1、治療方針や治療費について考えておく
この15~20年の間に動物医療のレベルは格段に上がってきており、その医学の進歩によって家庭で飼われている犬の平均寿命にも深く影響されています。そのため、一昔前だったら助からなかったような病気、病状でも治療によっては蘇生、延命することが可能になったり、自宅介護という形でより長生きすることができるようになったりしています。
もちろん愛犬がどのような病気にかかるか、そしてどのような形で死を迎えるかということはわかりませんが、大まかな治療方針について自分なりに検討しておくことは大切です。具体的な治療方法は獣医師との相談が必要ですが、いざという時に延命治療を希望するのか、また安楽死という選択肢も検討の余地にいれるのか。これは非常に難しい問題ですので、状況や犬の状態によりますし、簡単に答えが出ることではありません。しかし、犬を看取る時にはそうした選択が迫られることもあるということを頭の隅に入れておくことは大切です。犬の看取りという混乱と不安の中で初めて考えるのと、冷静な時にある程度の知識を持っておくのでは全く違うと思うので少しでも後悔のない看取りをするために、さまざまな選択肢を知っておくようにしましょう。
また、最近ではペット保険も数多く出ていますが、犬の医療費について考えておくことも大切です。いざという時、必要な治療をきちんと行えるようペット保険や愛犬のための貯金などである程度費用を確保しておくことも大切だと思います。
2、突然の別れが来る可能性も忘れない
犬の看取りというものは、必ずしも覚悟した上でできるとは限りません。病気や老衰で少しずつ「その時」を覚悟し、気持ちの整理やさまざまな準備をすることができれば後悔も少なくて済むかもしれませんが、不幸な事故や突然死などでは看取るということすらままならないこともあるでしょう。
突然の別れはもちろん想定などできるものではありませんし、したいものでもないと思います。しかし、いつそういったことが起きても後悔しないような毎日を送るという気持ちは大切です。忙しいから、疲れているからと散歩をさぼってしまったり、スキンシップの時間を取らなかったり、イライラして愛犬に八つ当たりしてしまったり…。毎日一緒に暮らしていたらそういった日もあるかもしれません。しかし、そんな中で突然の別れが来てしまったら「もっとお散歩にいってあげればよかった」「たくさんなでてあげればよかった」「どうしてきつく叱ってしまったんだろう…」などたくさんの後悔が生まれてしまうのではないでしょうか。
簡単なことではありませんが、特別なことはしなくても愛犬との毎日を楽しく平穏に過ごすことが後悔なく看取り、別れるために今からでもできることだと思います。
3、葬儀や手続きについて調べておく
愛犬が死んでしまった後、どこで葬儀を行うのか、お墓はどうするのか、役所への手続きはどうすればいいのか、など別れを悲しむ時間にもやらなければならないことがたくさんあります。混乱と悲しみの中で諸々の手配や手続きをしなければならないと、冷静な判断ができないなど後に後悔するような選択をしてしまうことも少なくありません。そういったことを防ぐためにも、生前に葬儀やお墓などについて簡単にでも調べておき、いざという時には落ち着いて連絡を取れるように準備しておくといいと思います。
もちろん、生きているうちに愛犬の死後を想像することは楽しいことではありませんし、考えたくもないかもしれません。しかし死後を想像することで「もっと愛犬とこれをしておきたかった」など自分自身の気持ちの想像もしやすいのです。
まとめ
愛犬家にとって犬を看取ることはとてもとてもつらいことだと思います。しかし、犬を飼っているのであれば決して避けることのできないことでもあります。愛犬と過ごした時間を後悔で終えてしまうほどつらいものはありません。後悔が多いほど悲しみは深く長引き、ペットロスなどの原因になってしまうことも。
どんな過ごし方をしても、どんな選択をしても「もっとこうしていたら…」と思ってしまうものなのかもしれません。それでも少しでもその後悔を少なくするために、飼い主として何ができるか日々考えておくことが大切なのだと思います。看取りの状況はさまざまなので一概にどうすることがベストかという答えはありませんが、飼い主だからこそわかる「うちの子にとっての幸せ」を意識した生活を送っていくようにしましょう。