小型犬がかかりやすい3つの病気
1.てんかん
ひきつけや痙攣といった発作を引き起こす病気です。発作が起こったとき慌てるかもしれませんが、間違った対処をすると犬も飼い主もお互いにケガをする危険もあるため注意が必要です。
また、ミニチュアダックスフンドやトイプードル、チワワなどが発症しやすい傾向にもあります。
【原因】
てんかんには原因不明の特発性てんかんと、事故や生活環境、病気など何かしらのトラブルが原因となって起こる症候性てんかんがありますが、多くの場合は特発性てんかんであることがほとんどです。
【症状】
てんかん発作として見られる症状は2つに分けることができ、全般発作と部分発作があります。
- 全般発作
前足だけ後ろ足だけといった部分的なものではなく、全身に発作が起こり痙攣やつっぱり、失禁、脱糞、口から泡などを吐くことがあります。
- 部分発作
全般発作とは違い体の一部分だけに発作が起こるため、前足だけつっぱりや痙攣を起こしていたり、顔が痙攣を起こしたようにガクガクしていたり、痙攣やつっぱりはなくてもぼーっとして無反応だったりといった状態になります。
【対処法】
てんかんの発作自体は数十秒や長くても2~3分で落ち着きを見せます。そして、発作が起こったときは落ち着くまで様子を見て、発作がどのくらいの時間続いたか、どのような様子かを観察し、あとは本人が落ち着くまで安静にさせてあげましょう。
また、痙攣など発作を起こすと舌を噛み切ってしまうのではないかと心配にもなると思いますが、そこで手を出してしまうと逆に勢いで噛まれたり犬もケガをしてしまう危険性もあるため、治まるまで様子を見ることが大事です。
【予防法】
残念ながらてんかんには明確な予防法がありません。しかし、その子その子によって発作が起きやすいタイミングがある場合もあるため、どんな時に発作が起きやすいかなどをよく観察し、できるだけ起こしやすい状況を作らないようにすることが予防につながります。
2.僧帽弁閉鎖不全症
心臓病のひとつで、シニア期になると起こる可能性が高くなる病気です。
【原因】
僧帽弁という左心房と左心室の間にある弁がうまく閉まらなくなることで血液の逆流が起こります。加齢により発症する可能性は高まりますが、チワワやトイプードル、シーズーなどは特に発症しやすい傾向にあります。
【症状】
- 乾いた咳をよくする
- 息が上がりやすい
- 呼吸困難を起こす
- 貧血
【対処法】
僧帽弁閉鎖不全症にかかってしまったら、まずはとにかく心臓の負担になることを徹底して避けるに限ります。
- 犬が過ごす部屋の温度は少し肌寒いかな?と感じるくらいにする(個体差はありますが、熱すぎず寒すぎず呼吸しやすい温度にする)
- 肥満を予防し肥満の場合は減量する
- 激しい運動は控える
- 心臓病専用の処方食を与える
- 余計な塩分は控える
【予防法】
僧帽弁閉鎖不全症は加齢に伴い心臓の機能が低下する病気です。また、生まれつきやかかりやすい犬種であるがためにまだ若いのに発症してしまう場合もあります。
しかし、年齢や犬種の関係で発症してしまうのは仕方がないわけではなく、発症や悪化のリスクを下げる方法として次のようなことを気を付けてあげましょう。
- 質の高い食事を与える
- 適度な運動をする
- 肥満予防をする(肥満であれば減量する)
- 定期的な健康診断をする
3.膝蓋骨内包脱臼(パテラ)
膝のお皿が内側へ外れてしまう病気で、特にトイプードルやポメラニアン、ヨークシャテリアやマルチーズ、チワワなどがかかりやすい傾向にあります。
【原因】
ソファなど高い場所へジャンプして上り下りしたり、フローリングなど滑りやすい場所で生活をしていたりすることで膝に負担がかかり、膝蓋骨内包脱臼を引き起こします。
また、チワワやトイプードルなどかかりやすい犬種は遺伝的要因が強いと言われています。
【症状】
膝蓋骨内包脱臼は膝のお皿が外れた状態なので、足を上げて歩
き地面につこうとしません。
また、膝蓋骨内包脱臼にはグレード1~4まであり、グレードが低いほど脱臼しても自然に戻ったり簡単に脱臼を戻すことができますが、グレードが進むにつれて頻繁に脱臼が起こるようになり、元に戻してもすぐにまた脱臼を引き起こすようになります。
そして、最終的には常に脱臼した状態になり元に戻すことができず、骨の変形や靭帯が伸びてしまったりして脱臼した足を痛がり常に足を上げた状態になったり、立てなくなってしまうこともあります。
もちろん、症状が進行するにつれて痛みも出てくるため早めの治療が大事です。
【対処法】
膝蓋骨内包脱臼になってしまったら膝に負担がかかる環境を改善し、さらにグレードに合わせた処置を行なっていきます。
- 足の裏の毛や爪は短く保つ
- 滑らないようにフローリングにはマットを引く
- 高い場所への上り下りを控える
- ジャンプが必要な場所はスロープを使う
- 体重管理を徹底する
- 痛みが伴う場合は鎮痛剤を使う
- 膝関節を強化するための運動やサプリを使う
