糖尿病とその危険性について
そもそも糖尿病とは、血糖値が高い状態が続く血管に関わる疾病。
血糖値が高い高血糖の状態では、血液がドロドロになって血管が詰まってしまったり、血管を傷つけたりしてしまったりします。
血管に大きな負担をかけてボロボロにしていくだけでなく、それによって細くもろい血管である毛細血管が集中している目の網膜や腎臓、手足に支障を来して合併症を引き起こします。
また、毛細血管だけでなく太い血管にも負担を与えて、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる重大な疾病につながることも。
糖尿病の発症から、上記のような合併症の発症までにはある程度時間がかかり、5~10年程で合併症の発症まで進行すると考えられています。
そのため、糖尿病の発症から食事や運動など適切な生活習慣を心掛け、必要に応じた薬物療法も取り入れることで、その進行を抑えることもできるとされています。
「糖尿病アラート犬」とは?
糖尿病治療で起こる低血糖のリスク
血管に負担をかけることで、全身のあらゆる器官に影響を与える可能性のある糖尿病。
食生活の乱れなどで発症すると考えられがちですが、自己免疫疾患やウイルス感染が原因で引き起こされる「Ⅰ型糖尿病」というものもあります。
「Ⅰ型糖尿病」は小児や若年期に起こることも多く、小さなうちからインスリン補給を行う薬物療法に依存せざるを得ないことも。
そして、インスリンや血糖降下薬による薬物療法の影響で起こる主なトラブルが低血糖です。
体が低血糖状態になると頭痛や目のかすみ、眠気などを感じ、糖分を摂取するなど適切な対処を取らないと、意識レベルが低下し失神したり異常行動やけいれんを起こしたりして、昏睡状態に陥ることもあります。
特に小児の場合や就寝中などは、低血糖になっていることに気がつきにくく、家族などが気付いたときには危険な状態になっていることも少なくないとされています。
低血糖を感知するアラート犬が誕生
早い段階での適切な対応が求められる低血糖を、においによって感知することができる「糖尿病アラート犬」「低血糖アラート犬」の存在に今注目が集まっています。
糖尿病アラート犬は、低血糖状態に陥った人の呼気に多量に含まれる成分のにおいを嗅ぎ分け、本人や周囲の人間にそれを知らせるという特別な訓練を受けています。
無自覚性低血糖の場合は本人を鼻で突く・手をかけるなどの合図を行い、本人の意識がすでにない場合などは、家族を呼びに行ったり周囲の人の注目を集めたりする行動を取るのです。
犬がそばにいることで、外出や就寝中常に保護者や介助者がついていなければならなかった糖尿病患者(主に小児)の不安や心配が軽減され、家族の負担も減りました。
糖尿病アラート犬育成に関する国内での取り組み
主にアメリカやイギリスで研究が行われている糖尿病アラート犬ですが、その育成プログラムを参考に国内でも、「認定NPO法人日本IDDMネットワーク」が無自覚性低血糖の患者を救うアラート犬の育成をスタートしています。
その取り組みのためにクラウドファンディングで資金を募り、育成を受けるアラート犬には、一時殺処分の対象となった保護犬が選ばれています。
日本国内では糖尿病アラート犬に関する専門知識を持つ人や、糖尿病アラート犬を育成することのできるトレーナーがおらず、まだ取り組み自体が試験段階とも言えます。
しかしながら糖尿病アラート犬に関する知識を持つ専門家を国内に呼び、トレーナーの養成を行ったり犬の適性を見るなど、少しずつ前に進んでいます。
<まとめ>糖尿病アラート犬について
糖尿病アラート犬は、いつ命の危険をおびやかす低血糖状態になるかわからないⅠ型糖尿病患者などの生活をサポートし、安心して毎日を過ごすことができるようにすることができる、とても大きな存在だと考えられています。
糖尿病アラート犬の育成に関してはまだまだ明確化されていない部分などもあり、日本国内でも資金・施設・人材が不足している状態です。
しかしながら糖尿病アラート犬の育成を待ち望んでいる声も多く聞かれ、その取り組みが今大きく動き出しています。
こうしたことに興味関心を持つことが、まず私たちにもできる最初の取り組みになるはず。
動き出している糖尿病アラート犬育成の取り組みに、ぜひ注目していきましょう。