女性の飼い主は人間のパートナーよりも犬の隣の方が良く眠れるという調査結果

女性の飼い主は人間のパートナーよりも犬の隣の方が良く眠れるという調査結果

ペットと同じベッドで寝ることの是非についてはいろいろな説がありますが、犬と一緒に寝ている女性飼い主は人間のパートナーと寝ている女性飼い主よりも良く眠れると答えた人が多いという調査の結果が発表されました。どういうことなのでしょうか?

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

女性にとって最高の眠りのパートナーは犬?

ベッドで女性に抱きしめられて眠るパグ

犬や猫など、ペットと同じベッドで眠ることについては、衛生学、心理学など様々な違う方面からの研究が発表されており、そこから導き出される結論も様々です。

そして今回、アメリカのカニシャス大学の動物行動学の研究者たちが、人間のパートナーや犬、猫と眠ることが女性飼い主の睡眠に及ぼす影響について調査を行い、その結果が発表されました。

それによると、女性の飼い主にとって最も理想的な睡眠のパートナーは、犬であるようなのですが、詳しい内容をご紹介します。

女性飼い主の睡眠の質を大規模調査

眠る男性と眠れない女性

自己評価と睡眠・覚醒を計測するアクチグラフィーによるデータを基にした過去の研究では、成人のパートナーとの睡眠は、人間にとってプラスとマイナスの両方の影響があることが示されています。

今回の研究では、対象を女性に限定して、オンラインで調査データを収集しました。調査に参加したのは、アメリカに住む962人の成人女性です。

参加者のうち55%が、少なくとも1匹の犬とベッドを共有し、31%は少なくとも1匹の猫と、ベッドを共有していました。そして57%が人間のパートナーと同じベッドで就寝していました。

今回の研究では、睡眠の質を評価するために標準化された質問票(PSQI:ピッツバーグ睡眠質問票)による評価とアンケートによる自己評価を用いて参加者の睡眠の質を評価しました。PSQIによる評価では、「ペットを所有していること」や「どんなパートナーとベッドを共有しているか」と睡眠の質に強い相関関係は確認されなかったそうですが、参加者自身が回答したアンケート結果では、少し違う結果が見られました。

ヒト、犬、猫、とのベッド共有の比較の結果は?

うつ伏せで眠る女性の背中で眠る猫

PSQIでは大きな差は見られなかったにも関わらず、アンケートによる自己評価からは「同じベッドで寝ている犬は、一緒に寝ている人間のパートナーよりも女性飼い主の眠りを妨害することが少ない」という結果が得られました。また犬と同じベッドで眠ることは、より快適で安心感をもたらすとの結果も得られました。

一方、「猫は人間のパートナーと同じくらい女性飼い主の眠りを妨害する」という結果となりました。また、眠るときの快適さや安心感は人間のパートナーや犬と眠る場合よりも少ないという結果になりました。

そして興味深いことに、犬と暮らしている女性飼い主は、猫は飼っているが犬は飼っていない女性に比べて、就寝時間も起床時間も早い傾向が見られました。犬を飼うことに伴う責任や必要性から、規則的な生活リズムを維持するようになると推測されていますが、もともとスケジュールをきちんと管理することが好きな人や得意な人が犬を飼う傾向が強い可能性も考えられるでしょう。

まとめ

ベッドで黒ラブと眠る女性

アメリカの動物行動学者たちによる調査で、犬を飼っている女性は、「犬は人間のパートナーや猫よりも自分の睡眠を妨害していない」と感じているという結果が報告されたことをご紹介しました。

今回の犬と人間のパートナーまたは猫で差が見られた調査結果は、回答者の感覚や認識に基づくものですが、夜中に睡眠を妨害されても朝起きた時には忘れてしまっていることも十分にあり得ます。研究者たちは、「一緒に寝ると睡眠の質がひどく悪くなる犬もいるでしょうし、一緒に眠ることで飼い主に良い影響を与える猫もいるでしょう。どんなペットと一緒に寝るのが良いのか、またどんな状況だと睡眠の質が低下するのかについてもっと情報が必要です。また、犬が寝ている時に実際はどのくらい休んでいるのかまたは起きているのかを測定するための加速度センサーを用いた研究を既に始めています。」と述べています。

犬と眠ることが一番落ち着いてよく眠れるという感覚は、筆者も大いに頷くものですが、みなさんはこの結果をどう思われましたか?

《紹介した論文》
Gina M. Mason, Jennifer F. Holmes, Chloe Andre, Rebecca M. C. Spencer. (2021) Bedsharing in Early Childhood: Frequency, Partner Characteristics, and Relations to Sleep. The Journal of Genetic Psychology 182:4, pages 269-288.
https://doi.org/10.1080/08927936.2018.1529354

《参考記事》
https://www.companionanimalpsychology.com/2018/12/dogs-cats-and-humans-best-sleep-partner.html

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