- グレードが高い場合外科手術を行なう
【予防法】
膝蓋骨内包脱臼は膝に負担がかかることで膝の皿が外れてしまう病気なので、膝に負担のかからないようにすることが一番の予防法になります。
- 体重管理を徹底し肥満予防減量をする
- フローリングにはマットを引いて滑らないようにする
- ソファなど高い場所への上り下りは控える
- 足の裏や爪は短く保つ
小型犬がかかりやすい病気から守るための定期チェック
小型犬がかかりやすい病気は遺伝的要因が大きく関係していると考えられるものも多く、病気の中には完治ではなく対処療法として苦しみをできるだけ軽減させ、毎日を過ごしやすくしてあげることしかできないものもあります。
しかし、こうしたかかりやすい病気は日常生活をどのような過ごし方をするかによって発症率を下げることができますし、仮に発症してしまったとしても早期発見によって進行を遅らせたり、苦しみから早く解放してあげることも可能です。
そして、日常生活の在り方をアドバイスし異常の早期発見を可能にするのが、年に1~2回の定期的な健康診断や毎月のトリミングなどです。
トリミングというと体を清潔にして見た目の美しさを保つためのものといった印象がとても強いと思いますが、定期的にトリミングに連れて行く意味はそれだけではありません。
毎月トリミングに連れて行くことで細かなところまで触れ見ることができるため、ちょっとした変化にもすぐに気付きやすく異常があればすぐに見つけることができます。
また、健康診断は年に1~2回程度ですが普段見ることのない体の内部までも確認することができ、しかも異常があっても症状が出るまで時間がかかる病気もあるため、そうしたものを早期発見できるのとできないのとではその後の生活や寿命にも大きく影響を及ぼします。
例え小型犬だからかかりやすい病気でも、日頃のケアの在り方によって愛犬への負担が変わるため、可能な限り体の様子をチェックしてあげられるようにしましょう。
注意!小型犬はデリケートな生き物
小型犬は大型犬に比べて骨も細く、ちょっとしたことでもすぐに怪我してしまうような生き物です。そして、小さい分体力も少ないためさまざまな面で決して無理をさせてはいけません。
例えば、お散歩であれば小型犬は1回につき30~40分程度が適正だと言われています。もちろん、お散歩が大好きな子ならもっと長くお散歩をしたいですし、逆にあまり好きではない子であれば5分程度で終わることも。
そして、ここで注意すべきなのが短い時間よりも長い時間のお散歩です。一見長い時間のお散歩の方が健康には良さそうですが、長過ぎるお散歩時間は足腰に負担がかかるためおすすめできません。
そのため、もっとたくさん歩きたいといった子なら時間を長くするのではなく、お散歩に出る回数を増やしてあげるといった対策をとることがおすすめです。そうすることで一度に体にかかる負担も減り、運動量も増えるので満足させることもできます。
また、高いところから軽々と飛び降りる子もいますが、着地のとき思った以上の衝撃が来るため、簡単に骨折や脱臼といった事故を招きます。
こうした骨折や脱臼をすると後遺症が残りやすかったり、今後関節が外れやすくなったりもするので、そういったことのないよう上り下りの管理を徹底することが大事です。
このように、小型犬は肉体的ダメージを受けやすくデリケートな生き物なので、かかりやすい病気にできるだけかからないように努め、いつまでも元気な姿を維持できるようにしましょう。
まとめ
小型犬がかかりやすい病気には、てんかんのように脳の電気信号が影響するものなど、気を付けるだけでは完全に回避できないものも存在しますが、それでも日ごろから健康チェックをこまめに行い、生活環境を適切に整えることで健康寿命を大きく伸ばすことは可能です。
そのためにも、定期的な健康診断やボディチェックを兼ねたトリミングを可能な限り行ない、異常の早期発見に努めることは決して怠ることはできません。
いつまでも大事な愛犬が元気で過ごすことができるように、飼い主として最善を尽くし小型犬だからこそかかりやすい病気から守ってあげましょう。
ユーザーのコメント
40代 女性 ひまわり
でも、病気の進行はとても早いです。
14才のチワワがここに書いてある心臓の病気になりました。
11月10日に検査をしてそれがわかりましたが、その1ヶ月半後に血尿が出て病院へ行ったら膀胱炎でしたが、その時の検査で見つかったのが末期の脾臓ガン。肝臓にも転移していて、何も治療できずに1月に亡くなりました。
たった1ヶ月半でそんなこともあるのです。
少し前に検査したから大丈夫、〇〇病だから食欲が少し落ちてるんだ、なんて思わずに、何かおかしいな、と思ったら病院に連れて行ってあげて下さい。
病院で診察しても何もなかったらそれはそれでいいじゃないですか。
わんこたちは話せません。
元気なフリもします。
病院も毎回レントゲンをとるわけでもないです。病院の先生も毎日見てるわけではありません。異変を伝えられるのは飼い主だけなのですから。