まれ持った性質で決まるのです。

犬の攻撃性については、育て方や躾では矯正できない部分があるということを、飼い主さんは理解しておかなければなりません。そしてそういった特性を知った上で、無理に叱るのではなく、なるべく穏やかに過ごすことのできるような環境を整えてあげることが必要です。

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