オオカミはお互いに協力するのか
オオカミの狩はチームプレイ
もともとが群れで生活をする動物であるオオカミは狩りをする際、チームプレイで獲物をしとめます。
彼らの狩り方は主に「追跡型」です。瞬間的な足の速さは大きな獲物であるトナカイや鹿には敵いませんが、体力と持久力があるため獲物が疲れて休憩するまでじっと追い続けることができるのです。
そのため一度の狩りは長時間に及ぶことが多く、追跡役も適宜交代が必要です。またターゲットが単独行動をしたときに適切に追い込んでしとめるためもに、オオカミたちは狩りの前にハウリングなどでコミュニケーションをとり待ち伏せ役や追い込み役など各自の役割を確認するといわれています。
オオカミは子育ても協力する
狩以外にも、オオカミたちは群れの上位のメスが出産したあと、群れの若い個体が子育てを手伝う行動が見られます。子育て中の母オオカミや、けがをした個体へ食べ物を運ぶ行動もよく見られます。
このようにオオカミ達は野生生活を送る上で、互いに協力をしながら生きているわけです。
犬はお互いに協力するのか
犬の近縁種であるオオカミは野生生活を送る上で、お互いに密なコミュニケーションをとって協力体制を敷いているといってもいいでしょう。では犬同士ではどうでしょうか。
犬の喧嘩は長引く?
ある研究では、オオカミと犬のそれぞれの群れにおいて、争い後から和解までの時間に大きく差があったという結果があるそうです。オオカミの場合はお互い面識のない状態の個体同士会わせた際、初めは争いが起こったのですが十数分で和解が成立したそうです。犬の場合争いが長引いたり、争い後にお互いを避ける様子を見せたりする結果となったそうです。
このことから外敵にさらされ続けて常に協力体制が必要なオオカミに比べ、人との生活への順応性を優先した犬は協力意識が低いのではないかと言われています。
犬は助け合いの気持ちが無いとは言い切れない
先程、犬は協力意識が低いと言われていると述べましたが、他の研究論文には犬同士の和解行動も多く報告されており、一概に犬は助け合いの気持ちが無いとは言い切れません。
実際にネット動画では小さな犬が背の届かない段差を乗り越えようと四苦八苦している様子を見た大きな犬が、小さな犬のお尻を鼻で押し上げて助けてあげる様子や、足が不自由な犬に寄り添って歩く犬、おもちゃが取れなくて困っている犬に拾ったおもちゃを分けてあげる犬など、多くの例が紹介されています。
どのような時に助け合うのか
多頭飼いの犬同士は意思の疎通が取れてる?
近年、ペットブームの影響か犬の多頭飼育をしているご家庭も多くみられるようになりました。犬同士のやり取りを見ていると、人が理解できる言葉ではないもののそこには何かしらの意思の疎通があり、お互いがお互いを尊重する場面を多く目にします。
このように多頭飼育をされている犬の場合、一匹だけで飼われていたり他の犬が苦手だったりする犬に比べ、人の生活だけに依存せず犬同士のコミュニケ―ションも行っているため、飼い主以外の存在に意識を払う機会が多くなるようです。
飼い主だけといるより犬同士の社会にいたほうが、相手の犬が今遊びたいのか、ほっといてほしいのか、困っているのか、怒っているのかなどを理解しやすいのかもしれません。
我が家の場合
我が家の犬たちも、一頭がおもちゃが狭いところに入ってしまって困っていると、もう一頭が家具の反対側からおもちゃを拾って持ってきてくれるなど、ちょっとした助け合いを見ることがあります。ひょっとしたら自分のところに転がってきたおもちゃを単に拾っただけかもしれませんが、そのおもちゃをひょいと相方の近くに落としてやる姿を見ると、やはり「助けた」と思うのです。
まとめ
犬同士の助け合い、協力行動は一頭飼いをしているとなかなかお目にかかることがないかもしれません。人との関係に特化した犬たちは、他の犬に対してより飼い主である人を喜ばせるほうへ順応してきたのでしょう。
しかし私たち人間同士も、多くが集まればお互いに助け合う必要がでてきますよね。犬同士も同じことなのかもしれません。理由はともあれ、犬同士だってしっかりお互いに助け合って生きているということです。