愛犬の「終活」を始める時期
愛犬となったその日から
犬の寿命は長くなったとはいえ、わずか10~15年です。人間でいうと、生まれてすぐに「この子は、15歳までしか生きられません」と言われているのと同じことです。
更に成犬の時のように走り回って、元気な姿でいるのはたったの10年ほどです。
それ以降は病気がちになることや、走れなくなる、飛び乗れた場所に乗れなくなるといった老化が進んでいきます。
まず「愛犬の終活」とは、「人間よりもずっと短い寿命」だということを、子犬の時から心に刻んでおくことから始まります。
シニア期に差し掛かった頃からやるべきこと
犬の治療費は人間と比べると非常に高額です。シニア期に差し掛かるまでにペット保険などに入っていないのであれば、この時期に加入を検討するか、毎月、定額を積み立ててきたるべき時に備えるか、いずれにせよ、まずは「これから医療費がかかる」ことを予測し、備えを始めましょう。
愛犬の終活でやるべきこと①「終活」のためのホームドクターを決める
もちろん、ふだんからお世話になっている獣医さんを無理に変える必要はありません。
ですがもし、かかりつけの病院が遠い、いつも混んでいるといったような問題があるなら、自宅から近くて往診や自宅介護の相談にものってもらえる、などの条件で「終活のためのホームドクター」を探すのもいいかもしれません。
愛犬の終活でやるべきこと②アルバムを作る
お気に入りの写真をピックアップして、「ベストアルバム」をつくるのもおすすめです。
手元に置いていつでも眺められるように、小さめのアルバムで作り、選んだ写真についてコメントを書き添えていけるようなものがオススメです。
ちなみに飼い主さんと愛犬が両方写っている写真が意外と少ないものです。旅行に行くことや、誕生日を祝うことをした時は、飼い主さんと愛犬とが、一枚の写真に一緒に写ることを意識して写真を撮りましょう。
愛犬の終活でやるべきこと③介護が必要になった時に備える
介護費や治療費、自分たちの生活費を貯めておく
愛犬の介護のために仕事をセーブしたり、勤務時間を短くしたりすると当然収入が減ります。また獣医さんに診て貰う回数や、投薬、治療にかかる費用も増えます。
その時に備えて、シニア期に差し掛かる前から少しずつでも定期的に貯金して、介護生活のための資金を貯めておきましょう。
ペット保険の加入を検討する
ペット保険は多種多様でなかなか決めきれませんが、シニア期に差し掛かった時期に、いろいろな条件をしっかりと見比べて考慮し、加入を検討してみましょう。
愛犬の終活でやるべきこと④「愛犬版エンディングノート」を作成する
本来エンディングノートとは、高齢者が人生の終末期に、死に備えて自分の希望を書き留めておくためのノートです。愛犬と刻んできた歴史などを客観的に振り返り、また、医療など必要な情報を書き込んでおくノートを作成してみましょう。
- 名前、性別、生年月日の記入
- ワクチン接種、ホームドクターの連絡先、ペット保険の証書の保管場所などを記入
- 出会い、名前の由来、思い出、やりたいこと、してあげたいことを記入
- 介護、延命治療についての希望、葬儀の希望、供養の方法などを記入
愛犬の終活でやるべきこと⑤火葬業者を選定
悪徳ペット火葬業者による事件
長年、家族として暮らしてきたとはいえ、お金儲けに目が眩んでいる人間にとって、私たちの愛犬の亡骸も、悪徳業者にとれば「ただの犬の死体」でしかありません。
具体的な例では、大型犬を自宅前で専用の火葬用の焼却炉で荼毘に付すという業者に、「追加料金を払わなければ、犬を生焼けで出す」と脅された、と言うケースがあります。
また「焼却後、動物霊園に持って行き、集合墓地に埋葬する」と言って代金を受け取っておきながら、遺体をそのまま山中に放置する、と言ったケースもありました。
悪徳業者に騙されないために
そういった悪徳業者に騙されないためにも、いざ、その時になって慌てて業者を決めてしまうようなことをせず、あらかじめ検討しておきましょう。
- 数社から見積もりを取る
- 焼却炉に入れられる前に支払総額を必ず確認する
愛犬の終活でやるべきこと⑥埋葬方法を選定
ペット霊園に埋葬する
ペット専門の霊園と、最近では、人間のお墓でもペットの供養も受け入れているお寺もあります。
行政を利用する
利用する場合遺骨が返ってこないこともあり、お参りはできないですが、最も安価な方法です。もし、この方法を利用するのであれば、あらかじめご自分の住んでいる地区を管轄する行政機関を把握しておき、費用など気になることがあれば担当部署に問い合わせておきましょう。
手元に置いておく
手元に置いておく場合、ペット用の仏壇や骨壺などを扱っているショップがあります。
まとめ
「愛犬の終活」とは、終わりを迎える時だけに備えるのではなく、愛犬が幸せなまま生涯を終えることができるように飼い主として最善の努力をすることだと思います。
どんなに備えても、どんなに覚悟をしても、実際に別れの日が近づいて、その姿を目の当たりにした時、悲しみだけに心を埋め尽くされてしまうかもしれません。
けれど「もっと、愛してあげればよかった」という後悔だけはしないように、毎日、自分ができる限りの愛情を愛犬に与え続けて、日々を送るのもまた、「愛犬の終活」と言えるのではないでしょうか。