万が一の時の備え『ペットのための遺言』皆さんは書いていますか?

万が一の時の備え『ペットのための遺言』皆さんは書いていますか?

近年、ペットは家族としての意識が高まり病気への備えとしてペット保険への加入者が増えています。動物医療には高額な費用がかかり、経済的な理由で治療選択を狭めたくないという飼い主さんの愛情が感じられます。ですが、愛情があっても飼い主さんの万が一の時の備えが万全でないと、ペットが生き場所を失ってしまう悲しい現実も増えています。今回は、ペットのために遺言を残す必要性と、なにを書いたらよいのか?万が一の備えについてご紹介します。

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ペットにとって飼い主さんが残す遺言が救いになります

人の手と犬の手

犬や猫に限らず、様々なペットを飼う家庭が増えてきました。一人暮らしの飼い主さんや、高齢者だけの家庭でのペットの飼育もとても多い現代。
働き盛り、育ち盛りの子供がいる家庭でも、【万が一】のときはいつ訪れるか分かりません。
飼い主さんにもしものことがあったとき、ペットが生き場所を失ってしまう現実があります。

飼い主さんの突然の死 愛するペットの行く末

一人ぼっちで悲しむ犬

孤独死、高齢夫婦だけの家庭、病気や事故で主に万が一のことがあり、飼っていたペットを家に残したまま引き取り手もなくペットが取り残されてしまう悲しい現実がたくさんあります。

一人暮らしだった飼い主さんが、孤独死をしてしまい、発見されるまで愛犬や愛猫が飲まず食わずで、飼い主さんの亡骸に寄り添うように生き延びていた。
高齢夫婦の家庭で、主が病気や事故で入院、死亡してしまい家の中にペットを残したままで放置されてしまった。

これは、日本中で起こっているペットが取り残され、現実におこっていることです。
主を失った家に放置されたペットは、運が良ければ近所の人に見つけてもらい餌を与えられ、愛護団体や保護活動者によって救出されることもあります。
また、遺族によって引き取られたり保健所へ持ち込まれたりすることもあります。

ペットのための遺言 準備方法と書き方

遺言書

まず、大切なのは家族で【万が一のときのことを話し合う】ことです。

「お父さんにもしものことがあったらペットは飼育できない」
「お母さんにもしものことがあったら一時的にペットを預かってくれる場所が必要」
「家族の誰かが大きな病気になったとき、ペットを飼育していける余裕がもてるのか」

一人暮らしや、高齢家族の場合、飼い主さんの万が一のときはすぐにペットの【命の危機】になってしまうことが多いので、詳細な遺言が必要です。

1.飼い主の万が一のとき、ペットの終生を引き受けてくれる人を2人以上決めておく

友人と握手する女性

飼っているペットが終生安心して暮らせる場所を決めるためには、日頃からコミュニケーションが取れていることが選択条件の1つになります。
何年も前に口約束を交わしていても、生活や環境は日々変化しています。
また、大切なペットの命を託すには、ペットが慣れている相手やペットへの理解が深い相手が安心です。
ペットのための遺言書には、最低でも2名のペットの委託先を記しておきましょう。
第一候補、第二候補、多頭飼育の場合はそれ以上の候補が必要な場合もあります。

  • いつも一緒に遊んでいるペットも懐いているお友達
  • ペットが慣れている親せきや実家、兄弟
  • ペットを購入したブリーダー
  • ペットの終生飼育委託有料施設、代理里親募集委託業者
  • 動物愛護センターや保護団体への相談

顔見知りで、ペットも懐いている身内や友人には安心して託せるので選択する方が多いようです。ですが、実家や兄弟、友人のお宅も家族の変化、生活環境の変化はありますので、1年に一度はペットの飼育委託先として変更がないか相談しましょう。

