テレビの映像への犬の反応は様々
わが家の愛犬はあまりテレビに興味がなく、テレビをつけていても知らんぷりをして寝ていたり、遊んだりしていることがほとんどです。
でも、踏切の警報機の音や、自分のおもちゃの鳴き笛に似た音に反応して、テレビの画面を見つめることはたまにあります。
わが家の愛犬のように、テレビにあまり興味を示さない犬がいる一方で、テレビの画面を食い入るように見る犬もいれば、テレビに興奮して走り回ったり吠えたりする犬もいます。
このように、テレビの映像に対する犬の反応は様々なのですが、そもそも犬はテレビの映像をどのように認識しているのでしょうか。
犬はテレビの映像をどう認識しているの?
犬は現実の世界を認識するのと同じように、テレビの映像や音も認識していると考えられています。しかし、テレビの映像の見え方は私たちとは違うようです。
犬の目の網膜には、錐体細胞と桿体細胞の2種類の視細胞があり、錐体細胞は色の波長の違いを感じ、桿体細胞は暗い所でも動きを敏感に感じます。
人は3種類の錐体細胞を持っているのに対し、犬は2種類の錐体細胞しか持っておらず、錐体細胞の量も人と比べて1/10程度です。そのため、犬は人ほど細かく色を識別できません。
カリフォルニア大学で行われた研究によると、犬は赤と緑に対して色盲に近く、オレンジ・黄・緑はどれも黄色っぽく、紫・青はどちらも青く、青緑はグレーに見えるといいます。
つまり、人間には鮮やかでカラフルに見える映像でも、犬たちにはそう見えていないのです。
また、犬は動体視力が良いため、1秒間に60コマ点滅して更新される旧式のテレビの映像は、犬にはコマ送りに見えるといわれています。
犬はテレビの内容を理解しているの?
犬種によって差はあるものの、犬の視力は0.3程度といわれており、どうやら犬は近眼なようです。しかし、かつては狩りをして生活していた犬たちの動体視力は、人よりもかなり優れており、動くものに対して敏感に反応します。
ですから、犬は内容を理解してテレビを見ているのではなく、画面の中で動くものに反応して、目で追っていると考えられています。
ボールが出てくるサッカーや野球、犬やその他の動物が出てくる番組に反応する犬は少なくないようです。
テレビに興味を示す犬と示さない犬がいるのはどうして?
犬はテレビの画面の中で動くものに反応しますが、全ての犬がテレビに興味を示すわけではありません。
犬がテレビに興味を示すかどうかは、犬それぞれの性格によって異なるようです。
人間も性格によってテレビ好きな人もいれば、テレビに興味がない人もいますから、犬もそれと同じと考えて良さそうですね。
性格のほかに、犬種もテレビへの興味に影響するという説もあります。
例えば、ハウンド・グループ(狩猟犬)のセント(嗅覚)ハウンド種(ダックス・フンドやビーグルなど)は、目に映るものよりもにおいに敏感に反応するため、においのしないテレビの映像にはあまり興味を示さない傾向にあります。
一方、ハーディング・グループ(牧羊犬・牧畜犬)に属する犬種(シェットランド・シープドッグ、ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークなど)は、動くものに興奮しやすく、画面の中で動くものにも興味を示しやすいようです。
ちなみに、最初はテレビに興味を示していても、近づいてもにおいがしなかったり、動くものが画面から消えてしまったりすることを何度か経験していくうちに、動くものはテレビから出てこないと理解し、テレビに興味を失う犬もいます。
まとめ
私たち人間とは違う見え方をしていますが、犬はテレビの映像を認識していると考えられています。
テレビに夢中になっている犬を見ると、「内容が分かって見ているのでは?」と思いますが、そうではなく、テレビの画面の中で動くものを目で追っているだけのようです。
テレビに興味を示す犬がいる一方で、特に興味を示さない犬もいますが、それは犬の性格や犬種が影響すると考えられています。
テレビに興味を示す犬の中には、いわゆる「テレビっ子」になる犬もいます。
愛犬が1日中テレビにかじりついてばかりで運動不足に…なんてことにならないように、お散歩へ連れて行ったり、一緒に遊んだりしてあげてくださいね。