犬のトリミングに必要な資格とは?
トリマーに資格は必要ない
結論からお伝えすると、トリマーになるために資格は必要ありません。明日から「トリマーになろう」と思えば誰でもなれます。
しかし技術が無ければカットは出来ません。それで専門学校、トリミングスクール、通信講座などでスキルを磨くという訳です。
また、トリマーを目指しているなら「ペットショップのアルバイト」をオススメします。アルバイトでもホテル犬の散歩などトリミングに近い業務を担当することがあるからです。(この記事の後半で説明しますが「実務経験」は資格より強力な武器になります)
トリミングサロンを自分で開業する場合は「動物取扱業」の資格が必要
独立開業したいなら動物取扱業の資格が必要です。トリミングメインの店舗でも「お客様の犬を一時的に預かる」ことは、「保管」に該当するので動物取扱業の資格は必要です。
動物取扱業の取得には実務経験(半年以上)が必要になります。動物取扱業の資格を取得するときにはあなたの実務経験を「証明」してくれる人が必要です。
「証明」する人は「動物取扱業の資格を有している人」であるべきです。ですから、独立開業する場合は以前の上司に実務経験を「証明」してもらって資格を取得するのが一般的な流れです。
ちなみに動物取扱業の資格無しでトリミングサロンを営業すると、営業停止処分になり数年間開業出来なくなります。
犬のトリミング技術を学ぶ方法
専門学校に通わなくてもスキルは身につきます。例えば「トリミングスクール」「通信講座」などで、知識を身につけることができます。
トリミングスクールに通う
専門学校に通えない主婦層の方に人気のプログラムです。約6ヶ月ほど集中的にトリミングの実技を行ってスキルを身に付けるスクールです。
実際にスクール卒業生のスタッフと仕事をしたことがあります。専門学校のように様々なカリキュラムは無く『トリミング実技だけ』を実践的に学べるようです。
スクール卒業生もトリミングに使用する道具は全部揃っていました。専門学校卒業生と変わらないスキルがある人にも会ったことがあります。
スクールは短期集中でトリミングスキルを身に着けたい方にオススメです。
通信講座を受講する
通信講座では約2ヶ月でトリミングスキルを学習します。
トリミングスクールに比べて「トリミングの実技が少ない」ので技術というよりも、「知識」を増やすプログラムかも知れません。
「スクール」と「通信講座」どちらがおすすめ?
トリマーを目指す方は「トリミングスクール」をオススメします。やはり実技をしないとスキルは身に付きません。実技の多いスクールのほうが適しているでしょう。
だからといって、「通信講座」では技術が身につかないか?といわれると、私も実際に通信講座の卒業生と仕事をしたことが無いので何とも言えません。
学習内容を見る限りは、トリミングの知識を増やしたいという方であれば「通信講座」を選択しても問題ないかと思います。
トリミングに関する主な資格
トリミング資格は全て「民間資格」
トリミングの資格には様々な種類の資格が存在しますが、国の認定する「国家資格」は存在しません。
全てが「民間資格」となります。
そのためトリミング資格はあくまで補助的な効力の資格であると覚えておきましょう。
トリマー業界で有名な「JKC認定ライセンス」とは?
トリマー業界の中で一番有名な資格は『JKC認定ライセンス』です。(※JKCとは「ドッグショーの開催」や「血統書の発行」をしている唯一の団体)
ただし、JKC認定ライセンスも国家資格ではありません。トリミング業界の中では知られている資格ですが、かならずしも就職に「有利な資格」ではありません。
求人の募集項目に「JKC認定ライセンス取得者」と記載されていることは稀です。逆に言えば、JKCライセンスが無いからといって就職が不利になることもありません。
ショードッグのカットには資格が必要
犬のトリミングの種類として、主に「ショードッグのカット」と「ペットカット」があります。
このショードッグのカットとペットカットは別物です。分かり易くプードルのカットを例に説明すると、下記のような分類になります。
- プードルの「ショークリップ(※)」=ショードッグ
- プードルの「テディベアカット」 =ペットカット
(※)ショークリップとはドッグショーに出場するためのカットスタイルです
流行りの「テディベアカット」はショードッグのカットスタイルではありません。ですから、ドッグショーに「テディベアカット」のプードルは出場出来ません。
「ペットカット」に必要な資格
ペットカットには『明確な基準』がありません。トリマーが『可愛いと思うカット』で良いのです。テディベアカットのようなペットカットに資格やライセンスは必要ありません。
また、ライセンスを持っていてもペットカットが上手いとは限らないのです。
そのため、ライセンスは「ショードッグを目指していないトリマー」にとっては関係ないかも知れません。
「ショードッグのカット」に必要な資格
将来ドッグショーなどで活躍したいなら、『JKC認定ライセンス』は取得した方が良いです。
JKC認定ライセンス(資格試験)は、『ショードッグのカット』が出来ることの証明になります。JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)公認の資格試験に合格するとライセンスを取得出来ます。
この試験では『ショードッグのカットスタイルが審査』をされます。資格試験はプードルのショークリップ(カットスタイル)を時間内に終わらせる内容です。
なお、ショードッグに出場する犬はJKCの定めた基準に該当しなければなりません。ちなみにシーズー、マルチーズ、ヨークシャーテリアは、フルコート(全身の被毛を伸ばしたスタイル)がショードッグのスタイルです。フルコートでなければドッグショーに出場できません。
もしショードッグのトリマーを目指すなら、ドッグショーに犬を出場させているオーナーの「専属のトリマーになること」が近道です。
現役トリマーが教える トリミングに必要な資格・技術
トリミングサロンで、トリマー採用の面接をしていた私の経験をお話すると、履歴書にトリミングに関するライセンスや資格が書かれていても、正直何とも思いません。ペットカットが上手な人を採用します。
厳しい意見かもしれませんが『技術を見たい』ということです。少なくとも私はライセンスを持っている人を優遇することはありません。
面接の実務ではこんな点を見てます><
- ブローが終わった段階の仕上がり状態
- カットの際の立ち位置
- カットの際の目線
- コームの入れ方
- 仕上がった状態の全体のバランス
私が面接官をしていた時はこんな点を見ていました。私の個人的な基準ですので参考程度にご覧ください。
カットスキルが不足していてもブローまで出来れば「グルーマー(シャンプーがメインの役割)」として採用出来ます。
トリマーの技術はカットの際の「立ち位置」や「目線の入れ方」で大体分かります。正しい立ち位置から犬を見なければ、全体のバランスが取れないからです。
コームを上手に入れる人は「面を綺麗に揃える」ことが出来ます。最後は全体のバランスです。左右対称になっているかクレームが来ないカットレベルか判断します。
ドッグサロンの面接(実務)は初心者には厳しい
ドッグサロンの求人には「実務経験3年以上」と書かれています。
ドッグサロンは「カット技術」を求めているので、3年以上働いていても「カット技術」なければ採用されません。
もし不採用になったとしても落ち込まないで下さい。諦めず挑戦を続けたトリマーがドッグサロンに就職できます。
ドッグサロンに就職できたということは、「独立開業出来るレベル」に達しているといっても過言ではありません。