ペットをシリアスブリーダーから譲り受けた場合、飼い主さんの万が一のときにはペットの引取りをしてくれる場合もあります。飼い主さんと同じように、ペットの幸せを願い大切に思ってくれるシリアスブリーダーはペットにとっては、実家です。
ブリーダーの元で終生暮らしていくか、里親さんを見つけて託してくれるか、ペットが幸せになれるように判断してくれます。
ペットショップでの購入や、繁殖場(悪徳ブリーダー)出身のペットは引き受けてくれる実家はありません。安易に出身犬舎へ帰せばさらなる不幸を招きます。

ペットを飼いきれなくなった人のために、老犬ホームや飼育委託サービス、里親募集代行業者などがあります。

  • 有料でペットを引き取り、終生ホームで生きていける施設
  • 有料でペットを引き取り飼い主さんに代わり里親募集をする業者

どちらも有料で金額は5万円~数十万円です。また、老犬の介護や闘病に対応してくれる施設もあります。ですが、やはり一般家庭ではないので積極的な治療やまんべんなく愛情を注いで余生を過ごせるといった環境ではありません。
それぞれの犬舎があり、たくさんの犬たちと過ごす。合宿所やペットホテルのような環境です。
自由度や愛情は一般家庭に比べれば低いものになります。

各市町村の保健所では、飼い主からの持込み収容のペットは譲渡対象外になります。
飼いきれなくなったと保健所に持ち込んでしまえば待っているのは9割【殺処分】です。
飼い主の万が一のとき、行政に相談するときは【動物愛護センター】に問い合わせてみましょう。
各市町村の愛護センターも収容動物であふれていますので預かりや引取りは行っていません。
ですが、積極的に譲渡会や飼育相談、しつけ教室などを開催し民間の保護団体や獣医師会などと連携している愛護センターなら相談に応じてくれる場合もあります。

2.家族で話し合い 万が一のときのペットの生末

  • 世帯主、扶養家族が病気や死亡のときペットの飼育を継続できるのか?
  • 万が一のとき、ペットを託す場所の確認や交流
  • ペットの寿命や病気についての共通認識

3.所有権放棄、飼育委託の書類の準備

  • ペットを託す場合の必要書類の準備
  • 飼育委託のための必要書類の準備
  • これまでの飼育状況、病歴、性格などの情報書類

万が一のときにペットを助けてくれる人とのコミュニケーション

老人と散歩する犬

一人暮らし、高齢者家庭では、地域と孤立している環境で飼い主の万が一のことにも気が付いてもらえないことがおこります。
孤独死の飼い主さんの発見が、数か月経ってから発見されそこに取り残されたペットがメディアなどで取り上げられるのも、ほんの一部で珍しいことではありません。
日頃から、ペットを飼育していること。
連絡が取れなければ、訪問してほしいこと。
万が一のときには、ペットを託せる人へ連絡をしてほしいこと。
これらを、信頼できる人にお願いしておく必要があります。

高齢者の家庭だけではなく、一人暮らしでペットを留守番させている飼い主さんは万が一のときに「ペットを飼っている」ことに気が付いて、救いの手を差し伸べてくれる人の存在が必要です。
事故や災害は、突然でなんの準備もしていない当たり前の日常におこります。
日頃から、周囲との最低限のコミュニケーションをとるようにしましょう。

まとめ

誰にでも起こるかもしれない万が一のとき。どのくらい備えをしているでしょうか?
「うちは大丈夫」「自分は大丈夫」とついおろそかになってしまいますが、ペットは飼い主さんがいなければ生きていけません。
たった一つの遺言書があれば、その後の生涯を幸せに全うできる可能性が高まります。
また、家族で【もしものときのこと】を話して共通認識を持つことは、ペットのことに限らず備えとして重要です。
現行の法律では、ペットは【所有物】です。所有者を失ったペットの扱いは命ではなく物です。
飼い主さんだけが、ペットを命として最後まで守ってあげられる唯一の存在なのです。

万が一の備えとして、ペットのためのエマージェンシーカードと併せてペットのための遺言書の備えも、考え、ご家族、友人、ペット仲間と話し合うきっかけを作ってみてはいかがでしょうか?

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