犬が出てくる日本の昔話①「欲張りなイヌ」
同じ物を持っているのに、他人が持っている物の方が良く見えてしまう。欲張ると逆に損をしてしまう。といった内容のお話です。
あらすじ
とあるイヌが、口に肉をくわえたまま橋を渡っていました。ふと橋の下を見てみると、口に肉をくわえたまま、川の中にたたずむイヌがいるではありませんか。橋を渡っていたイヌは、川の中にたたずむイヌを見て、こう思います。「あいつの肉の方が大きそうだ!」「あいつを脅かして、あの大きな肉を奪い取ってやろう!」と。
橋を渡っていたイヌは、川の中にたたずむイヌを脅かそうと、「ヴヴヴー…ワンワンッ!」と吠えました。すると、どうでしょう。口にくわえていた肉が川の中に落ちてしまったではありませんか。川の水には、ガッカリと悲しそうなイヌの顔が映っていました。
実は、川の中にたたずむイヌの姿は、橋を渡っていたイヌの姿が川の水に映ったものだったのです。川の水に映った自分の姿を見ていたのです。
犬が出てくる日本の昔話②「鈴をつけたイヌ」
乱暴な人がいくらキレイに着飾っても、それは心の汚さを晒すようなものである、というお話です。
あらすじ
いきなり人に噛みつくクセのあるイヌがいました。そのため、周りの人に注意を促すよう、飼い主はそのイヌの首に鈴を付けました。そのイヌは、首に鈴を付けてもらったことを得意気に、鈴の音を鳴らしながら広場を飛び回りました。
しかし、とある老犬がこう言うのです。「なぜ、そんなに得意気になっているんだい?」「首に鈴を付けているのは、君が偉いからではないぞ?」「君が、噛みつくクセのある悪いイヌだ、ってことをみんなに知らせるためなんだ」と。
犬が出てくる日本の昔話③「イヌの足」
イヌは、なぜ片足を上げておしっこをするのか。それは、神様からもらった足を、おしっこで汚してしまわないようにするためなのです。それを物語る“イヌの足”というお話があります。
あらすじ
ずっと昔、犬は3本しか足を持っていませんでした。それはとても不便なことでした。そこで、「足をもう1本ください」と神様にお願いしました。すると、「香炉は歩く必要がないのに足が4本ある。1本取って付けてやろう。」と神様は言いました。神様は、香炉の足を1本取って、犬に付けてあげたのです。
※香炉(こうろ)は、日本の仏具のひとつです。固体状の香料を加熱することによって、香気成分を発散させることを目的として用いる器のことを言います。
犬が出てくる日本の昔話④「はなさかじいさん」
あらすじ
心優しい老夫婦と、欲張りで乱暴な老夫婦がいました。ある日、心優しい老夫婦は、傷ついた子犬を発見し、我が子のように大切に育てます。
ある日、その犬が「ここ掘れワンワン」と鳴きながら、畑の土を掘るのです。すると、畑からは、金の大判や小判が掘り出されるのです。老夫婦は大喜びし、ご近所にも振る舞い物をしました。
欲張りで乱暴な老夫婦は、その様子を見て妬み、犬を連れ去ります。そして、金の大判や小判を探すようにと虐待するのです。しかし、掘るように指示した場所からは、妖怪やケダモノばかりが掘り出されます。そのことを激怒した老夫婦は、犬を殺害してしまいました。
我が子のように大切に育てた犬を失った心優しい夫婦は、悲しみにくれました。亡くなってしまった犬を庭に埋め、墓を作ってあげました。その墓を雨や風から守るために、周りに木を植えます。あっという間に大木へと成長しました。
ある日、犬が夢に現れます。そして、木を切り倒し、臼を作るようにと言うのです。心優しい老夫婦は、夢の中で犬が言っていたように、木を切り倒し、臼を作りました。そして、その臼で餅をつくと、財宝があふれ出してきたのです。
その話を聞いた欲張りで乱暴な老夫婦は、臼を借りて餅をつきます。しかし、出てくるのは汚いものばかり。そのことに激怒し、斧で臼を打ち割り、薪にして燃やしてしまいます。
優しい老夫婦は、その灰を返してもらいました。そして、再び夢に現れた犬が、枯れ木に灰を撒いて欲しい、と頼むのです。その通りにしたところ、花は満開になり、そこを通りかかった大名が感動し、老爺に褒美を与えました。
欲張りで乱暴な老夫婦も真似をするのですが、花が咲くことはなく、目に灰が入るだけなのでした。
まとめ
犬が出てくる日本の昔話を4つご紹介しました。最後のひとつは、ご存じの方も多いお話ですよね。犬が出てくるというだけで、犬好きのみなさんなら興味を持ってもらえるお話ばかりなのではないでしょうか。