犬の「ぎっくり腰」と「ヘルニア」の違いとは?

犬の「ぎっくり腰」と「ヘルニア」の違いとは?【獣医師監修】

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ぎっくり腰やヘルニアは、人間だけではなく犬にも起こるのをご存じでしょうか?突然、腰に激痛が走り、それ以降、痛みが引くまで身動きすらできない、強烈な痛みに襲われるぎっくり腰。飼い主さんの中にも経験した方がいるかもしれません。また、同じように強い腰痛が起こる病気に「椎間板ヘルニア」という病気があります。犬も発症するというぎっくり腰とヘルニア、その違いをご存知でしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

ぎっくり腰とヘルニアの違いって?

診察を受ける犬

まず、「ぎっくり腰」と「ヘルニア」の違いを簡単に説明しようと思います。

ぎっくり腰の定義とは?

「ぎっくり腰」の正式名称は、「急性腰痛症」と言います。
突然、腰に激痛が走る症状で、関節捻挫、筋肉の損傷、筋膜性の炎症などの症状を言います。

ヘルニアの定義とは?

ヘルニアとは、ラテン語で「脱出」と言う意味です。
なんらかの原因で周りの組織に圧迫された臓器が、本来あるべき場所からはみ出してしまった状態を言います。
つまり、一言で「ヘルニア」と言っても、はみ出してしまった場所によって名称が違います。
例えば、「鼠経ヘルニア」は、「鼠経」と言う足の付け根部分に腸がはみ出したことで現れるヘルニアで、いわゆる「脱腸」のことを言います。
この「ヘルニア」という状態の中で、ぎっくり腰と深い関係があるのが「椎間板ヘルニア」です。

犬の椎間板ヘルニアとぎっくり腰の違い

黒板の前に立つ犬

椎間板ヘルニアを発症するメカニズム

「椎間板」とは、背骨の骨と骨の間にあるゼリー状の組織で、外部からの圧力で
骨と骨が接してダメージを受けないためのクッションのような役割を果たしています。
この椎間板が、なんらかの要因で骨の間からズレてしまうことがあります。
背骨の中には、脊髄と呼ばれる神経の組織があります。
脊髄は、脳と体の各部とをつなぎ、知覚や運動刺激や反射機能を司っている大切な神経です。なんらかの要因で、椎間板が背骨の間からズレて、脊髄を圧迫されて、「椎間板ヘルニア」が発症します。

発症のメカニズムが不明なぎっくり腰

実は、ぎっくり腰に関しては、人間でも犬でも、椎間板ヘルニアのように明確なメカニズムが断言できるワケではありません。
腰の周辺の筋肉、神経、腱などに突然、大きな力がかかった時、炎症が起こり、激痛が走ります。人間でも、お年寄りに限らず、男性、女性という区別もなく、突然、唐突に腰に激痛が走ると、もう動くこともままならない状態になってしまいます。

椎間板ヘルニアとぎっくり腰の違い

本を読む犬

唐突に激痛に襲われるといった症状は同じですが、椎間板ヘルニアとぎっくり腰には、いくつかの違いがあります。

痛みの原因が違う

椎間板ヘルニアは、椎間板が脊髄を圧迫することにより神経を圧迫するために痛みが生じます。
ぎっくり腰は神経の痛みではなく、主に筋肉に関係する損傷によって、痛みが生じます。

痛む場所が違う

椎間板ヘルニアは、神経が圧迫されるために起こるので、腰だけではなく、臀部、足先まで痛んだり、重症になると、足がしびれたり、麻痺が出ることもあります。
ぎっくり腰は、文字通り、腰の周辺にのみ、痛みが現れます。

痛む時間が違う

椎間板ヘルニアは、発症直後の痛みが長く続きます。
ぎっくり腰は、筋肉や筋膜の炎症が鎮まれば、痛みが和らいで、やがて痛みは弱くなっていきます。

犬にも起こるぎっくり腰

診察台の上に乗る犬

犬のぎっくり腰の症状

犬も、人間同様、腰の周辺に強い痛みを感じています。
座っていることが出来ず、背中を丸めてうずくまり、患部周辺を触れるのを嫌がります。
オス犬なら、足を上げることが出来ないので、排泄も出来ずらくなります。

ヘルニアの症状

ぎっくり腰の時と違って、ヘルニアが起こった部位によってはオスワリが出来る場合があります。ただし、足を引きずったり、重症化すると足がマヒを起こし立つことも出来なくなります。

ヘルニアの場合は、痛みもありますが歩くときにふらふらしたり、足先を触っても触られている感覚がなく無反応、足の甲を床につけてもひっくり返さずそのままというような症状も伴います。両者は紛らわしい部分もありますが、治療の方向性が異なりますのでしっかり見分けましょう。

ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの予防策

見つめ合う女性と犬

シニア期になると、骨や筋肉が弱くなります。また、足が短く、胴の長い犬種は、腰に負担が掛って、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアを発症しやすいと言われています。
出来るだけぎっくり腰や椎間板ヘルニアの発症を予防する方法をいくつかご紹介します。

激しい運動は避ける

フリスビーを投げてキャッチするフライングディスク、高低差のある遊具から飛び降りる、ジャンプしながら走る、と言ったアジリティなどの激しい運動は避けたほうがいいでしょう。

肥満を防止する

体重が増えれば増えるほど、腰や骨にかかる負担は大きくなります。
普段から、食事に気を付けたり、適度に運動して愛犬が太りすぎないように注意しましょう。

住環境を整える

階段やソファから飛び降りたりしないように気を配りましょう。また、フローリングも滑りやすいので、愛犬の足腰に負担がかかります。滑りにくい床材などを敷いて、出来るだけ滑りにくく、段差のない住環境を整えてあげるのが望ましいと思います。

まとめ

散歩する犬

胴長で足が短い犬種、シニア期の犬は、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアを発症しやすい傾向になります。住環境や生活習慣も気を付けて、体に無理がかからないように気を付けてあげましょう。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 女性 たろさん

    ヘルニアとぎっくり腰の違いは大まかにしか知りませんでしたが、この記事を見てよく分かりました!どちらも長期的な予防ケアが必要な感じはしますね。犬にとって住みやすい家にうちも愛犬が老犬になってきたので、工夫しています。玄関に小さな階段を設けて段差を無くすようにしたりソファーを低いものにしたり…。でもこれって犬だけでなく私たちの身体にも楽なんですよね(笑)なので積極的に工夫してます(笑)
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