ボランティア団体に託された野犬の子犬3匹の命
山口県のあるお山で生まれ育った3匹の野犬の子犬たちが、畑に出没しているので、何とかしてほしいとの市民からの通報が保健所に入りました。
基本的にこの保健所は市民からの通報がない場合は、野犬や野良猫などを捕獲することはありません。
しかし、市民から駆除してくれとの通報が入ると、猫は所有者がいるかもしれないので、捕獲することはないのですが、犬の場合は、狂犬病法などがあるため、捕獲しなければなりません。
保健所が野犬を捕獲する時には、仕掛けのされた檻や大きな網などを使います。
つまり、強制的に犬達は捕獲されるわけです。
捕獲された犬達は、当然、恐怖を味わうことになります。
3匹の子犬たちも、そうでした。突然、人間によって捕獲されたことで、それはトラウマになってしまいます。そして、人間=怖いという図式が彼らの記憶として残ってしまうのです。
お山で生まれ育った野犬の子犬たちが人馴れしているはずもなく、おまけに捕獲時に極度の恐怖感を味わったことで、人が近寄ると、恐怖で震え、逃げまどい、失禁・脱糞を繰り返していました。
そんな子犬たちが、動物愛護管理センターでの譲渡対象になることはまずありません。
しかし、このセンターは、すぐに殺処分することはありませんでした。
この2か月間、もしかしたら人馴れするかもしれないと、ずっと様子を見てきましたが、一部の飼育係の職員さんがやっと触れる程度になっただけで、大きな進展は見られませんでした。
それでも、殺処分する前に、センター登録団体2つに、期限付きで里親探しの依頼をしてくれたのです。その1つが私が所属するディ・アンクでした。
初対面
ディ・アンクは今年5月に結成されたばかりの新米の動物愛護団体でした。実際に活動を始めたのは今年6月1日からです。まだ、わずか3か月ちょっとで、なんと野犬の子犬3匹の命をセンターから期限付きで託されてしまったのです。
メンバーには、野犬を育てた経験者は一人もいません。
人馴れした野犬ならまだしも、人馴れ一切していない野犬の子犬を果たして、ディ・アンクが助けることができるのだろうか?疑問でした。
それでも、やるだけのことはやろう!そう決意して、とりあえず、3匹に会うこととなりました。皆それぞれ、不安しかありません…いったいどんな子たちが待っているんだろう…。私を含むメンバー4人でとりあえず、初面会をしてきました。
恐怖から
1匹ずつ、私達が待つ部屋に入ってきました。
入ってくるなり、失禁と脱糞です!
子犬たちはパニック状態で逃げ回ります。隠れるところを必死で探します。
その間にも何度も失禁と脱糞を繰り返し、床はアッと言う間に汚物まみれになりました。
これが人馴れしていない恐怖で震える野犬の子犬の現実でした。
威嚇無し
オス1匹、メス2匹。生後約4か月くらいでした。
オスだけは、恐怖からリードを咬んで逃げようとする抵抗によるお口がでることがありました。
でも、3匹とも、威嚇や吠えはありませんでした。
そして3匹とも、初対面の私たちに触らせてくれたのです!
硬直状態になりながらも、触っても攻撃することもうなることもありませんでした。
とにかく、何をしてくるのか判らない人間が怖い!それだけでした。
この子達に必要なものは?
この子達に必要なのは、じっくりと時間と愛情をかけて信頼関係をしっかりと結ぶこと。
最初で最期の命をかけた里親探しを私たちはスタートさせました。
抱っこ
2回目の面会の時、私はこの子達を思い切って抱っこしてみることにしました。
この子の心拍数が壊れそうなくらい最初は早かったのですが、途中でそれは収まりました。
そして、もう1匹も…
ただし、硬直していました。それは可哀相なくらい…
ごめんね…でも、知りたかった…どこまであなた達が許してくれるのかを…
断念
しかし…3匹目は…
触れるだけに終わりました。恐怖からお口が出てしまったのです…
期限までやるだけのことをやる
私達ディ・アンクにはシェルターがありません。
メンバーがそれぞれ、既に複数の犬猫達を抱えて入ます。
これ以上の保護は、無理な状態です。
そのすべてをメンバーだけで抱えることはできません。
皆さんの協力が必要なんです。
助けようとする気持ちが必要なんです。
最終期限までに奇跡がどうかこの子達全員に起きますように!
最後に
すべてのセンター収容動物達を、数少ないボランティアたちだけがどんなにがんばっても助けられるわけではありません。
お金で命を買わないで、どうか命を救うことを考えて下さい…
怖くて怖くてたまらない命が今もどこかで苦しんでいます…
ディ・アンクのフェイスブックページ:https://www.facebook.com/diankshimonoseki/